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ミュージカル「マタ・ハリ」感想

■ マタ・ハリとは

 マタ・ハリという人物をご存知でしょうか。第一次世界大戦中のフランスの世界的ダンサーであり、スパイでもあった(正確に言うとスパイ容疑をかけられた)人です。ちなみに私はFGOというゲームでこの名前を知りました。
詳細はwikipediaでも御覧ください。ここに載ってるマタ・ハリさん、めっちゃ綺麗だから一度見てみてね!!

 私が把握している限りでは、マタ・ハリを題材とした作品は多くありませんでしたが、2018年にミュージカルとして開催することが決定。女スパイの物語をどう描くのかと興味本位でチケットを購入した次第です。
そんなミュージカルの公式サイトはこちら。

最初に結論を言いますが、話は面白いけど演出が全然合わなかったという感想です。


■ 会場と上演構成

 場所は有楽町にある東京国際フォーラムC。2月17日(土)の12時回を観てきました。国際フォーラムは見やすくて好きです!
前半は12:00~13:30、休憩が25分、後半が14:00~15:10くらいでした。





~~~~ネタバレするよ~~~~






■ あらすじ

要約して書いてしまいます。

 第一次世界大戦の中、世界的有名ダンサーであるマタ・ハリは各国を飛び回り多くの人物と親交を深めていた。そんなマタ・ハリに目をつけたフランス諜報局のラドゥー大佐は、マタ・ハリにスパイになるよう要請。マタ・ハリは拒否するが、大佐は出生の秘密を明かされたくなければ受けろと脅す。
そんな中、マタ・ハリは戦闘パイロットのアルマンと出会い、心を通わせる。
その後大佐の執拗な要請は続き、一度だけスパイを受けることを決意するマタ・ハリ。
彼女は任務を達成し、アルマンと親密になっていくが、アルマンはラドゥー大佐の部下で、スパイとして適切な人物か見定めるために近づいてきたことが分かる。
その後フランスの敵国ドイツから偽情報としてマタ・ハリが二重スパイだったという情報がもたらされ、軍は彼女を拘束し、処刑する。


■ 話は面白いのに、演出に違和感

 マタ・ハリのダンサー時代~処刑されるまでを描くこの舞台ですが、話自体はとても面白かったです。
アルマンが任務でマタ・ハリに近づいたのにメロメロになってたり、ラドゥー大佐も基本的には軍のお偉いさん的なポジションで高圧的に接してるのに実はマタ・ハリにメロメロだったり、アルマンはラドゥー大佐の部下なのにマタ・ハリを巡ってバトったり(ミュージカルではお互いの感情を歌い上げながらバトります)、マタ・ハリの衣装係のアンナ(家族のような存在)は誰よりもマタ・ハリを心配して、彼女の人生が健やかであるようにと願ってるのが伝わってきたり、キャラクターも魅力的で面白かったんです。 面白かったのに、演出が合わないところが多くて、それで違和感がつきまとってしまいました。

歌の入れ方

 基本的には良い感じに歌ってくれるのですが、たまに「なぜ今このタイミングで入れたの!?」っていう部分がありました。
例えば冒頭でマタ・ハリ、アルマンの過去をそれぞれがそれぞれのシーンでソロで歌い上げるのですが、その情報今ここでいる????って思ってしまいました。この後に似たような情報を台詞として喋ってるよ…??
いきなりソロでぶっこんできたせいで話が途切れてしまう。歌はうまいのに、テンポが悪く感じられてしまいました。

舞台からの捌け方

 舞台から下がる時が大体みんな駆け足。ドタバタと音がしている訳ではないですが、スサーーー!みたいな効果音が付きそうな、そんな捌け方。そんな急がなくてもいいじゃん…??見ている私が急かされるように感じてしまうので、最初から最後まで忙しい舞台だなと思ってしまいました。
 駆け足で去るようなシーン上の演出ならいい。でも普通に舞台から離れるだけなのに急がれると、現実に戻されてしまう!せっかくマタ・ハリの世界を堪能してるのに。

マタ・ハリとアルマンが初めて一緒に過ごした時の朝日

 はっきり言うと、ここの朝日がめちゃくちゃダサかった。なぜいきなり丸いダンボールみたいなの出してきた!?
これまでにとても綺麗な光の演出をしているんです。朝日を出している今その瞬間も「陽が登っている」ことを演出するため綺麗な光を出して空を演出しているんです。ただ肝心の太陽がだせえ!そこは他と一緒に光でまとめて演出してよかったと思う!

マタ・ハリの処刑時の朝日の演出

 「マタ・ハリは早朝処刑される」ということを言われてから、アルマンと過ごした時の空の演出と同じようにしてリンクさせるんだろう!とワクワクしてました。希望と絶望の対比っていいよね。でも無かった。勘違いでした。演出家と趣味が合わない!!

マタ・ハリ処刑後の演出

 処刑後にマタ・ハリがひとりだけぽつんと舞台に立ち、周りは青い空間として演出されています。そして観客側を向いてにこっと笑い、去っていく。
死後の世界というのはもちろんわかりますが、青い空間ってなんだったの?今まで散々シヴァ神がどうのって言ってたから、そっちの宗教観とか??
 恐らくこれがとても好きな作品であるのならば、この「推測できる余地」は私にとって迎合すべきものでした。ただそれがないと「意味わかんねーな」で止まることが分かりました。うーん、興味が出ない!!



■ 好きなところもある

散々趣味が合わないと書いていますが、もちろん好きなところもあります。

みんな歌がうまい

 みんな歌がうまい~!!最高~!!ここはミュージカルで重要ですね。

「嘘と真は裏表」がシナリオによく合致してる

 嘘と真は裏表、というのがメインテーマだと感じました。作中で主要人物は大体嘘を言うし、でもその嘘が本当のことになることもあるし、立場によって嘘にも真にもなる。それがシナリオや歌に散りばめられていて、とても良かったです。

ラドゥー大佐の一方的な片思いが面白い

 マタ・ハリを脅迫するし、こき使おうとするし、嫌われる要素満載にも関わらず片思いして思いっきり傷ついているのが見ていて面白かったです。土俵にも乗れない!なのにアルマンに嫉妬する!!
 ちなみにラドゥー大佐は妻帯者なのですが、マタ・ハリに構いすぎて妻に見捨てられます。ざまあー!

衣装係のアンナがかわいい

 マタ・ハリの衣装係であるアンナですが、ラドゥー大佐がマタ・ハリに会いに来てまず最初にマタ・ハリに「ここから逃げろ」と忠告。何度も、何度も、軍は危険だし想像以上の出来事に巻き込まれる可能性があるからと忠告してくれますが、マタ・ハリは無視します。それでもなお傍にいてくれるアンナ。
マタ・ハリ心惹かれる人物と出会った時は喜んでくれて、マタ・ハリが落ち込んだ時は慰めてくれて、嬉しい時も悲しい時もいつもアンナが傍にいてくれます。このキャラが本当に好きです。

ちゃんと処刑で終わる話

 マタ・ハリを題材にする以上、処刑で終わっていて欲しかったので綺麗に終わってくれて良かったです。
処刑前の牢屋に入れられている時、面会に来てくれたアンナに対して「今日はどんな感じ?」と聞きます。これはいつもダンサーとして公演する前にアンナと会話してるやり取りでした。気が狂ったのか、それとも最後の舞台と見定めたのかは定かではありませんが、流れに流されこんなとこまで来てしまったマタ・ハリが最後の最後に「マタ・ハリ」を演じられて良かったなあと思えました。




■ まとめ(ネタバレなし)

 面白い部分もあるし、好きじゃないところもある。ただ、もう一度観たいかと聞かれれば否定するかな。だって演出が合わない!!
演出が合えばとても面白いと思うので、機会があれば試しに見てみることをオススメします。

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