子どもが「将来の夢は特にない」と言うんです。(『おはなし仙人の勝手に人生相談』その1)

相談者:小学生のうちの子どもが、学校で将来の夢を書かされたのですが、「特にありません」と書いたらしいんです。そんな夢のない子どもで大丈夫なのでしょうか?

おはなし仙人:はっはっ! 正直でいいね! そんなこといきなり聞かれてもこまっちゃうね。

子どもの問題というよりは、大人の問題なのかもしれんぞ。夢を与えられるような大人がいるかい? 楽しそうな顔をして毎日生き生き働いている大人はどれくらいいるだろう? 辛そうだったり、つまらなさそうだったり、疲れた顔をした大人の顔ばかり見ていたら、子どもたちは夢をもてるだろうか? 

子どもの「将来の夢」にどんなものが多いか、この間、道端で拾った新聞にも載っていたが、男女別で見ると、男はスポーツ選手とか、医者とかね。スポーツが好きなのはわかるが、医者になりたいっていうのは、親に教え込まれたんじゃないかと勘ぐっちゃうね。女は保育士とか看護師とかね。どっちも大変な仕事で、覚悟がいるよ。本当になりたいんだろうかね? ケーキ屋とか花屋とかも人気だね。

心配ない。子どもの頃のクラスメートで将来の夢は「ケーキ屋さん」「花屋さん」って書いた人で、本当にそうなった人知ってる? みんなだんだん、「現実的」ってやつになっちゃうんだね。だけど、この「現実的」ってのがくせ者だね。ケーキ屋さんや花屋さんになりたかったらなれるのに、だいたい高校生くらいになると、勉強ばかりさせられてきた呪いにかかって、つまらない路線に走っちゃうわけさ。

みんなと同じような、予定調和的な将来の夢を書くよりも、「特にありません」って書けるほうが、よっぽど毒されてないかもしれないね。自分に正直に生きていれば、やりたいことなんていくらでも見つかるだろうさ。親の心配、子知らず。心配するだけ損、損。過保護は毒。子どもはある程度放っておいたほうが、自分の道を見つけるよ。

(おしまい)

※架空の人物「おはなし仙人」が架空の人生相談に答えるシリーズです。
筆者はおはなし仙人と同一人物ではありません。

※なお、おはなし仙人は修行とお昼寝でいそがしいため、コメントをいただいても返事ができません。コメント自体は歓迎で、いただいたコメントはおはなし仙人にお伝えしておきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?