病棟急変_ただいま対応中_-2

『病棟急変 ただいま対応中!』 Report!

こんにちは、HBDのかわむーです!

本日は、1月19日(日)に行われた『 病棟急変  ただいま対応中!』の様子を簡単にレポートさせていただきたいと思います。


2020年最初のHBDは、昨年の1月にも開催し大盛況に終わった、坂本先生の救急セミナー! 今年も会場には多くの若手医師・医療関係者が集まり、非常に盛り上がりました。

会場の熱き様子を頑張ってお伝えしていきたいと思いますので、最後までどうぞよろしくお願いします!


1.  本日の講師 〜坂本壮先生〜

本日は、千葉県にある総合病院国保旭中央病院  救急救命科から坂本 壮先生をお迎えしました。

先生は、2008年に順天堂大学医学部を卒業。順天堂大学医学部付属練馬病院にて初期研修を修了し、2010年に救急・集中治療科へ入局。2015年から静岡県の西伊豆健育会病院で内科医として勤務。その後、2017年から再度練馬病院へ戻られ、2019年より現在の旭中央病院にて医長としてご勤務されています。

また先生は、全国各地で年間40回を超える勉強会を開催され、研修医や指導医・若手医療者の教育に力を注がれています。勉強会ユニット「三銃士」や2019年4月から創刊された医療雑誌「J-COSMO」の編集主幹、さらには『救急外来  ただいま診断中!』を始め多くの著書を出版されるなど、その活動は多岐に渡ります。

本日はそんな坂本先生から、「病棟急変」についてお話いただきたいと思います!


坂本先生、本日はよろしくお願いいたします!

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左)HBD運営の高場 章宏先生  右)坂本 壮先生



2.  「救急外来」 と 「院内急変」 どっちが大変?

突然ですが、皆さんは「救急外来」と「院内急変」どちらが大変だと思いますか?


一般的に考えると、救急外来の方が情報や時間が少ないため、大変かと思われます。 

しかし、院内急変時に電子カルテを開いても困ることって結構ありませんか?



なぜ困るのかというと、“カルテを見てもよくわからない” という問題があるからです。


“ 外科は比較的シンプルで経過を追いやすいけれど、内科などのカルテはたくさん書いてあって少し分かりづらい......”  といった経験はないでしょうか?

このように、“ 今現在の問題点がよく分からない ” ということはよくあります。日頃からカルテに載せる情報は整理し、極力見やすくするよう工夫が必要です。


さらに、「英語」や「略語」で書いてあると分かりづらいという難点もあります。看護師やコメディカルのスタッフが調べながらカルテを読んでいる姿を目にしたことがありますが、これは無駄な時間です。また、科をまたぐと同じ略語でも違うものを指していることもあり、医師でも困ることはあります。


“ カルテは日頃から見やすいように工夫しましょう ”

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3.  「間に合わない」 は 「準備不足」

次に、院内急変で多いコールとは一体なんでしょうか?


頻度が高く「想定されるもの」から押さえておく必要があります。


例を挙げると、「ERCP中の酸素化低下や徐脈」。
これは、“ 想定されるもの ” です。 ショックは挿管の適応であるため、“ SpO2 が問題ないからなんとなく大丈夫” とは考えずに、頻呼吸があったり乳酸が上昇している代謝性のアシドーシスがないかどうかしっかりと評価をしましょう。SpO2が悪化してからだと手遅れになることがあります。

想定されるものの場合、「間に合わない」というのは「準備不足」だった、ということになるのを肝に命じておきましょう。

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ちなみに皆さんは「急変時DNAR」という表記を見たことはありますか?

「急変時」というのは、いつのことなのか非常に分かりづらい表現です。人によって解釈が違うため、この表記はしない方が良いでしょう。


誤解を生じないためにも、「急変時DNAR」ではなく、「心停止時DNAR」と表記することをお勧めします。 また、カルテを見たときにどこを見たらいいのか、分かりやすくしておくことも重要です。

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4.  院内急変の防ぎ方

院内急変を防ぐためには「正しい診断」が必要不可欠となります。

例えば、「誤嚥性肺炎」と診断したことがある人は多いかと思いますが、しばしこの診断は、“ 間違うことがある” と言われています。誤嚥性肺炎は、なるべくしてなるものであり、これまでに特記既往もなく自立して生活していた人が急に誤嚥性肺炎となる、というのは考え難いのです。原因が分かっていない状況で診断をつけた時は、リスクは高いものと考えフォローしていきましょう。

また、診断を誤らないようにするためにも、 “本当にこの診断であっているか?” と常に疑うことが必要です。“フォーカス”  が違うと  “アクション”  が変わってきます。急変を防ぐためには、正しい診断が必要不可欠です。

誤嚥性肺炎以外にも、「上部内視鏡の酸素化低下」「肺炎・心不全患者の呼吸状態悪化」「閉塞機転を伴う感染症病態の悪化」「そもそも診断が違うとき」「終末期患者の病態悪化」などは予期して起こることであり、急変とは言えません。


急変というのは  “予期せぬとき”  のことです。


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5.  “予期できない” 急変とは

Dr.コールの頻度としては、SpO2 低下意識障害低血圧頻呼吸頻脈などが多いといわれています。

中でも「呼吸数」は、急変の初期に気づくことができる超超大切な指標です!!

呼吸数は指示簿に入れておくと良いかもしれません。


ちなみに、看護師さんの  “なんかちょっと昨日と違う”  というのを解析すると、
呼吸数が多い
心拍数が多い
意識が低下している
といったことが隠れています。



自分でも「なんかおかしい」と思ったその時に、しっかりと対応するようにしましょう。後回しにして、その1〜2時間で状態が一気に悪化することは少なくありません。

qSOFA」はベッドサイドで簡単にみることができます。
呼吸意識をしっかりと評価し、まずいと思ったら足を止めましょう。



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では、「病棟の患者さんが意識が悪くなりました!」


といった状況になったら、まず何をするでしょうか?



バイタルが概ね落ち着いていたら、まずは「血糖値」を測定します。救急外来ではやりますが、病棟急変では意外と忘れがちになります。すぐにCTへ降りずに、まずは除外するために血糖を測りましょう。

血糖がもし低かった場合、感染のサインであることもあります。女性の場合は、それが尿路感染症の始まりだったりもします。まずは、ウィップルの3徴:(血糖値が低い、それに見合う症状がある、糖を入れたらレベルが普段通りに戻る)を確認しましょう。

血糖値が戻ったにも関わらず反応が悪かったら、それは低血糖ではなく「血糖低値」です。意識レベルが低下している他の原因を探す必要があります。

低血糖否定後のCTは、その結果を踏まえて上級医に速やかに相談すると良いでしょう。



また、当然意識が悪いと頭を疑うことが多いかと思いますが、その時「血圧」と「瞳孔」を確認することも重要となります。


まずは「血圧」についてです。
血圧が高くて麻痺があると「脳卒中」が疑われます。当然、入院中も脳卒中が起こる可能性は十分あります。院内発症の脳卒中は絶対に見逃してはならないため、常に頭に入れておきましょう。tPAの禁忌項目はしっかりと確認しておくと良いでしょう。

では血圧が低い場合はなんでしょうか?脳卒中みたいな麻痺が起こってるけど、血圧は高くない。そんな時は、大動脈解離、痙攣、低血糖 を疑いましょう。


次に「瞳孔」についてです。
瞳孔がピンポイントで両目とも縮瞳しているといった時は、一般病棟や集中治療室においては鎮静・鎮痛薬などの「薬剤」が影響していることを頭に入れておきましょう。 術後、入室前にフェンタニル等の鎮痛薬を入れていると、レベル遷延に影響することもあります。


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6.  症状別に確認! 今すべきこと、とは...?!

① 不穏・不眠
なってしまった後に、薬ではなく、傾聴したり尿カテ抜いたりしよう!といわれることもありますが、もう起こってしまった後では遅いのです。感染症のサインがないかを確認しながら再発を防ぎます

入院時から勝負は決まっています。
心不全=バルーンという考え方には注意しましょう。尿量の評価はオムツでも可能です。管を入れた瞬間、不穏や不眠になるリスクが高まることは頭に入れておきましょう。

また、もともと飲んでいた薬を確認し整理することも大切です。ベンゾジアゼピン系の薬はぶつ切りしないよう注意しましょう。そのほか、入院中に始めた薬は退院時にそのまま出さないように気をつけましょう。入院中は環境が変わり眠れなくなるものです。退院時処方に入れないようにしましょう。

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② 頭部外傷
入院患者さんが最も転倒する時間帯は、深夜に看護師さんが巡回した後です。医師はバイタル指示にも気を使い、不要なバイタル測定や回診はやめましょう。

また、転倒した場合には「なんで転倒したのか」という原因をアセスメントすることが大事になります。
CTに関しては、撮れる環境があればオーダーしたくなるかと思いますが、なんのためにとるのか必要性や基準をしっかりと考えましょう。

慣れないうちや迷うくらいなら「Canadian CT Head Rule」を使って基準を確認します。これは現場で転んだことによって、意識障害などが出た人に使うルールです。抗凝固薬(血液サラサラ系)を飲んでいる、痙攣、妊婦さんは除外されているので注意しましょう。

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③ 痙攣
痙攣はシチュエーションが重要になります。
バイタルが安定していたらすぐに出てくる薬剤(ジアゼパム・ロラゼパムなど)を使います。薬剤を使ってはいけない場合に、消化管出血などによる脳血流の低下による痙攣があります。痙攣も呼吸も心臓も止めてしまうことになります。

注意が必要なことの一つに、パーキンソン病や変性疾患を持っている患者さんには食後低血圧といって、食事を取ってから血圧が下がる時間帯があります。この症状が出ている時に体を無理に起こしたりすると、脳血流が低下しさらに痙攣を起こしてしまうことがあるので注意が必要です。
④ てんかん
脳梗塞や脳出血後の患者さんに起きやすく、左右どちらか片側から始まることが多いと言われています。

「片側から始まり目は開眼している」場合はてんかんを疑いますが、「両手両足をパタパタしている」など、初めから両側に症状があるのは脳血流低下心因性どちらかを疑います。尿失禁の症状も絶対ではないですが、てんかん時に起こることがあるといわれています。

姿勢に関していうと、転んだ時に、素直にベッド脇に倒れているのは失神の場合が多く、変な姿勢で倒れていたり肩が後方脱臼したりしているのは、てんかん発作のことが多いと言われています。

また、舌咬傷にも注意が必要です。場所は奥のことが多いので、しっかりと舌を引っ張って確認することが必要です。

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⑤ 胸痛
胸痛があった場合は、入院時にルーティンでとっている心電図と比較をしましょう。

入院時の検査は意外と確認されていないこともあるため、必ず確認することが必要です。

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⑥ 高血糖
Sliding Scale を使うのははじめの数日だけで、いつまでも使い続けてはいけません。使い続けると急変するリスクが上がるので注意をしましょう。
⑦ K高値
まずは心電図を確認します。変化がなければ、溶血の可能性もあるため、その待っている時間で血ガス測ったりすると良いでしょう。

血中のK濃度を下げる「GI療法」はできるようにしておきましょう。
⑧ 抗菌薬等投与中の皮疹
抗菌薬は直接血管内に入るため、アナフィラキシーになった時の進行速度は早いと言われています。すぐに対応しないと患者さんは心停止に陥ります。

アナフィラキシーでは、10%ぐらいで皮疹が出ないことがあります。
忘れがちなのは消化器症状で、体のいたるところが浮腫んだり皮疹・喉頭浮腫・吐き気や下痢などが起こります。どんな症状があるかをチェックして、アドレナリンの必要性を判断しましょう。

ちなみにアドレナリン大腿外側広筋に筋注します。アナフィラキシーで心停止に至った症例では、ほとんどがアドレナリン投与が遅かったという報告があります。上級医を待たずして、躊躇なく打てるようにしておきましょう。

アドレナリンの効果は、投与したあと経過を見ながら、場合によっては5〜15分ごとに再投与をしましょう。それでもダメな時は「グルカゴン」を投与します。
グルカゴンは末梢が開くため血圧が下がります。基本的にはまずはアドレナリンを2回使う!これがキーポイントです。


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アドレナリン、アドレナリン、それでもダメなら、グルカゴン




7.  最後に

どうでしたでしょうか、『病棟急変 ただいま対応中!

まだまだ坂本先生の面白い講義は続くのですが、今回のレポートはここまでとさせていただきます!

ぜひもっと詳しく知りたい、知識を深めたい、と感じた方は、坂本先生の “救急外来” や “院内急変” に関する著書や雑誌、そして全国各地で開催されている講演会を是非チェックしてみてください!

最後にリンクを貼らせていただきます!



さて、ということで、2020年最初も大盛況で終わったHBD!

次回は、2020年2月15日(土)に飯塚病院から小杉 俊介先生、橋本市民病院から橋本 忠幸先生をお迎えし、“レジデントから始める教育のtips” というテーマで『Residents As Teachers』 を開催します!



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最後はみんなで記念撮影



8.  宣伝★告知

◆ 坂本 壮先生の発信媒体
勉強会ユニット「三銃士
医療雑誌「J-COSMO
・著書「救急外来  ただいま診断中!
・著書「あなたも名医!意識障害
・著書「救急外来 診療の原則集ーあたりまえのことをあたりまえに
・著書「ビビらず当直できる  内科救急のオキテ
・著書「主要症状からマスターする すぐに動ける! 急変対応のキホン


◆ FMラジオに坂本先生出演! 2月14日・21日夕方 放送!
HBDのセミナーの前日、坂本先生が私かわむーがメインパーソナリティをつとめるFMラジオ『医どばた食堂』の番組に遊びに来てくださいました!


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この番組は、
・2020年2月14日(金) 16:00~16:30
・2020年2月21日(金) 16:00~16:30

FMはつかいち 76.1MHz で放送予定です!
ネットラジオ (ライブ)
番組YouTube (タイムフリー)
でも視聴可能ですので、広島西部地区以外にお住いの方もご視聴いただけます。

一般市民向けに「お薬」や「頭痛」「腹痛」「身体の危険なサイン」などをテーマに、わかりやすく丁寧にお話してくださいました!放送では前編・後編に分けてお届けすることになっておりますので、ぜひ2週続けてお聴きください!
公式Facebookページでもお知らせあります。)


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以上、最後まで読んでいただきありがといございました!


2020年も、HBDはさらに盛り上がっていきたいと思っていますので、今年もどうぞ宜しくお願い致します!



かわむーでした。




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