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家、好きすぎるんだが

この家が好きだ。

1回目の転職を機に、生まれ育った大阪を出て、今の家に引っ越してきた。

「家賃は共益費込みで8万5千円までしか出せません。だけど最上階の角部屋じゃないと嫌。絶対に鉄筋コンクリート造で、お風呂とトイレは別じゃないと住めません。寝室と生活スペースは分けたいし、部屋数は多ければ多いほどいいので、2DK以下は検討しません。」

無茶苦茶なお願いだということは百も承知で、そんな条件で手当たり次第に不動産屋さんを回った。
5軒の不動産屋さんを経由して20以上の部屋を内覧し(そもそも、よく20も条件に合う部屋があったもんだな、と思うが)、最後に出会ったのが、今住んでいる家だった。

間取りは2DK。もちろん最上階で角部屋。
和室と洋室が一部屋ずつで、それぞれ十分な広さがある。東向きにニ部屋続きのベランダがあり、採光と風通しはばっちり。北向きに出窓があって、これがまたオシャレ。キッチンダイニングは少し手狭だけど、ニトリ製のダイニングセットが置けるくらいのスペースがある。残念ながら洗面台は独立ではなくお風呂付だったけど、バストイレは分かれている。足を伸ばして浸かれるバスタブと、脱衣所も完備。でかい押し入れが二間も付いていて収納もバッチリ。少しコンセントの位置が悪くて数が足りないけど、都市ガス用の暖房機器も使える。

「家賃の方、大家さんが『一人暮らしの若い女性を応援したい』と言って、3,000円まけてくれました。87,000円で予算からは少しオーバーですが、いかがでしょう?」

30分後には、不動産屋さんで契約書に印鑑をついていた。

こんな夢のような住まいある?ほとんどすべての条件を満たしていて、まったく言うことがないんだが。

8月からの勤務開始に先立って、7月頭に引っ越しをした。
でっかい冷蔵庫、オーブン機能付きの電子レンジ、新しい洗濯機、ダブルサイズのベッド、好きな本が全部入る、大きな本棚。
命を削って稼いだお金で、一切の妥協をせずに物資を揃え、本当に欲しいものだけを詰め込んだ、私の住まいが完成した。

晴れた日。ベランダの窓と、キッチン側の窓を開けると、何もしなくても風が通っていく。家の周りは閑静で、時々遠くから子供の声が聞こえてくる。

まじで、いい家だな、ここ。

新しい街でも無事友達ができ、いろんな人がうちに遊びに来てくれたけど、みんな「居心地がいい部屋だね」って、言ってくれる。そうでしょう、そうでしょう。本当にいい家なんですよ、うちは。

最近では、実家よりもこの家にいる方がほっとするし、帰省や出張を経て久方ぶりにうちに帰るとき、ドアを開けるといつも「帰ってきた~」と思って泣きそうになってしまう。

ただいま、愛してるよー、私の部屋

生きることって辛くて苦しいけど、この部屋が待っていてくれるなら、頑張れちゃうなって、おもってるよ。

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