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文【風に心を揺さぶられる日】日記

風が窓を撫でる。
がたがたと音が鳴る。
空には青空が広がっているのに、心を揺さぶるような強い風が吹く日は、理由もなく不安になる。
それに、こんな日に首を晒して歩くと、身体中がたちまち冷え切り、悲惨なことになるのを知っている。
私は白いマフラーを、ピッティ巻きという風が強い日でもへっちゃらという巻き方で首に巻いた。
少し不格好になってしまったけど、まあ大丈夫だろう。
ようはほどけなくて、首に冷たい風が当たらなければ良いのだ。
「よし」
私は誰に言うのでもなく、自分にしか聞こえないくらいの声で、自分自身に気合いを入れた。
毎日のように開けている玄関のドアが、今日は重たく感じる。
緊張からか不安からか。
「風が強いせいだ」
そう言い聞かせ、ゆっくりと歩く。
心を落ち着かせるように、ゆっくりと。
風が私の頬を撫でる。
その冷たさに身震いする。
空の青さが眩しい。
木々が少しずつ色付いていく。
春はもうすぐそこだ。


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