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星の王子さま 全訳

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アントワーヌ・ド・サンテグジュペリの Le Petit Prince を全訳しました。「0. 献辞」から始め、一章ずつ公開していきます。イラスト付き。
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記事一覧

0. 献辞

レオン・ヴェルトへ  この本を一人の大人に捧げたことを、子どもたちにはどうか許してほしい…

hibiki
3年前
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1. ボアの絵、「僕」の失望

僕は六歳のとき、『ほんとうにあった話』という題名の、原生林について書かれた本の中で一度だ…

hibiki
3年前
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2. 砂漠で迎える朝、ヒツジを欲しがる少年

こうして誰とも本当の話ができないまま、僕は独りで生きてきた。そして六年前のある日、サハラ…

hibiki
3年前
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3. 王子さまの謎、「ほかの星」

彼がどこから来たのかわかるのに、ずいぶん時間が必要だった。王子さまは僕にはあれこれ質問し…

hibiki
3年前
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4. 星の名前、おとぎ話

そうこうしているうちに僕はもう一つ、とても重要なことを知った。彼の住んでいた星は、かろう…

hibiki
3年前
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5. バオバブの危険

王子さまの星のこと、出発のときのこと、旅のことについて、日に日に何かを学んでいった。ああ…

hibiki
3年前
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6. 四十四回の夕日

あぁ、王子さま!僕はこうして、少しずつ、どうにもやるせない君のこれまでの生活がわかってきたよ。長い間、気晴らしといえば日が落ちるのをしっとりと眺めることくらいだったんだね。僕はその秘密を、四日目の朝に知ることになった。君はあのとき僕にこう言ったね。 「日が沈むのが好きなんだ。今からみにいこうよ…」 「でも待たないと…」 「待つってなにを?」 「日が沈むのをだよ」 最初はびっくりしたみたいだったけど、そのあと自分で可笑しくなって君は笑ったね。そして僕にこう言ったんだ。 「まだぼ

7. ヒツジと花の戦争

五日目のこと、またもやヒツジのおかげで、王子さまの暮らしにまつわるその秘密が明らかになっ…

hibiki
3年前
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8. 花とのすれ違い

その花の正体を、僕は案外、早く知ることになった。王子さまの星にはもともと、いたって素朴な…

hibiki
3年前
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9. 出発の朝

王子さまはきっと、星を抜け出すのに野生の渡り鳥に手伝ってもらったんだろう。出発の朝、彼は…

hibiki
3年前
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10. 王様の星

王子さまは小惑星325、326、327、328、329、330がある辺りまで来ていた。やるべきことを見つけ…

hibiki
3年前
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11. うぬぼれ屋の星

二番目の星にはうぬぼれ屋が住んでいた。 「いやぁ、ファンのお出ましだ!」 王子さまを見かけ…

hibiki
3年前
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12. 酒呑みの星

次の星には酒呑みが住んでいた。 とても短い滞在だったけれど、ここを訪れたことで王子さま…

hibiki
3年前
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13. ビジネスマンの星

四番目の星は、ビジネスマンの星だった。 この男は多忙すぎて、王子さまが現れても顔を上げさえしなかった。 「こんにちは」王子さまは言った。「たばこが消えてますよ」 「三たす二は五。五と七で十二。十二と三で十五。おはよう。十五と七で二十二。二十二と六で二十八。火を点け直す時間がないんだ。二十六と五で三十一。おっと!全部で五億百六十二万二千七百三十一か」 「五億の何?」 「あ?まだいたのか?五億の…なんだっけ…あぁ忙しい!俺はな、大事な仕事で忙しいんだ、くだらん話に付き合っている暇