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なぜこの言葉を選んだのか

先日リビングで家族がテレビを見てた時のこと。

少し離れたところで本を読んでいると
ふとテレビから流れてきたCMが耳に入った。

どうやら青汁のCMらしいのだが、
その中で出てきたとあるワードが
妙に心に引っかかったのである。

それは”ボタニカルドリンク”である。

このCMを見るまで
一度も聞いたことのない言葉だったというのも
引っかかりの理由であるが、
何よりもわざわざボタニカルドリンクなどという
わかりにくい言葉を使う必要があるのか
よくわからないと純粋に思ってしまった。

ボタニカルとは英語のbotanicalを指し
「植物の」という意味である。

つまり、ボタニカルドリンクとは
植物性の飲み物を指す言葉なのである。

だが、世の中にある飲み物の類を考えてみると
大半が植物由来ではないだろうか。

お茶やコーヒーは茶葉や豆から抽出したものであるし、
果汁を含むジュースもそうである。

何も特別なものではないのに
なぜわざわざ”ボタニカルドリンク”などという
妙な言葉を使うことにしたのだろうか。

あくまで私の勝手な予想ではあるが、
このCMでは単なるボタニカルドリンクではなく
スーパーボタニカルドリンクという
呼び方をしているので、
スーパーをつけても違和感のない言葉にするために
ボタニカルドリンクという呼び方をしたのであろう。

スーパー植物ドリンク
スーパー青汁
スーパーベジタブルドリンク

色々な候補がある中でボタニカルドリンクが
最もシックリくるワードだったのも
何となくわからないではない。

だが、世の中の何割ぐらいの方が
「ボタニカル=植物の」ということを
知っているのだろうか。

私が初めてボタニカルという言葉に出会ったのは
一時ハマった漫画”Bar レモンハート”の中である。

この漫画はタイトルの通り「レモンハート」という
バーを舞台に繰り広げられる物語で、
バーの店長と常連たちが様々な銘酒を中心にして
色んな出来事や話をするというものである。

その中で、ハーブか何かを漬け込んだジンのような酒を
紹介するシーンがあり、
常連客のメガネさんが「ボタニカルな香り」という
表現をしていたのである。

この本を私が読んでいたのはマレーシア赴任時代なので
今から13年ほど前。
当時の私は「ボタニカルって何?」と思った記憶がある。

この漫画の中ではボタニカルという言葉の意味も
ちゃんと説明されていたので
初めて聞いた私も納得することができたが、
今回の青汁のCMでは当たり前のように
ボタニカルドリンクという言葉が使われているのに
何の説明もないのである。

このような相手がわからないような言葉を
多くの人に向けて流すことで
一部の人は「なんだかすごそう」と思うかもしれないが、
少なくとも私は嫌な気分になる。

恐らく青汁という商品の特性上
飲むことを検討される方は若い世代ではなく
40代以上の方が多いであろうし、
それゆえにCMには安田成美さんが
起用されているのであろう。

しかし、それだけ狙っているターゲットが
明確ならばより一層、
言葉選びには気を付けるべきではないだろうか。

こんな風に考えるのは考えすぎかもしれないが、
明らかにターゲットとなる年代の方々に
わからない言葉をわざわざ使うことは
その世代の方々を少しバカにしているような
ニュアンスすら感じてしまうのだ。

とはいえ、これはあくまで私個人の感想である。

かくいう私も毎日発信をする中で
読み手の方がピンとこないような言葉を
使ってしまうことは0ではない。

だが、どうすれば自分の想いを
読み手の方に伝えられるかは
いつも意識しているという自負はある。

偶然出会ったCMにモヤモヤしてしまった話であるが
改めて自分もデイリーエッセイライターとして
アンダスタンダブルなワードをチョイスすることを
テイクケアしていきたいと思う。

ちなみにこのCMで久々に安田成美さんを見たが
見た目が昔と変わっていないことに驚いた。

内田有紀さんも少し前にCMでお見掛けしたとき
あまりに変わっていなくて驚いたが、
偶然なことにお二人とも昔から短髪である。

考えてみればあまり昔と変わらない印象がある
桃井かおりさんも篠原ともえさんも
はなさんも短髪である。

もしかすると短髪と老けにくさは
関係あるのだろうか。

それとも短髪を選びがちな顔の形の人は
加齢が顔に出にくいのか。

子供の夏休みの研究には向かないテーマだが
私の個人的な研究テーマとしては
面白そうだと思った夏の一日であった。

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