マンションの騒音やタバコの臭いに困っています。(『おはなし仙人の勝手に人生相談』その10)

相談者:マンション住まいなのですが、上の階から聞こえてくる足音が仕事中に気になるし、ベランダは隣人のタバコの煙が漂ってきて洗濯物に臭いがついて困っています。何度か苦情を言いに行ったのですが、改善してくれる気配がありません…。

おはなし仙人:現代社会の人間の暮らしというのは大変なものじゃな。薄っぺらな壁や板を隔てて左右上下、他の人間が暮らしていると、トラブルが付きものじゃ。あなたはそういうリスクがあるのを覚悟してマンション住まいを選んだのかね? 都会で一軒家暮らしは難しいからね、たいてい小さな箱に押し込めらちゃうわけで、お気の毒なものじゃ。

苦情を言いに行っても改善してくれない、というのはどういうわけじゃ? 改善するのが難しいのか、改善する気がないのか、はたまた嫌がらせなのかしらんが、精一杯頼んでも改善してくれないというなら、相手が改善してくれることはもう半分諦めてしまって、自分にできる対策に集中するというのもありかもしれんな。動かない他人を動かそうとするのは、残念ながら無駄な抵抗、というのは世の中によくあることじゃ。変わらない他人を変えようとするのはエネルギーの要ることで、精神的ストレスも大きい。

自分の側でできる対策は、自分で考えればいいことじゃが、うるさいなら耳栓やイヤーマフなんぞを装着すればいいし、洗濯物の臭いが気になるなら外に干さずに室内乾燥機なんぞを導入すれいい。仙人のわりに、こういう道具にはなかなか詳しいだろ? まあね、そういう相談はよく聞くんじゃ。世の中、こんな住環境じゃ、どこも同じような悩みばかりじゃよ。

三度目の正直、なんて言うが、2回相談しても変わらない相手じゃ、50回言っても駄目だろうね。そのうち逆上してくるだろう。触らぬ神に祟りなし。どうしようもないと思ったら、逃げるが勝ちじゃ。

ワシなんて、面倒なところからは次々におさらばして、いつの間にか「仙人」なんて呼ばれるようになってしもうた。仙人といっても、そう立派な仙人というわけではなく、「おはなし仙人」じゃがな。ストレスの多いところで毎日暮らしておったら身も心ももたないってもんさ。逃げることは恥ずかしいことではない。自分が心地よくない場所からは、積極的に逃げることじゃな。地球は広い。逃げ場所はいくらでもあるもんじゃよ。

(おしまい)

※架空の人物「おはなし仙人」が架空の人生相談に答えるシリーズです。
筆者はおはなし仙人と同一人物ではありません。

※なお、おはなし仙人は修行とお昼寝でいそがしいため、コメントをいただいても返事ができません。コメント自体は歓迎で、いただいたコメントはおはなし仙人にお伝えしておきます。

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