見出し画像

そこで終わっていいのか?

先日職場で使っているパソコンの
キーボードが壊れた。

壊れたと言っても、バックスペースキーが
外れてしまったという軽微な故障だが、
何度入れようとしても入らないので
外れたキーを上に乗せるような形で
騙しだましパソコンを使い続けていた。

本来はすぐに社内のIT担当に連絡して
修理してもらえばいいのであろうが、
ちょうど今システムの入れ替えで
IT担当はバタバタしているのが傍から見ていても
よくわかったので、
致命的ではない故障は様子を見て報告しようと
しばらく保留にしていた。

そんなある日、IT担当から連絡がきた。

どうやら私の上司と話をしている際に
私のPCの状況について聞いたらしく、
ちょうど似たような事象で修理を依頼する人が
他にもいたので、一緒に修理をしようかという
打診であった。

これは有難い。

早速日時を調整して私はIT担当にパソコンを渡し、
約2時間ほどパソコンを使わない作業に
取り組むことにした。

作業が終わり、IT担当のところに行くと
ちょうど修理が終わって私に連絡するところであった。

早速修理されたパソコンを受け取ると
IT担当者が次の作業に移ろうとしていたので
私は自分のパソコンがどのような症状で
どのように修理されたのかを尋ねた。

IT担当者は一瞬「なぜそんなことを聞くの?」という
表情を見せたものの、
彼自身もちょうど修理業者から交換したパーツを
預かっていたらしく、
それを見せてパソコンのキーだけではなく
キーボード全体を交換したことを聞いた。

てっきりバックスペースキーだけを新しいものに
交換するだけかと思っていたが、
どうやらキーボードのキーを支える箇所が
破損でもしていたのだろう。

なのでキーボード全体を交換することになったらしい。

だが、私の中ではまだスッキリしていない。

私のどのような使い方が悪くてバックスペースキーが
取れたのかがわかっていないからである。

昔に個人で使っていたラップトップでは
エンターキーが今回のバックスペースキーと同じく
外れてしまう事象に遭遇したことがある。

ちょうど長らく使っていたラップトップだったので
その当時は修理することなく、
そのまま新しいものに買い替えてしまったが
自分なりにエンターキーのタッチが強すぎて
外れてしまったのだろうと考えていた。

それ以降、エンターキーを入力する際には
極力優しく入力するようにしていた。

だが、今回の事象は専門の業者に修理まで
してもらったので、
この原因を突き止めて再発防止をする
いい機会だと思ったのである。

そこで、IT担当者になぜ今回の事象が起こったのか、
私の使い方の何が悪かったと考えられるのかを
尋ねてみた。

IT担当者はこのような質問が来るとは
想定していなかったのであろう。

オドオドしながら
「すみません。原因はわからないです」と
答えるのみであった。

もちろんパソコンとて機械なので
イマイチ原因がわからないまま故障することも
しばしばあるだろう。

しかも、パソコンは個人の業務にダイレクトに
影響するツールなので
IT担当者としては修理することにフォーカスするのは
当然のことだと認識している。

だが、IT担当者の仕事はそれで止まっては
いけないと思うのだ。

少なからず今回の故障により
私ともう一人の人のパソコンのパーツを
交換するコストがかかっているし、
何よりその修理に対してIT担当者の大事な
時間を奪っている。

今回偶然問題が顕在化したのが私達で、
今後同じ事象が他の人にも多発する可能性も
十分に考えられるのだ。
(実際に会社の皆は同じパソコンを使っている)

そうなると、今この時点でこの事象の要因を
しっかりと特定しておき、
再発防止策を明確にしておくべきでは
ないだろうか。

私個人としても自分の使い方が悪かったならば
それを改めて再度故障がないように
気を付けることができるので、
ぜひとも理由を知りたかったのだが
残念ながら今回はその理由を知るには至らなかった。

これは偶然IT担当者に対して
私が一種の顧客として感じた話であるが、
私たちの仕事の中でも同じような事象が
実はたくさん転がっているのではないだろうか。

安全衛生の考え方に
ハインリッヒの法則というものがある。

これは1件の重大事故の裏に
29件の軽微な事故があり、
さらにその裏には300件の事故寸前の異常が
発生しているというものである。

今回私が遭遇したような小さな事故は
実はその先に重大な事故につながる可能性が
あるかもしれないのだ。

リスクは想定しだせばキリがないし、
それを全てつぶそうとすれば莫大なコストと
労力がかかってしまう。

だが、少なくとも発生した軽微な事故に対しては
その原因を明確にしておき、
大きな事故につながる可能性があるかどうかは
評価しておくべきであろう。

IT担当者からすれば、
「たかだかキーが取れただけでなぜ彼は
こんなにこだわるのだろう」と
思うかもしれないが、
これはとても大事なことだと私は思う。

IT担当者の方が対処された内容は
当然ながら彼の上司にもレポートされるはずなので
私がわざわざIT課の上司の方に伝える必要など
ないだろうが、
担当者の方が原因をつかんでいないことを
考えてみると、
もしかすると上司の方もあまり実務には
タッチしていないのかもしれない。

それならばあえて上司の方にこのことを
軽い感じで触れてみてもいいだろう。

そんなことを思いながら、
修理されたパソコンを預かり、
IT担当者に感謝を述べながら最後の質問をした。

「ところで、私以外に同じ事象になられた方は
どなたですか?」

すると、彼が口にした答えに私は思わず
コケそうになった。
なんと、もう一人の人はIT課のトップだったのだ。

noteのネタとしてはしっかりとオチて
良かったのだが、
自社のIT課が大丈夫なのか少し
心配になったのは言うまでもない。

ちなみに今回対処してくれたIT担当者は
ベルトに取り付けるタイプの
携帯ケースを使用している。

昔ガラケーだった時代には時々ご年配の方が
使ってらっしゃるのを見たが
スマホ全盛期の今ではほとんど見なくなった。

時代の流れに関わらず我が道を行く感じが
とても素敵だと思いながらも、
ベルトに取り付けるのは個人的には
あまりマネしたくないと思ったのは
ここだけの話である。



この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?