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ゲーム「人喰いの大鷲トリコ」感想

 ワンダと巨像もICOもやったことがなく、人間と人間以外のものが仲良くなるという私のツボに刺さるゲームが出てたのでプレイしてみました。PS4のゲーム自体プレイするのは初めてです。

 今作は「トリコが懐いてないと本来なら助けてくれる場面で助けてくれない」だとか「トリコは水が怖い」だとかちょっとした情報を知ってる状態でプレイすることになりました。

ジャンル:アクションアドベンチャー
プレイ時間:15時間
媒体:PS4

■ ストーリー

 最初のプロローグのあと、主人公の少年は大鷲と一緒にどこかの建物に閉じ込められているところからスタートします。少年は村にいたはずなのになぜか建物にいて、すぐ傍には大鷲(鷲といっても犬やら鷲やら色んな動物が混ざった感じ)がいて、自分の体には謎の紋様がつけられていました。
大鷲トリコは傷ついた状態で、首には鎖、体には槍が刺さっています。弱っていたトリコに餌を与え、鎖や槍を外して助け、そこからトリコが段々と心開いて一緒に建物を出るまで懐きます。しかし建物を出てもまた行き止まり。
そこから少年は自分の村になんとか戻るためにトリコと協力しながら先に進む、といったお話です。


■ ゲームシステム

映像が美しい

 映像が本当に美しい。行く先々が美しい。残酷な世界なのに美しいんだなぁ。

通常アクション

 このゲームは主人公の少年と大鷲トリコの一人と一匹で進んでいくアクションゲームです。
あ、羽があるから一羽か?でも犬っぽいから一匹にしときます。
 アクションゲームなので主人公は物を持ったり、ジャンプしたり、トリコを呼んだり、ある程度ストーリーが進むとトリコに指示を出したり出来ます。トリコへは、進む先・ジャンプ・座るなどを指示することが出来ます。トリコの協力なくして先に進めないので、トリコが何かしらの原因で立ち止まると少年が先に行ってその原因を取り除き、トリコを呼ぶことでどんどん先に進めるのです。

ライフ(HP)という概念はない

 そしてこのゲーム、「ライフ」という概念がありません。死ぬのは高所から落下した場合、敵の兵隊っぽいロボットに連れていかれて青い扉をくぐった場合のみです。なので何度も失敗出来る!オートセーブなので、死ねばここからやり直せば出来るってところまで勝手に戻ってくれる!なんという親切設計!
 高いところから落ちると言っても、そこそこの高さの場合は落ちても少年が痛そうにするだけで死にません。そこそこの高さから落ちた時、一回だけ足抱えてゴロゴロされた時があって、それがあまりにも痛そうで思わず声に出して「ごめん……」って謝ってしまった事がありました。……それでも死なない!すごい!親切!!

トリコが助けてくれる

 ちなみにこのゲーム、高所から落ちると死ぬのですが、それをなんと!道中!!トリコが助けてくれる!口で咥えて助けてくれたり、口が間に合わなかったら尻尾を使って助けてくれたりする!!これが息を呑む展開でした。
後々になると主人公が高いところにいると手をこいこいと動かして、まるで「受け止めるから安心してこっち来い」みたいな動作をしてくれるし、実際にジャンプしたら口で咥えてくれるんです。
最高かよ……。本当に最高かよ……(たまに助けられる範囲を越えて死にますが)

戦闘システム

 戦闘と言っても少年は戦えるすべを持っていないため、トリコに任せっきりになります。戦闘は謎のロボット兵隊と、中盤・終盤に大鷲とも対決します。少年は相手を押したり、聞いてるか分からない指示を出したり(トリコは興奮すると指示を聞かないため)、謎の光る鏡でロボット兵隊を一時的に無効化するぐらいしか出来ません。そしてこのロボット兵隊は少年を狙ってくる。弱い、弱いぞ少年!
 ロボット兵隊は槍を使ってトリコを攻撃してくるので、槍が刺さった場合はあとで少年が抜きます。抜く時、トリコは本当に痛そうな仕草なので心が痛い。ごめんねえ……。もっとうまく立ち回ればよかったねえ……。

ゲームの肝、触れ合い

 このゲームの肝は「トリコと触れ合える」というところじゃないでしょうか。
出来ることは「トリコに餌(謎の樽を食べる)をやれる」「トリコを撫でられる」「じっとしてるとトリコが甘えてくる」「トリコの頭を撫でると甘えてすり寄せてくる」「トリコを撫で続けると座ってあくびする」などなど!かわいさ満点!!
トリコと少年がじゃれつくとこなんて、頭をすり寄せて甘えた声を出すトリコに「はは、トリコゥ、XXXX(くすぐったいとか言ってそう)」と聞こえた時なんて、もう、好きぃ…ってなります。癒される。
 トリコに指示を出すっていうシステムの建前も「トリコと過ごしていく内に、少年の動作を真似するようになった。その結果、指示を出せるようになった」っていう設定になってるのが、本当に、良い。
例えばトリコにジャンプをしろと指示を出す時、基本的には移動先にジャンプして次の場所に移動してくれます。ただトリコがどこにジャンプすればいいのか分からない場所だと「キュウ……」みたいな甘えたような困惑したような鳴き声を出して、ただ単にジャンプして終わる。少年の真似をするようになったっていう設定が生きてくる訳ですね。か、かわいすぎかよ……
指示を出す時に全部通じるかと言えばそうではないのですが、そのやり辛さが人間と人間じゃないものの隔てりを表しているというか、通じた時が嬉しくなるゲームシステムがとても良いと思います。

ゲーム内の独自言語

 この世界では独自の言語で喋っています。字幕では何を言っているかわかるのですが、字幕がない時はさっぱり分かりません。なのでトリコを呼ぶ時とかも何を言っているか分からない。
でもこの少年の声の役者さん、声質的に大人ではないと思われるにも関わらず、この独自言語をそれっぽく話せる。説得力がある喋り。すごい、すごいぞこの声優さん!プロだー!!

ちなみに少年以外にも中年も独自言語で喋ります。
この物語は「過去を振り返ってる」というていのため、ナレーションとして中年っぽい男性の声が入るのですが、たまにヒントを出してくれたりします。次に何をすればいいかわからなくなった時、「私はこの時トリコの周囲を注意深く見回した」とかね。でもヒント出るの遅いです!よく考えろってことですねスミマセン!!



~~~~ネタバレするよ~~~~





■ ネタバレ部分のシナリオ

 途中、過去の出来事としてトリコと少年の出会いが出てきます。トリコは少年を飲み込んでさらうのですが、そこから村の人々に追われつつトリコは自分の棲家に戻ってきて、その帰りに雷に打たれて落ち、ロボット兵隊にトリコは隔離され鎖を繋げられ、最初のシーンに戻る……ということらしいのですがこの時点で謎が多く残ります。

 話が進むにつれて、どうやらこの場所は空中に浮かぶ島になっているようだとか、大鷲の巣と言われている場所だとか、この場所は謎のコアが動力源となっていて島全体を動かしているようだとかが分かってくるのですが色々割愛して、トリコと少年は他の大鷲に襲われながらも、そのコアを壊します。
その後トリコは少年を飲み込んで守り、なんとか島を脱出します。トリコはなんとか少年の村に到着して息も絶え絶えな少年を村に届けますが、村人に襲われます(厳密には威嚇行動をされている)。トリコに対して、元の場所(大鷲の巣)に戻るよう少年は指示を出し、トリコはそのまま飛び立っていった。
その後、村の中で錆びた鏡(少年と一緒に吐き出してそのまま拾われなかった鏡と思われる)を村の子供が発見し、少年は既に中年くらいに成長しており、村の子供達に鏡を見せた(見せながら昔語りをした?)…という終わり方でした。
恐らく今までの中年声の語り口調はその子どもたちに対して過去の出来事を語っている、というものなのかなと思われます。

 最後の最後、大鷲が少年と最初に閉じ込められていた場所にひょっこり顔を出したのが良かったですが、恐らくこれはトリコの子供と思われます。トリコは死に体だったけどなんとか子供を残せたってことなのかなぁ。
このお話の主軸は「少年は村に帰りたいと願っている」だったので、最後の最後まで外に出ようとしたのはとても良いと思います。ただ、ご都合主義なのは承知してるけど、トリコを看取りたかった。あの状態で一緒に暮らすほど村人は受け入れられないし、そもそも生きられないと思う。だからこそ看取りたかった。そこが残念です。


■ 疑問点

「大鷲の巣」そのものは一体なんだったのか

 エレベーターがあったり台車があったりトロッコがあったり、必ず何かの手や足を使わせるものがあるので、過去何かしらの知性体が住んでいた残骸で、エネルギーを動かしているコア部分だけが生き残ってる状態なのかなと感じました。
ただ、じゃあそこになんで大鷲が関係すんだよとか、なんで大鷲は鎧っぽいのを着込んでるんだよとか、謎は深まるばかりです。

「人喰い大鷲」とは

 大鷲が人を集めて飲み込む→飲み込んで保護液?に浸す時間が長い程紋様が浮かび上がる→全身に紋様が浮かび上がったら雛のような像の中に人を流し込む→餌である樽が出てくるという流れでした。雛の像にくちばしから直接流し込むのは、恐らく給餌って意味なのかな…?
大鷲の巣のコア(謎の球体)が人を生命力としてるのは確実っぽいです。紋様が現れている少年を兵隊が毎回連れて行こうとしてるのはそういうことかと。
 過去編でも表現されてましたが、たしかに普通に見たら人を食べているように思える。餌である樽はその人間の残り滓か、もしくはコアの糞(といったら汚いですが結局は残り滓)か、もしくは全く別の餌をご褒美で与えている可能性があります。
「人喰いの大鷲はトリコと呼ばれている」と言う通り、過去そういう出来事を目にした人が人喰いと言っているのでしょうね。恐らく大鷲が来る周期があり、すぐ対応出来るように子どもたちをひとつの場所に寝かせていたのが村の出来事の話なのかな…?
悲鳴を上げてから対応出来るのがすごく早かったし、ああいう村で子供だけ寝かせるのは特別なことがない限りおかしい気がするので。

トリコはなぜ鎖につながれてたのか

 大鷲の巣はコアによる生命活動のため大鷲を使い人を集めてるってことでいいと思うのですが、そうなると何故トリコが鎖に繋がれるのかが本当に謎。雷に打たれたせいでいらなくなったのならそのまま放置しておけばいいはずだし、わざわざ兵隊がトリコを回収して台車を使って丁寧に地下に降ろして鎖を繋いでとなると…うーん?
もしあるとしたら仮面が剥がれた事によってコアの言うことを聞かない可能性があるから繋がれてたとか、もしくはそうなる可能性があるからとりあえず鎖に繋いで様子見?その場合、コアの対応が随分人間的だなぁ…。

「選ばれし者」とは

 村の長っぽい人が言ってた言葉ですが、トリコと少年の出会いを見る限りたしかに何らかの選択基準はあるっぽい。あるっぽいけど一体なんなんだろう。少年の目がピンクに光ったくらいしか分からない…。
ただ大鷲の巣はすごく遠いはずで、そこからトリコは一直線に村に来た訳です。場所を知っていたのなら、元から場所を知っていたか何かの発信源目指して一直線に飛んできたか。波長か何かが合ったということかな…?それともあの鏡が何らかの波長を出す装置ってことか…???

謎は深まるばかりです。


■ まとめ

 プレイ時間は15時間くらい。止め時がわからなくて土日使って不眠でやってました。
結末は悲しい結果ですし私はボロ泣きしました。全てを語られる訳じゃないので分からないことも多いです。けど、プレイして良かった。オススメです!
ワンダと巨像やICOは世界観を共有してると聞いたので、これらをプレイしてる方はまた違った楽しみ方も出来るんじゃないでしょうか。私はやってないから分からないけど!
 アクションが苦手な人でも何度でもやり直せるのでストレスなくプレイ出来ると思います。あ、操作性はそこまで良くないので(それが味のあるシステムになってるので)、操作性のストレスはかかるかもしれません。でもオススメです。
ただ、高所とか苦手な人はやめたほうがいいですね。ゲーム内でも気にされる方は特に。私は苦手という訳でもないのに手汗をかきながら高所に挑んでました。いやこの少年すごいよ、ゼルダのリンク並だよ。

いやあ、ほんと面白かったなー!!

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