運動会が嫌いです。(『おはなし仙人の勝手に人生相談』その8)

相談者(自称 小学生):運動会が嫌いです。走るのが遅いので、みんなに見られるのが恥ずかしいです。今年は中止になってくれないかなぁ…

おはなし仙人:運動会なんて無くしてしまえばいいと、わしも思っておるのじゃ。みんなが走ったり跳んだりして競争するのを見て何が面白い? 運動が得意な人はいい気分になれるかもしれないが、苦手な人はたまったもんじゃないだろうね。赤組と白組に分かれて闘うなんていうのもくだらない。そんな闘いごっこをして、競争心や闘争心をかきたてても仕方がない。それが高じたのが国同士、民族同士の戦争ってもんだ。騎馬戦なんて、まさに戦争ごっこじゃろ。たたかいは好きじゃないね。競争もくだらない。

走るのが遅いヤツは、一所懸命走るのなんてやめて、歩いてやったらいい。走りたいヤツだけ走って、歩きたいヤツは歩く。好きにしたらいい。スキップしたいヤツはスキップして、バックで走りたいヤツはバックで走って、自分の好きにしたらいい。家に帰りたいヤツは帰ればいい。マイペースが一番。自由が一番さ。みんなで位置についてヨーイドン!なんて、馬鹿らしいね。1位になったヤツは喜んで、ベッタは悲しんで、途中でコケたヤツは恥ずかしがって…そんなのをみんなで鑑賞して何が面白いんだろうね。パン食い競走なんて、食べものをおもちゃにして、パンに失礼じゃ。やらされてるヤツらじゃなくて、好きにやってるヤツらを見ているほうがよっぽど面白い。

バレンタインデーが嫌っていう相談もあったが、学校で嫌なことがあったら、解決策はワンパターン。休んでしまえばいい。ズル休みなんて思うから気が引けるんじゃ。そんなくだらないことを平気で全員に強制するほうがよっぽどズルいんじゃから。

親が納得しない? 運動会がどうして嫌なのか、もう一度よく考えて、言葉で説明できるようにして、まずは粘り強く自分で話してみることじゃね。それでも納得しないようなら、わしが話をつけに行ってやろう。なんなら、学校の全校集会に行って、運動会がいかにくだらないかを校長や先生や全校生徒に話してやってもいい。そんな話をするとわかっていれば当然呼んでもらえないだろうから、とりあえず、おはなし仙人の訓話ということにしておいて、演題は「教育と運動 ~自由に生きるために~」とでもしておこう。これなら演題がウソだった、ということにはならんじゃろ。

運動会が嫌いなのは、学校であなた一人だけではないはずじゃ。運動会嫌いなヤツを探して、署名を集めたり、みんなでボイコットするのもいいかもしれんな。世間の当たり前に、一人ではむかっていくのは難しいことじゃ。仲間を増やすといいね。話してみると実は運動会が嫌いだった、ってヤツは案外たくさんいるかもしれんぞ。誰かが最初に一歩踏み出すことで、大勢が救われるってもんさ。そのためには相応の決意と勇気と粘り強さが必要だが、その気になればできる。最悪、誰も味方になってくれなかったら、運動会当日に自信をもってサボればいいだけの話じゃ。あとから先生や親に叱られる可能性はあるが、叱るほうがおかしいのだから、叱られてしょんぼりしているフリでもしてやればいい。何事も結果を自分で引き受ける覚悟は必要だが、結局、何を選ぶかじゃね。まぁ、あなたの決意と選択次第じゃ。好きにやっておくれ。


(おしまい)

※架空の人物「おはなし仙人」が架空の人生相談に答えるシリーズです。
筆者はおはなし仙人と同一人物ではありません。

※なお、おはなし仙人は修行とお昼寝でいそがしいため、コメントをいただいても返事ができません。コメント自体は歓迎で、いただいたコメントはおはなし仙人にお伝えしておきます。

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