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第93話「世の中はコインが決めている」

 僕たち四人は打ち合わせを終えると、それぞれの家に帰った。狛さんが帰り際、寂しくなるぁーーなんて言いながらハナちゃんとハグをしていた。

 数日ぶりに、狛さんは自分の部屋へ戻ることになる。気がかりはお腹の傷跡だけど、現状は元に戻せる方法がわからない。

「ホントに一人で良いんですか?もし良かったら、一緒に居るよ」

「大丈夫よ。それに今は一人の方が返って楽なの。心配しないで自殺とかしないから」

「それ、冗談にもならないよ。わかった。でも、何かあったら言ってね。隣に居るんだから!」と僕はそう言って、狛さんの手をギュッと握りしめた。

 部屋に戻ると、僕はソファへ沈むように寝転んだ。天井に向かって深い溜息をして息を吐くのだった。

 ここ数日の出来事は精神的に疲れた。しかも、色々と真実が明らかになった。縁日かざりの件は片付いた。

 でも、これで終わったわけじゃない。

 明日から早速、作戦を決行することになった。正論くんの作戦だけど、心の中では不安だった。しかも、狛さんも混ざっての作戦なのだ。

 縁日かざりの件が解決した今、そこまで危険じゃないと正論くんは言う。

 だけど、狛さんもそうだったように、絵馬さんが何故、十年前から容姿に変化が無いのかわかりかけてきた。僕が狛さんを見て感じたように、二人の共通点として実年齢より若いってこと。

 つまり、二人ともピースを組み立てた人間ということは確実だった。組み立てたときから、二人は年齢が止まっているという事実が判明したのだ。僕や正論くんの持論だけど、間違いはないだろう。

 組み立ててから、二人の記憶は上書きされている。だから本人は前の記憶が無い。一度死んだという表現は、いささか妙な表現だけど、当たっていると言えば正解だろう。

 だったら、狛さんの昔の記憶は何だったのか!?

 それは本人もわからなければ、僕たちもわかるはずがない。今回、それを明らかにすることも目的としてあった。

 少しずつだけど、謎に包まれていたことが明らかになっている。あとは、明日の作戦によって、僕たちの未来は変わる。

 僕たちの奇妙で不可思議な体験は、もうすぐ終わりを迎えようとしていた。

第94話につづく

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