第30話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」
真っ暗な部屋だった。理由は、僕が瞼を閉じていたからーーーー意識が脳と繋がった瞬間、僕は閉じた瞼に気がついた。あの感覚が蘇るようだった。実際に僕が感じてる感覚は、あのときと繋がった。
鏡に映る僕が、不思議な意識を持ったんだ。縦横無尽に鏡から鏡へ意識が飛ぶ。無我夢中な僕と違って、冷静な思考を持った僕が、鏡から二人を見つめていた。
あとから考えると、もしかしたら、その僕も鏡越しに映った二人を見つめている可能性さえ感じた。そんな風に思う僕が冷静だと、鏡の僕が冷静じゃないと思われる