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物々交換 小麦料理と花粉症(前篇)


失ったものも大きいが、得たものは非常に多いと、この季節になると実感する。

僕は小麦を含む食品を食べられなくなったが、引きかえになぜか花粉症が発症しなくなった。因果関係が解明されていないので“引きかえ”と表現するのは正しくはないのだろう。けど、あくまで僕自身の体感からすると“引きかえ”と言っても間違えではないように思える。

小麦が食べられなくなったのは4年半前からである。正確にいうと、小麦等に含まれるグルテンが食べられなくなった。摂取するとお腹を下してしまう。グルテンが消化されずに異物と見なされて、免疫機能が小腸を攻撃して炎症を引き起こす。その結果、栄養の吸収が阻害され、下痢や倦怠感などに見舞われてしまうのである。

一般にこのような症状はグルテンアレルギーやグルテン不耐症と呼ばれ、または遺伝性の病気であるセリアック病と診断される。俳優のディーン・フジオカやテニスプレイヤーのジョコビッチもグルテン不耐症であると言われている。

僕の場合はとにかく下痢に見舞われた。一日に何度もトイレに駆け込み、トイレにすぐに行けない空間にいられなくなってしまった。長時間の電車やトイレの付いていない高速バスに乗れなくなったのである。
半年ほど下痢の症状が続いた挙句、血が混じるまでに至ったため、胃カメラと大腸内視鏡検査を行った。しかし、血の原因は過剰な下痢による炎症で、下痢の根本的な原因は分からなかった。

小麦が原因だと気づいたのは、試しに小麦を断ってみたことがきっかけである。当時は、不調の原因に小麦が槍玉に挙げられることが増え、先に挙げたジョコビッチの食事法が巷で知られるようになっていた。
はっきりとは覚えていないが、僕も何かで小麦が身体に不調をきたすと知ったのだと思う。何も解決策を見出せていなかったので、物は試しと思い小麦を断ってみた。

すると、3日で効果が表れた。7か月ぶりに快便であった。QOLのどん底を這うような生活から脱した瞬間だった。
思い返せば、以前から菓子パンやホットケーキを多量に食べると、倦怠感に襲われたり、便通が悪くなることがあったような気がする。確信が持てないのは、そのときだけの一時的な症状だったので、小麦が原因だとは全く考えもしなかったからである。

以来、グルテンを含む食べものは控えている。僕の場合は病院できちんと検査したわけではないので、下痢の原因がグルテンだったのかは医学的には不明である。けど、実証的にも、体感的にも小麦を止めた途端に便通が改善したのだから、小麦が原因だったのだろうと僕なりに結論づけている。

後半に続く

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