マガジン

  • 万華鏡ー私のミャンマー物語

    ミャンマー軍事政権の終わりから民主化まで、ミャンマーの1地方で3年過ごした日々を綴ります。限りないミャンマーへの愛とともに書く、まるで万華鏡のようなミャンマーでの徒然。

最近の記事

万華鏡ー私のミャンマー物語 ミャンマーのオリンピック選手

各国の選手が国旗を背負い、期待を背負い、自分を信じて熱い戦いを繰り広げている東京オリンピック。そこに、ミャンマーの代表として2名の選手が参加している。 バトミントンのテッテ ター・トゥザ選手と、射撃のイェ・トゥン・ナウン選手だ。 オリンピックにミャンマーのバトミントン選手が参加するのは今回が初めて。 テッテ ター・トゥザ選手はインタビューに「自分の国を代表してオリンピックに出場した最初のバドミントン選手になれたことを誇りに思う」と語るも、クーデター政府の元での大会出場につい

    • 万華鏡 ー私のミャンマー物語、2009年のミャンマー までの道ー

      2009年3月、NGO職員として私はミャンマーと再会した。 大学卒業後、農業高校の教師を経て念願のアフリカに行ったのが2007年。9ヶ月のインターン期間を終え日本に帰国したのが2007年の年末。 次は南米で活動する団体に入ろうと検索を始めた私に天啓が降りた。検索ワードは「南米」だったのに、何故か「ミャンマー駐在3年間」がヒットしたのだ。私の人生で天啓という物があるのであれば、これが二回目だったと断言したい。余談だが1度目は同じ「南米」で検索したにも関わらず、イギリスで研修

      • 万華鏡ー私のミャンマー物語、そのはじまりー

        現実のミャンマーに初めて出会ったのは確か大学2年の夏休み。まだバリバリの軍事政権だったはずの1999年。 なぜ行ったのかと言えば、母が誘ったからだ。母は行ったことがない場所なら恐らく北朝鮮以外は何処へでも行くという人で(いや北朝鮮にも行くかもしれない)兎に角、軍事政権下の国というのは母の好奇心を止めるストッパーにはならなかったらしい。自ら鎖国を自認していた父は父独自の判断により快く「行ってらっしゃい」をしてくれた。 かくして、母と私と末の妹はミャンマーに出会った。それは、

        • ごめんと思うその時も 辛いと思うあの時も 嬉しかったあの日も 消えたい日も 全部、何かのせいなんじゃない 何かのおかげなんだと思っていよう

        万華鏡ー私のミャンマー物語 ミャンマーのオリンピック選手

        • 万華鏡 ー私のミャンマー物語、2009年のミャンマー までの道ー

        • 万華鏡ー私のミャンマー物語、そのはじまりー

        • ごめんと思うその時も 辛いと思うあの時も 嬉しかったあの日も 消えたい日も 全部、何かのせいなんじゃない 何かのおかげなんだと思っていよう

        マガジン

        • 万華鏡ー私のミャンマー物語
          2本

        記事

          Castway-難破-(シナリオ)

           人 物 高木律子(32)元NPO職員 高木加奈子(28)律子の妹 ヴァンダ(40)律子の元同僚モザンビーク人・NPO職員 真中佳代子(28)律子の友人・元同僚・NPO職員 シルビア(7)村の少女 バーテンダー ○モザンビーク・北東部・村・上空(朝)  赤土の大地に土と草を塗り込んだ壁と     とヤシで葺いた屋根の家々が500戸ほど点在している。    周囲にはトウモロコシ畑とジャングルが混在して広がっている。    T:モザンビーク北東部 ○同・広場  数軒の店と家が

          Castway-難破-(シナリオ)

          鷹のように(詩)

          高みを、高みを目指したのではなかったの 卑屈に見つめる視線の先、隣の芝生を眺めて何がつかめるの 手にしたすべてを捨て去る日があってもいい 手にしたすべてに背を向けてもいい 眼差しは高く、鷹のよう 煌めく大地を眼下に残し 荒れる空を行けばいい ささやかな温さが愛しんだとて 卑屈さを糧に進めまい ささやかな温もりを守る己に胸を張り 穏やかな戦いを進めばいい この世に美しさは、人の数ほど綺羅星の如く 世界中の片隅に、こぼれる光に気づくとき あなたは高みを望めよう 彼方を

          鷹のように(詩)

          名残り、雪の香(シナリオ)

          尊敬する漫画家さん、波津彬子さんの【雨柳堂夢咄其ノ三 収録 秋草闇】【秋霖の忌 収録 なつぎぬ薫りて】に着想を得たものです。 <登場人物> 柏崎正孝:年齢(47)・(17)・(幼少期声)研究者 瑞江:  年齢(不詳)・(17)・(幼少期声) 寺西守: 年齢(25)柏崎の助手 〇暗闇  真っ暗な闇の中ザクザク柏崎正孝(47)が山を登る音がする。 柏崎モノローグ「私の研究室に雪が届いた。香りのする雪だ。差出人はない。」    × × × 〇山中  背広姿で雪山を登る柏崎。

          名残り、雪の香(シナリオ)

          赤い道 #キナリ杯

           赤土の道を乾いた熱い風が吹いてくる。 ゆるやかなカーブがだらだらと続く道。 雨季に刻まれた車の轍はならされることもなく複雑な模様を描いてトラックの進路を弄ぶ。 前方に広がるのは僕を、僕の知っている世界へと連れて行く道。 後ろに続くのは僕が逃れてきた場所に向かう道。 巻き上がる赤い砂ぼこりに白い車体を赤く染めながら、トラックは荷台に僕だけを乗せ走り続ける。車輪が回るたび僕はあの場所から遠ざかっていく。 顔を叩く熱風が僕の呼吸を奪い目に涙をにじませる。 握りしめた運転台の

          赤い道 #キナリ杯