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ほとり

牛乳をあたためる

大通り沿いの窓際で

ゆっくりと飲む

部屋の明かりをオレンジにして

ソファにくったり沈みながら文字を打つ

もう眠ってしまいたい気もちと まだ眠りたくない気もちが

揃ってこっちを見てくるかんじ

眠らない、と眠れない、の間の気分

わたしは今週からその気もちを、ねむりるない と呼んでいる

ねむりるないでいる今

あたまのなかでわいわいしている色々の

いまはどれとも目を合わせないで

どこかの森のフクロウの気もちになる

夕食に飲んだスープのにおいが

おでこから香ってるような気がするけれども

それもまたなんとなくのテキトウなわたしの感触

確かめようもないが

"そんな気がする"ときの現実は

四捨五入すれば二通り、

その通り か、 気のせい

あしたは満月

暮れた空の表情がおもしろくて、職場から自転車で 東を目指しながら楽しんだ。さむいなか御使いに出掛けたけど だから苦じゃなかった

あの月と遠くはないサイクルで、じぶんのなかにも満ち欠けがある

ひびのかなしみとよろこびはさておいて

浮き沈み、得手不得手、それらと似たかんじの、満ち欠け

それには ポジティブな日とか、のどの渇く日とか、涙もろい日とかの種類がある

今晩は どんなに食べてもお腹が満ちない日だった

時間をかけて よく噛んで 食べ続けた

ぱくぱくもりもりがぶんがぶん

そうしたあとに

でもまだ欠けてる気がするものだから   

カルシウムを摂ろう、とか頭で言いながら

マグカップを相棒に

動けないでいる

いや 動かない、と 動けない、のあいだの気分だから

ねむりるない、の法則に沿うと

うごきくない、となるかもしれない

うごきくないでいる今

むかしはホットミルクなんて好きじゃなかった

関係が変わるのに特別なものがたりがあった覚えはない

いつの間にかわたしには

きらいなものが減って

すきなものが増えている

視界のぜんぶに目を向けて、じぶんのグラフに無理繰り当てはめて、時間を費やしていたのかもしれない。そんなこと出来っこない、しなくていい、と今はおもう

あまり激しい気もちを持つことはなくなった。なにかに対するすききらいをはじめ、だれかと関わるときの温度とか、感触とか、そういうものがするっと均されたみたいだ

わたしを中心に、内にも外にも飛び出していたとんがりが減って まるくなってきた

そんな気がする

しかし

丸くなるな、星になれ。

というキャッチコピーはずっと好きだなぁ

ビールは飲まないけれど

機会があれば乾杯しましょう

今この瞬間の夢は、まるい無害なおふとんになること

さめた牛乳と月のつめたさには

たぶん近いものがある

そう思いながら

ねむりるない、うごきくないモードを脱出する

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