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2月の味覚と灯り|あぶり珈琲と和蝋燭

寒いキッチンで淹れる朝一番のコーヒーが、からだも心もあたたかくしてくれる頃になりました。今回は2月の定期便に添えたブレンド珈琲の実店舗、あぶり珈琲さんへの取材をご紹介します。

新月の日に届く和蝋燭の定期便 灯火日和ともしびより
味覚と灯りコース 
2月の美味しいあれこれ:あぶりブレンド No.1 -浅煎り- 粉200g (あぶり珈琲)

はじめに

HAZE店舗より歩いて3分の距離にある、あぶり珈琲さん。アンティークの家具やおしゃれな雑誌が積んである店内は、一歩足を踏み入れるだけで別世界へと誘ってくれます。

川越の街・川越の人に寄り添う素敵な喫茶店。ノスタルジーなお話から、コーヒーと和蝋燭に共通する「癒し」とは?など、マスターの林さんとの対談です。

珈琲をご用意して、ごゆっくりお読みください。

小さな路地裏で見守る、川越の街、川越の人

蔵づくりの建物が立ち並ぶ一番街は、人気の観光地です。時の鐘など観光名所の賑やかな通りの脇道に入ると見えてくる、あぶり珈琲。

—— 川越でスタートされたのはいつ頃ですか。
20数年前になりますね。「いい物件があるよ」と紹介してもらったのがきっかけで川越に来ました。
開業したときは、川越のことは全く知らなかったんです。ですが、近隣の老舗の料亭やお寿司屋さんなど、皆さんが良くしてくださいました。

元々はインテリア事務所だったのを改装して、好きな家具を少しずつ集め、改装して始めました。

観光地として盛り上がれば、その地に暮らす人々にとって大切な場所、居心地のいい場所は限られてきます。

—— どんなお客様がいらっしゃいますか。
そうですね。今も昔も、お一人で利用される方が多いです。店内で喫煙ができていた頃の話ですが、川越に嫁いできた女性のお客様が、タバコを吸いにおひとりでいらっしゃることもあれば、常連のお子様が時を経てうちでアルバイトをするようになったり…

—— 地元の方々にとって人生の一部になっていますね。ご近所にあるスカラ座さんとの距離感や関係性もいいですよね。
スカラ座のお客様は、映画を観終わってうちに来て、コーヒーを飲みながら余韻に浸っていらっしゃいます。スカラ座は一度は閉じてしまったんですが、今はNPO法人の皆さんが運営しています。びっくりするような大物の監督さんや俳優さん方が、映画人としてスカラ座を大切にされていますね。

この間も、山田洋次監督がいらっしゃいました。喫茶店がお好きなようで…大変光栄なことでした。

珈琲で、和蝋燭で、ニュートラルになるひととき

—— コロナ禍におけるコーヒーの役割とは、どのように感じられますか。
そうですね。在宅ワークが広がるにつれて、自宅でコーヒーを飲む方が増えたと思います。
自宅で仕事をする中で、仕事と休憩のメリハリや気持ちの切り替えに、コーヒーはぴったりですよね。

—— ワンクッションの行為があるのと無いのでは全く違いますね。我々も、和蝋燭がそんな暮らしの一部になることを目指しています。
ただコーヒーを淹れる時間、飲む時間、その時間が大切なんだと思います。深呼吸するのと似ていて、コーヒーを飲む行為がワンクッション入ることによって、気持ちがニュートラル(中道)になると感じます。

—— ちなみに、一杯のコーヒーができるまでの過程で、林マスターの一番心静まる時はどんな時ですか。
あんまり考えたことありませんね(笑)。強いて言うなら、焙煎している時は何も考えていない無の状態です。ドリップをしている時も、あんまり深くは考えていませんよ。好きが高じて、ここまできました。

カフェオレは、自分でミルクを注ぐ
ふわふわのフォームミルクが、たまりません。

さいごに

以前あぶり珈琲で働かれていた方が、今は川越を盛り上げる一員として働いていると聞きました。あぶり珈琲を通して、川越の魅力を感じられていたのかも知れません。
必要とされている人が、必要とされている場所に運ばれるように縁が張り巡らされていると感じました。

あぶり珈琲のコーヒーを淹れて、和蝋燭の灯火の揺らめきに身を任せながら、自分の周りにはどのような縁があったのか、振り返るときを持ってみてはいかがでしょうか。


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