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【本の紹介】傲慢と善良

映画が9月27日公開予定の『傲慢と善良』

辻村深月さんの作品です。

何度読み返しても刺さる…!

あらすじ


婚約者・坂庭真実が姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。「恋愛だけでなく生きていくうえでのあらゆる悩みに答えてくれる物語」と読者から圧倒的な支持を得た作品が遂に文庫化。《解説・朝井リョウ》

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みどころ

単行本で読み、面白くて文庫版がでた瞬間に購入して、何度も何度も読み返しています。

文庫版『傲慢と善良』

感想

どの世代でもきっと刺さるところがある!と思います。

特に結婚を考えている男女に読んでほしい作品です。

主人公の西澤架、坂庭真実。
この2人の結婚や婚活に対するスタンスの違いや、自意識の持ち方を、周囲の人間の言葉によって炙り出されていくような様子が…心に刺さりまくって痛いのに先が気になって読んでしまう!

そんな魅力に満ちた物語でした。

婚活を通して、自分の生き方とかあり方とか、価値観を見つめ直すのって大事だと思うのですが…それを正確にできてる人ってどれくらいいるんだろう?

相手は自分に相応しい人なのだろうか。
この人に決めて大丈夫なのだろうか。

そんな思いできっと婚活を進めている人が多いと思うのですが…相手にだって家族がいて、心があって、選ぶ権利がある。
婚活をしていると、そんな当たり前なことを忘れてしまいそうになるんだと、改めて突きつけられたような気がしました。

読み手の立場や、今置かれている環境によって、どの登場人物の言葉が刺さるのかは違ってくるかと思います。

そして、共感する箇所も人それぞれ違ってくるような気がします。

それも辻村深月さんの作品の魅力の1つではないかとわたしは思っています。

刺さった言葉

ピンとくる、こないの感覚は、相手を鏡のようにして見る、皆さんご自身の自己評価額なんです

137p(小野里さん)

私自身、友達の紹介で会ったり婚活パーティーなどに参加したりしたあとに、周囲に言ってた気がします。

ピンとこなかった。という言葉。
あぁ、これって自己評価額だったんだ…と思うと、なんて傲慢だったんだろうと思わされました。

自己評価は低いくせに、自己愛が半端ない。

324p(美奈子)

うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!
と叫びたくなりました。

現代人に多いのはこれだ!と。

自分に対する評価や自己肯定感はめちゃくちゃ低いのに、責められないように攻撃されないように全力で自分を守る。
私はこんな人間じゃない。
私はもっと評価される人間なんだ。
そう思うからこそ、ちょっと怒られたら辞める。とか、失敗が怖いから挑戦しない。とかが出てくるのかなぁと。

たぶん…私もそうなんですよねー。
刺さりまくって、刺さりまくって…。

最後に

婚約者の坂庭真実が、仕事を辞めた翌日に姿を消した…。
西澤架は、真実がストーカーに誘拐されたのではと思い、彼女の故郷や友人に話を聞きに行く。

恋愛、婚活、結婚をテーマにしたミステリー小説であり、現代人の心をあぶり出した婚活小説でもあると感じました。

本書で述べられている『高慢と偏見』も合わせて読むと面白いかもしれません。


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