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黒いツブツブのナゾ

少し前から我が家には一つのナゾがあった。

それは玄関に落ちている
黒いツブツブである。

こういう記事を書くときに
自分の語彙力のなさが歯がゆいのだが、
直径でいうと2㎜ぐらいの黒いツブツブが
ここ数か月、気まぐれに玄関に落ちているのだ。

最初は玄関に置いた消臭剤(活性炭)の粒が
何らかの勢いでこぼれたのかと思ったのだが、
特にこぼれた様子もない。

子供たちがこぼして、それをもとに戻した際に
集めきれなかったのかと思い、子供たちに聞いても
知らないという。

とはいえ、大量に落ちているわけではないので
サッとホウキとチリトリでそれを掃除して、
私は取り立てて気にすることなく
普通に生活をしていた。

ところが、その黒いツブツブは
どういうわけか週の後半に差し掛かった頃に
気まぐれに現れるようになったのだ。

必ずしも毎週現れるわけではないのだが
ふと気が付くと玄関に落ちているのだ。

ホウキで掃いて掃除をするのは
ものの1分ぐらいでできてしまう作業だが
私たちが玄関に行くシチュエーションとは
大抵慌てていたり、忙しい状況である。

そんなシチュエーションでの1分は
非常にもったいないし、
できる事なら使いたくない時間である。

とは言え、それ以降も引き続き原因の仮説を立てては
答えが見つからないのを繰り返すばかり。

玄関に敷いているマットのゴムが劣化したのかと
マットをひっくり返してみたり、
靴の中に入れている活性炭入り中敷きから
活性炭がこぼれ出たのかと、
靴の中を調査してみたり、
私なりに色々考えてみたのだが、
全く答えに行きつくことなく数か月が経過した。

原因がわからなければどうしようもない。

このまま気まぐれに出てくる黒いツブツブを
私は掃除し続けなくてはならないのかと
諦めていた。

そんな昨日、妻が夜に職場の人と食事に行ったので
私は娘と2人で家で待っていた。

昨日、息子少し離れたサッカーグラウンドで開催されている
サッカー教室に行っていたので、
帰ってくるのは20時半ごろである。

そろそろ帰ってくる頃かと食事の用意をしていると
息子が「ただいま」と大きな声で帰ってきた。

サッカー教室の前にパンは食べたようだが、
この時間になるとおなかが空くのだろう。
「おなか空いた」としきりに連呼する息子。

サッと着替えて、食事を出すとガツガツと食べ始めた。

息子が食べ終わり、食器を片付けようと
ふと息子のサッカー用のカバンが置かれた場所を
目にしたとき、私はあるものを発見した。

そう、あの黒いツブツブが転がっていたのである。

いつもは玄関にしか落ちていないのに
昨日はどういうわけかリビングに落ちていたのだ。

見えない何かが我が家に黒いツブツブを
まいているのであれば、
我が家はもうすでに玄関をやぶられて
家の中心部に迫っていることになる。

そんなことは思わなかったが、
想像していなかった場所に落ちていたそれに
私は今まで想像していなかった仮説が浮かんできた。

早速私はお腹が満ちて満足そうな息子に
サッカー教室のグラウンドについて質問をして
その答えが分かった。

この黒いツブツブの正体は
サッカーグラウンドの人工芝に入れる
充填材だったのである。

家庭用でも時々使うことがあるが、
主にスポーツ競技用などの人工芝では
人工芝のクッション性によりボールの跳ね方が
変わってしまうため、
人工芝のスキマに粉砕したゴムのチップなどを
充填材として入れて、反発弾性を調整している。

どうやら、そのチップが息子の靴の中に侵入して
靴を脱いだ時に玄関に転がっていたようなのだ。

昨日は日中雨が降っていたので、
その充填材も濡れており、
息子のソックスやカバンにもそのチップが付着して
リビングに持ち込まれてしまったらしい。

こうして偶然、私は我が家のナゾを解決したわけだが
実は私は仕事の関連で、
この人工芝の充填材についてここ数か月
海外の人と話をしていたのである。

なので、私の頭の片隅には人工芝の充填材の話題が
常にあったはずなのに、
私は全くそれが玄関に落ちる黒いツブツブの正体だとは
考えることがなかった。

それはまさに「まさかそんなわけないだろう」という
先入観が私にその可能性を見させなかったからである。

当然なことではあるが、何事も明確な原因がわからなければ
的確な対処はしようがない。

そして、明確な原因をつかむためには
先入観は排除して、
あらゆる可能性を検討してみるべきなのである。

今回の黒いツブツブは私に先入観を排除することの
大切さを教えてくれた。

ちなみに、我が家の黒いツブツブは
原因が判明したことで、
”サッカー教室の後には靴と靴下を
しっかりはらってから帰ること”
という新ルールが追加されたのは言うまでもない。

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