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潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く

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#大人の成人式

第52話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

「海ちゃん、また今度ゆっくり会いましょう」と千夏先生は公園の出口で言ってくれた。 そして…

第50話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

真夜中の時刻、上野公園の桜をライトアップされた電灯も消えていた。僕は満開に咲き誇る桜を見…

第49話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

一冊の本が音もなく落ちた。静寂すぎる図書館は余計な音さえも吸収するように消した。僕は本を…

第47話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

カーテンが全開に開けられて、熱帯雨林の部屋に風を通す。朋美の瞳に移る空虚な顔を見て、首筋…

第30話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

真っ暗な部屋だった。理由は、僕が瞼を閉じていたからーーーー意識が脳と繋がった瞬間、僕は閉…

第20話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

選んだ部屋の扉を開ける。未知なる世界が僕の目の前に広がった。恋人たちの憩いの場であり、二…

第29話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

甘い香りが強くなったとき、私はあの謎の声を再び聞いた。内緒話みたいな声がパーテーションの向こう側で囁いている。姿は見えないけど、二人が話し合っているようだ。 そして、私は一人の声に見覚えがあった。あの声は私の兄に間違いない。でも、どうして兄が大人の成人式に参加しているのか? どうして私に言わなかったのか? 奇妙な声に謎は深まるばかりだった。 兄は大人の成人式へ参加してから変わった。見た目とかではなくて、内面的に変わったのだ。優しくて家族思いの兄だったけど、大人の成人式

第28話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

会話をしても良いのだろうか?今さらルールを破っておいてそれはないだろう。それが僕の本音だ…

第27話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

ぼやけた声に聞き耳を立てながら、鏡張りのパーテーションを見つめた。縦三メートル、横二メー…

第26話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

携帯電話の光を利用して、私は闇に染まった階段を降りようとした。 だけど、その考えはすぐに…

第25話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

扉の音が合図かのように、目の前で降り落ちる雪は音もなく消えた。ストップモーションを見てい…

第24話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

アラーム音を慌てて停止させた。息が止まり、階段下を凝視しながら一ミリも動かなかった。おそ…

第23話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

僕の知らなかったこと。それは大人の成人式が屋上で行われないということだった。だから、僕と…

第22話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

赤いシミが付いたシーツを気にする桃香。初めての経験を終えた僕たち。素直な感想は、極上の気持ち良さに感動した。あまり痛くなかったと桃香は言うけど、僕としては初めての相手が桃香だったので、そんなものなのかと思うのだった。 人によっては違うかもしれない。それぐらいの感想である。 二人して湯船に浸かると、向かい合わせで会話を交わした。話す内容は、これから待ち受ける大人の成人式についてだ。数時間前と違う気持ちだと二人ともわかっていた。 僕らはルールを破ったから。だからこそ、百も承