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『かないくん』をあらためて読む。

先日、ほぼ日刊イトイ新聞にて連載終了しました
「谷川俊太郎さんの絵本は、やっぱりすごい。
 絵本『かないくん』をつくった
 ブックデザイナーと編集者が、あらためて。」では、
谷川さんが文を、松本大洋さんが絵を描かれました
絵本『かないくん』について、この絵本の
編集を担当なされましたほぼ日の永田さんと菅野さん、
ブラフィックデザイナーの祖父江慎さん、そして、谷川さんの
展覧会のプロデューサーの草刈大介さんがお話しをされていて、
第6回の連載、読むのが楽しかったなあ。

2014年発行の絵本『かないくん』は、
当時ぼくも購入いたしまして、でも、そう言えば
このごろではほとんど絵本を開いていなかった。
なので、この連載を機に、ぼくも
『かないくん』をあらためて読みました。

連載及び絵本を読みながら、最近は
数日前のブログでもしるしましたが、
いろいろな作品を鑑賞する中では
「死」について考えることが多かったので、
『かないくん』もまた、絵本の帯で
【死ぬとどうなるの?】と描かれているごとく、
「死」についての作品ということもあって、
この今、読むことができて有り難かったなあ。

そしてまた、今回のお話しでも言われているような
制作における工夫やアイディアというのもね、
あらためて実感するように絵本を鑑賞できたことも、
なんだか、おもしろかったです。
とくにはね、ぼくのiPhoneのカメラでは
上手く撮影できなかったけど(今回のnoteのトップ画像)、
白色の製版が二種類を使って印刷されたと言われる
「雪」の表現が、とってもきれい。
たとえば、ある方の言われる
「白って200色あんねん!」ということばも、
ぞんじておりますが、そんなような
「白」の色を感じることができるようだなあ〜。

さらにまた、『かないくん』の絵本の帯には
【谷川俊太郎が、一夜で綴り、
 松本大洋が、二年かけて描いた。】
とも記されているのですが、この
「一夜」及び「二年」という時間もすごいなあ。
この時間についての詳しいことは、
連載の中でもお話しされているのですが、
とくに、ほぼ日の菅野さんのおっしゃる、、、

谷川さんは、いつも、だいたい1日なんですよね。
・・・・でも、みなさん、ちょっと待ってください。
「1日で書いた」とか「2日で書いた」とかって
つい言ってしまいますけど、
実際は「80年」かかって出てきた言葉なんです。
「書く」という作業は確かにひと晩でしたが、
これは、80年生きてきた
谷川さんでないと書けない。

ほぼ日刊イトイ新聞「谷川俊太郎さんの絵本は、やっぱりすごい。」第1回より。

「実際は『80年』かかって出てきた言葉」
ということばに、はっとする。

このことばのことも読みながら、つまり、
絵本『かないくん』とは、
とてもとても多くの時間の軌跡、そして、
工夫とアイディアの詰まった絵本なのだなあ、
って、あらためて想う。

「死」について考えるにあたっては、
『かないくん』に登場する「おじいちゃん」が言う
【死を重々しく考えたくない、
 かと言って軽々しく考えたくもない】
ということばに、どきっとする。

とは言いながらも、けれども、
「重々しく」もない、かつ、
「軽々しく」もないとすれば、
「死」とは、どのようにして
表現されるものなのか? そして、
どのようなことなのか? ってゆうこともね、
やっぱり、まったくわからないんだなあ。

令和5年9月17日

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