鳥インフルエンザとはなんぞや
多発している鳥インフルエンザについて調べてみた。
2週間ほど前の記事で鳥インフルエンザについて扱ったが、書きながらよく知らなかったことに気づいたので、勉強のためにも調べてまとめてみようと思う。
ちなみに、香川県でコウノトリが鳥インフルエンザに感染して死んでいるのが見つかったそうだ。国内初の事例とのこと。
まず、特定家畜伝染病防疫指針における「鳥インフルエンザ」の定義を見てみよう。
特定家畜伝染病防疫指針とは家畜の伝染性疾病の発生予防や蔓延防止を処置するために行政が連携して取り組むための指針である。
はっきり言って、一読ではよく分からなかった。
鳥インフルエンザには3つの種類あって、そのうちのひとつが「鳥インフルエンザ」?
どういうことなのか。
他の資料も参考にするとこういうことらしい。
まず、総称としての鳥インフルエンザには「高病原性鳥インフルエンザ」「低病原性鳥インフルエンザ」「鳥インフルエンザ」の3種類が存在する(以下この3種類を述べるときは括弧「」付で記す)という。
そもそも、インフルエンザウイルスはA型、B型、C型の3種類に分類されている。そのなかで鳥インフルエンザはA型インフルエンザウイルスに属しており、このA型インフルエンザウイルスは以下のような構造を持っている。抜粋と一部表現を変更して引用する。
単純に考えれば、組み合わせの可能性としては144通りの亜型があることになる。しかし、現在のところ報告されている亜型はそれほど多くない。
例えば、1918年から1920年にかけ全世界的に大流行したスペイン風邪はH1N1亜型にあたる。1957年から1958年にかけて世界的に流行したインフルエンザ、通称アジアかぜ(香港かぜ)はH2N2亜型である。
では、鳥インフルエンザはどのような亜型なのか。
先に述べたように、鳥インフルエンザは「高病原性鳥インフルエンザ」、「低病原性鳥インフルエンザ」、「鳥インフルエンザ」の3種類に分類されている。
そのうち、「高病原性鳥インフルエンザ」と「低病原性鳥インフルエンザ」は”H5”もしくは” H7”亜型の A 型インフルエンザウイルスに当たる。「高病原性鳥インフルエンザ」に関しては、”H5”と”H7”亜型以外の可能性もありうるが、ほとんど確認されていないという現状らしい。
もう1種の「鳥インフルエンザ」は”H5”と”H7”亜型以外のA型鳥インフルエンザウイルスによって引き起こされるとされている。
「高病原性」と「低病原性」の違いは何だろうか。
冒頭に載せたコウノトリをはじめ、ニュースでよく取り上げられるのは「高病原性」のほうである。
名称からも分かると思うが、「高病原性」のほうが強毒で、「低病原」のほうが低毒になる。
実際、平成23年4月に家畜伝染病予防法が改正される以前は高病原性鳥インフルエンザを強毒タイプと弱毒タイプに分けて分類されていたらしい。しかし、国際獣疫事務局(以下OIE)が定めている国際的な基準に合わせるため同法を改正して、「高病原性」と「低病原性」、さらに”H5”と”H7”亜型以外の「鳥インフルエンザ」に分類を変更したという経緯がある。
H5”もしくは” H7”亜型の A 型インフルエンザウイルスによる鳥インフルエンザ、つまり「高病原性鳥インフルエンザ」か「低病原性鳥インフルエンザ」であるかの判断にもOIEが定義する基準を拠り所としている。
検査によってこの基準に当てはまるかどうかで「高病原性」かどうかを判断して、当てはまらなければ「低病原性」と下している。
「高病原性」に感染した鶏の場合、10日以内に75%以上の確率で死んでしまう。かなりの猛毒性である。症状としては、元気消失、食欲・飲水欲の減退、産卵率の低下、呼吸器症状、下痢、肉冠・肉垂・顔面の腫れやチアノーゼ、脚の浮腫や皮下出血、神経症状などが見られる。
「低病原性」に感染した場合は咳、くしゃみ、喘鳴、流涙など呼吸器症状がよくみられる程度だという。死亡率も低く5%以下とされている。
しかし、「低病原性」という判断が下されたとしても、感染を繰り返すことによって「高病原性」に変異する可能性があるため、一安心できたとしても予断を許してはくれない。
どのような感染ルートが考えられるのだろうか。
日本での感染経路と農場内での感染経路はとしては現状として以下の可能性が考えられている。
おそらく、現状では日本への感染経路は渡り鳥になるのではないかと思う。そして、農場内への侵入経路は、近辺に生息するネズミ等を媒介としたり、感染した鳥類そのものが飛来してくることによる可能性が高いのではなかろうか。
あらためて亜型の話に戻ろう。
よく報告されている「高病原性鳥インフルエンザ」はH5N1亜型である。
この亜型は鳥類だけでなく、哺乳類への感染も確認されている。いずれの場合も感染した鳥類を食べたことによって感染したと考えられているが、感染実験ではフェレット、カニクイザル、アカゲザル、ラット、マウス、ウサギ、アカギツネにも感染・増殖することが確認されている。
もちろん人間も例外ではない。10年以上も前になるが、ニュースでよく取り上げられていた時期があった。
人間にはH5N1亜型だけでなく、H7N9亜型による感染も報告されている。
別に脅すわけではない。人への感染は稀であるし、感染した鳥類などの死体や糞、臓器などを濃厚接触した場合に可能性がある程度である。日本での発症例はなく(検討が必要な事例が1例あり)、人から人への持続的な感染も確認されていないとされている。
余計な不安は不要だ。僕もコロナで振り回されて疲れ果てている。恐れを煽る気にもなれない。
しかし、人にうつるかどうかは多くの人の関心事だと思う。だからこそ、不安になるのだし。
逆に言えば、人に感染することがなければ、それほど危険なウイルスでなければ特に関心を持たないのかもしれない。
実際、ニュースで”鳥インフルエンザが発生しまして、全て殺処分しました”、とか流れても、今ではそんなに驚かなくなってしまっている僕もいるし。
だからこそ。
人への感染は稀である。けど、遠く離れた世界の話に聞こえるが、僕たちの食や生活に関わることであるから、やはり、どんなウイルスなのかは把握しとこうと思って、今回調べながらつらつらと書き綴ってみた。
他にも書き記したいことがあるが、これ以上風呂敷を広げてしまうと、際限がなくなってしまう。
またいつかあらためて書くとして、今日はここまで。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
もし説明に間違いがあれば、教えていただけるとありがたいです。
参考資料
・高病原性鳥インフルエンザQ&A(東京都)|農林水産|東京都産業労働局 (tokyo.lg.jp)
・我が国における鳥インフルエンザの分類 (maff.go.jp)
・鳥インフルエンザ「なぜ全て殺処分するの?」「ワクチンはないの?」疑問を解説【みんなのハテナ】(KSB瀬戸内海放送) - Yahoo!ニュース
・6_chpt4.pdf (env.go.jp)
・人間への感染が見られたA型インフルエンザウイルスの亜型について 横浜市 (yokohama.lg.jp)
・FORTH|お役立ち情報|感染症についての情報|鳥インフルエンザ(H7N9、H5N1)
・動衛研:家畜の監視伝染病 家畜伝染病-25 低病原性鳥インフルエンザ(low pathogenic avian influenza) (affrc.go.jp)
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