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潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く

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2021年11月の記事一覧

第75話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

夢の中で出会った瓜二つの美鈴を考える。痛みのある真実は、僕に耐えられる痛みじゃなかった。…

第74話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

蛇の長い舌は獲物を狙いすまして、伸ばして来た。非情なまでの冷酷な目を持った彼。僕の視線を…

第73話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

真夜中の会話が途切れるように終わったとき、僕は一週間ぶりに瓜二つの彼女と出会った。背中に…

第72話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

もし、自分の彼女が朝帰りしたら不安になるだろう。変に疑うかもしれない。だけど、帰ってきて…

第71話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

太い眉毛が印象的な彼女。図書館の事務所で僕は簡単な面接を受けていた。面接をするのは上原姫…

第70話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

「海ちゃんがそうしたいなら良いわよ」出勤の準備をしながら美鈴が言った。 特に気にしてる素…

第69話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

寒さのある寂しさが千夏の身体を冷やしたのか?それとも北風から生まれたから冷たいのか?僕の手のひらで包んだ胸は冷たかった。 それは、ずっとずっと暖まることはなかったーーーー 1977年の出来事。僕は三歳の子供だった。幼かった僕は記憶として残っていない。千夏が話してくれた保育園での思い出。僕と千夏の関係性がわかり、僕の感情が生まれた瞬間でもあった。 この出来事が、今の僕を生み出したと言うなら、千夏の本能は果てしないと思う。何十年と待ち続けて、僕と再会を果たすなんて…… こ

第68話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

真っ暗な図書館の中、円卓のソファーの上で影は存在していた。存在感だけは決して無くならない…

第67話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

車を持っていたのが幸運だった。真夜中の都心部は嘘みたいに道は空いていた。三十分もかからず…

第66話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

真夜中の電話で再び起こされた。今度は三回目のコールで出ると、聞き覚えのある声で相手が『も…