第69話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」
寒さのある寂しさが千夏の身体を冷やしたのか?それとも北風から生まれたから冷たいのか?僕の手のひらで包んだ胸は冷たかった。
それは、ずっとずっと暖まることはなかったーーーー
1977年の出来事。僕は三歳の子供だった。幼かった僕は記憶として残っていない。千夏が話してくれた保育園での思い出。僕と千夏の関係性がわかり、僕の感情が生まれた瞬間でもあった。
この出来事が、今の僕を生み出したと言うなら、千夏の本能は果てしないと思う。何十年と待ち続けて、僕と再会を果たすなんて……
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