二十歳の着物のその後のお話
先日、母の米寿と私の還暦を一緒にお祝いしました。母はレモンイエローの色無地に西陣の帯、私はサーモンピンクの鮫小紋に宝相華の刺繍帯、お祝いの席ということで思いっきり弾けた着物コーディネーションにしてみました。
私の着たサーモンピンクの鮫小紋は二十歳の振袖の際についで買いしたもので40年前の代物。袴に合わせて卒業式、お仲人さんにご挨拶、友人の結婚披露宴などなど、たくさんのシーンで着た記憶があります。色がサーモンピンクですのでここ数年はちょっと敬遠しておりましたが、赤いものを身に着ける風習があるという還暦にはこのサーモンピンクの着物を着る!と思い立ちました。還暦の私とこの着物、まさかの組み合わせですが・・・。
一方の振袖ですが、我が家においては振袖は買わない方針でしたが、直前になりなぜだか買う流れになりました。母は紅型が好きで、たまたまお手頃価格の紅型の振袖に出会ったから、母が買いたくなったから、ではないかと推察しています。こちらも40年前の代物。白地に朱色を中心とした古典柄の紅型です。
その後振袖は成人式以外に着た記憶がなく、ずっと私の箪笥に眠っています。袖を切って訪問着にする案もありましたが、そのままの形状をとどめています。そもそも、紅型の訪問着ってあまり見たことない気がしますが・・・。というわけで、二十歳の振袖はたまに取り出しては眺める専門の着物です。他の形状に変更したり、他人に譲る気になれず、将来、もしかしたら私の子孫が着てくれることがあったら嬉しいなぁ~、自身では二度と着ないだろうなぁ~(当たり前!)、と思っていました。
還暦とは、十二支と十干の組み合わせが60年でひとまわりするため、暦がひとまわりして再び生まれ変わる意味があるそうです。今年生まれ変わった私は、赤子のようにサーモンピンクの鮫小紋を着たくなったのかもしれません。もしかしたら、20年後、80歳の折には傘寿のお祝いで二十歳の紅型の振袖を着ているかもしれません。サーモンピンクの鮫小紋と紅型の振袖、どちらも色あせることのない二十歳の着物がたりです。
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