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ゲーム「黒森町綺譚」感想

 「黒森町綺譚」、別名「Tales of the Black Forest」。元は中国のゲームなのですが、舞台は日本です。オススメされたのでプレイしてみました。

ジャンル:アドベンチャー
プレイ時間:4.4時間
媒体:PC(Steam)


■ あらすじ

 Steamから引用します。

高校生の希原夏森は未知の力で黒森町という小さな町に閉じ込められてしまった。
出口を探す途中、謎の少女・桐谷雪と出会う。
彼女によると、この町から逃れる方法は黒森町の「過去」に隠されているという。

こうして、自由を求める二人の不思議な旅が始まる。
黒森町に隠された秘密とは?
個性豊かな妖怪たちの世界と、スリル満点の冒険が彼女たちを待ち受ける。

StoryLine


■ 舞台は日本

 先ほども書きましたが、元は中国のゲームなのに日本のことをよく調べてるな~と思える作りでした。海外製でよくある「なんちゃって日本」ではありません。日本語でのローカライズも素晴らしかった。違和感なしです。あ、主人公の名前だけ、日本人ならあまりつけないような名前だな~って印象です。「希原夏森(きはら かしん)」、かしんって名前だけ中国っぽいかな。

ただ、地下鉄サリン事件をモチーフにしてるようですし、バブル後の話もあるので、苦手な人はいそう。苦手だったらやめた方がいいです。



■ ゲームシステム

ドット

 ドットはこんな感じ。本来ならもっと暗い画面ですが、見やすさのために画面が明るいシーンを選びました。可愛いですね~。RPGツクールって感じで好きです。

UI

 UIはこんな感じ。分かりやすくて良いですね。

UI

操作

 コントローラーを利用しようとしましたが、微妙に対応してない感じだったのでキーボードでプレイしました。キーボードでも問題ないボタン数です。

操作方法

オートセーブ

 こんな親切なの!?と驚いたのがオートセーブ。かなり高頻度でやってくれます。めちゃくちゃ便利。何か進むごとにセーブしてくれてありがとな。
もちろん手動セーブもあります。



■ 難易度はかなりやさしい

すべての道順がわかりやすい

 どの方向に向かうべきか、何を調べれば良いか、すべてがわかりやすい。矢印マークで「ここだよ~」って全部教えてくれる。そのため難易度はかなりやさしめです。難易度を求めてる人は向いてないかも。逆に気軽にやりたい人にはオススメです。

懐中電灯

 画面が暗いため懐中電灯を渡されますが、正直言うと懐中電灯はいりません。一部見辛い部分もありますが、本当に一部だけ。
たしか「電池は消費制」だと言われるのですが、電池を獲得できたのは1回だけにも関わらず全く消費されませんでした。電池ゲットした意味あった?

逃げるのが一番難易度高い

 ホラーによくある追いかけられシーン。捕まったら即死で、本作中では一番難易度が高いのがここ。ですが、他作品と比べても難易度は低めです。死んでもオートセーブさんが良い感じに仕事してくれるため、ロードして繰り返し挑めます。

エンディング分岐前に教えてくれる

 親切すぎて笑ったのがこれです。「ここからはエンディングが分岐するのでオートセーブしません。セーブしたい場合は自分で手動セーブしてね。上書きしないようにね(要約)」と教えてくれるのがめちゃくちゃ面白かった。親切すぎんか?


■ ホラー<和風ファンタジー

 最初はホラーゲームだと思ってたのですが、ホラーとは言いづらい印象です。一応、ほんの少しホラー要素はあるけど、狐の嫁入りや、数柱の神、妖怪っぽいのも出てくるので、和風ファンタジーって感じかな。





~~~~ネタバレするよ~~~~






■ ストーリー

 簡単なストーリーを紹介していきます。エンディングはクリア順に記載。

第一章「鹿骨怪談」

 主人公の希原夏森(きはら かしん)が鹿鳴村に閉じ込められ、白髪の謎の少女・桐谷雪(きりや ゆき)と出会う。雪が言うには今ここに閉じ込められているのは呪いのせいらしい。この町から出るため、隣町である黒森町の劇場に行き、呪いを解くために、主人公は自身の失った記憶が黒森町にある気がするという勘から、二人は協力する。そして電子機器を利用すると特定の時代に移動できる特殊能力が備わったことがわかった。
 鹿鳴町から出ようとしたところ、鬱蒼とした森の中にある橋が大破して渡れない。近くにいた鹿に手段を聞き、過去の狐の嫁入り事件に介入し、橋を渡れるようになった。

ちなみにこの橋には大きな鹿の頭蓋骨があり、その頭蓋骨こそ過去鹿鳴村にて信奉されていた「栄枯」と言う神で、信仰心によって存在していたかの神は村人たちが別の神を信奉したことによって死にます。死んだ結果がこの頭蓋骨です。私はこの神が好きだった……。人間好きの狐に対して時に知識を与え、時に諫め、時に後押しするこの情溢れる神が好きだった……。
一応、土地と栄枯様が一体化して蘇った(?)と語られるのですが、その際に頭蓋骨から草花が成長し、そのおかげで橋が渡れるようになります。好きなキャラの屍の上を歩いて次の町に行くことになるって何?どういう性癖を目覚めさせようとしているの?

第二章「森の猫カフェ」~第三章「猫の列車」

 黒森町に辿り着いた主人公。森の猫カフェで不思議な猫や人に出会い、その人たちを巻き込んで過去に戻る力を誤って使ってしまう。
過去に電車で起きた事件の真相を目にし、なんとか過去から脱出する。その際、森の猫カフェの主人から劇場近くで降っている毒の雨を無効化するお守りを貰う。

猫だらけの可愛い話と、事件の犯人をなんとしても外に出すまいとした女性車掌の話の対比がすっげえ!過去の毒ガス事件発生時について語られています。犯人の一人は悪として描かれていますが、基本やさしい人たちの話なのが面白いなと思いました。こんなやさしい人たちがたくさんいるのに時代が無情って言うね。

第四章「妖怪劇場」

 ようやく劇場に辿り着いた主人公。黒いフィルムを探して観ることで呪いが解けるらしいが、手掛かりはない。妖怪たちが豊神祭という祭りを開催し、劇場に巣食うバケモノを豊神に退治してもらおうとしていた。豊神とは栄枯神の次に信奉されていた神である。劇場内の様々な出来事から失った記憶を取り戻すために妖怪たちに協力し、バケモノをなんとか退治する。

このあたりで時代背景等が明確にわかるようになってきました。

  1. 栄枯神失墜、豊神繁栄

  2. 工場開発投資開始

  3. 豊神失墜

  4. 真理天堂が流行

  5. 東京地下鉄毒ガス事件

  6. 135号(黒森町の電車)毒ガス事件

  7. 黒森町劇場毒ガス事件

こんな感じ。でもここまで来ても、真理天堂については詳しく語られません。基本的に真理天堂に巻き込まれた可哀想な人たちの話なんですね。知らぬ間に悪意がすり寄っているという啓蒙にも見えたかな。

END2「帰途」


 何もわからず呪いが解けるエンド。記憶も失ってるので現実世界の時間が経過していたらこれは一種の神隠しになる気がする。これもこれで「不思議なものとの出会い」っぽさがあって良いですね!

END1「夏花冬雪」


 真相が明らかになるエンド。

 桐谷雪とは豊神の生まれ変わり(と言うが豊神の力を引き出す存在であり、別の存在として豊神はいる)で、生まれてから異形の力を得ていたため村人から嫌われていた雪は、好かれるために豊神の力を使って村の名産品であるスイカを急成長させる「豊水」を与えていた。
 主人公の父親は投資リスクを評価する仕事を請け負っていて鹿鳴村での工場開発を後押ししていた。途中までは順調だったが、株価が急下落したせいで開発は中止となる。村人の悪意に晒されないために妻子のみ先に逃がす父親。だが、妻子の車は事故に遭ったせいで妻は死に、子は瀕死の状態となる。その子を救ったのが桐谷雪だった。雪は豊神の力を子に与え、その力で子を生かした。
その後雪は死んだが、魂のみの状態で存在していた。当時救った子である主人公を呼び寄せ、悪い影響が出る前に力を引きはがそうとしたのが今回の真相だった。雪は主人公に宿った豊神の力は自然となくなるであろうと判断し、二人は別れる。

END2で雪から「あなたが真相を知るには重すぎる」と言われたので諸々の要因は主人公です!ってことかと思ったらそんなことはなかった。道中の怨嗟も工場開発失敗を豊神に押し付けた村人の怨嗟ってことですかね。それらはすべて雪に向いた言葉で、雪と一緒にいるからその怨嗟をもらってるんだろうな。

 主人公の父親はこの時の後悔から経済研究に没頭するようになったんだろうと思いますが、最後の最後でなんとなく和解っぽい雰囲気になって良かったです。でもそうするとEND2では父親とは和解しないってことか~!?


■ クリア後

全体的にやさしい人たちの話

 なんと言うか、悲壮な話ではあるんだけど、やさしい人たちの話だったな~と思いました。そのやさしい人たちがやさしくない人たちに虐げられてる話なんだけどね! 作中でのフォローとして、そういう時代だったよねっていうセリフがありましたが、その通りなんだろうな。

豊神、そんな邪神だった?

 雪は「豊神を成長させたのは自身の村人たちに感謝されたい・認められたいという欲の影響(要約)」と言っていたけど、豊神に操られているような描写も特になかったので豊神が成長して困ったのは栄枯神だけじゃないかな……?と思った。村人が自主的に生贄なってたけど宗教的観点から見れば約100年で11人なら10年に一度レベルなので、マシな数だろうなぁ。でも最初は自主的にやってたことなのに習慣化してくると「強いられてる」と思うの、あるあるだよね。
 豊神は名前を言ってはいけない神とされていたけど、過去の思い出で村人は普通に名前を呼んでるのも不思議。失墜してからそうなったのかな。豊神はもう死んでるというセリフもあったし、雪の死亡=豊神の死亡なんだとしたら、別に名前を言っても問題なさそうなので死後のイメージ操作でもされたんだろうか。
他宗教から旧来の宗教へのイメージ操作はありがちだけど、雪自身も豊神を邪神として扱ってそうなのが不思議だったな。そんな邪神だった?

真理天堂の流行でめちゃくちゃ

 真理天堂の流行で村はめちゃくちゃになったのにこの流行の兆しは特に注目されてないのが意外でした。過去編で描かれているのは全部毒を撒く直前の話だもんな。そりゃ「裏切者!」って言われて殺されるわ。しかも裏切者の妻は「あいつらマジで邪神を敬っててやばいんだけど」みたいな文章残してるし、被害者面して加害者なんですよね。人間ってこういうところある。お前の夫は毒ガスを撒く指示をした加害者だぞ。

主犯残ってるやないかい!

 お気に入りの小説家が真理天堂の主犯である可能性が提示されましたが、もしそうなら通報しろ!と思ってしまいました。ほんのり怖いホラーテイストの演出で終わってましたが、悪い出来事がほぼ現実的なことだったので、「怖い」と思うより先に「通報しろよ!」の気持ちが強くなってしまう。はやく通報して~!






■ まとめ(ネタバレなし)

 プレイ時間は4.4時間。最初はホラーだと思ったけどそんなことはありませんでした。和風ファンタジー微ホラーって感じ。本当に親切なゲームで難易度やさしめ、サクッとプレイできて面白かったです。
でも実際の地下鉄サリン事件をモチーフとしてるので苦手な人はやめた方が良さそう。

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