はやとちリミックスのはやとちリライト

2020/02/27

 Smashing Pumpkinsの『siamese dream』を聴く。ファースト・アルバムの『gish』をリリースした頃は『NEVERMIND』をリリースしたNIRVANAと比較されて好ましい評価を得ることができなかったが、このセカンド・アルバムがヒットしてスマパンは有名になる。どの楽曲も素晴らしいが、僕は「geek u.s.a.」が特に好きだ。

 『週刊Dモーニング』で連載している左近さん(原作)とカミムラさん(漫画)の『どくヤン!』(「第17話/長崎といえば」)を読む(第13号、というか2月27日発売号)。前回から修学旅行編が続いており、今回はどくヤンたちが長崎で聖地巡礼をするという話だ。僕の大好きな官能小説ヤンキー・伽乃くんが活躍して嬉しい。
 彼は「オレにはここ長崎で絶対に行かなきゃなんねーとこがあんだ」と言う。そこはかつて宮脇書店長崎店があった場所だが、残念ながら既に閉店しており、現在は複合商業施設になっている。しかし、どうやらフランス書院愛読者にとっては聖地のようで、どくヤンたちに「だからせめてその跡地を訪れてみてーんだ」と説明し、一緒に聖地巡礼をする……。

 かつて僕が住んでいた町、笠岡市には宮脇書店笠岡店と宮脇書店新笠岡店があった。高校生だった頃、僕は授業が終わると笠岡市立図書館に通っていた。そして金曜日になると新笠岡店で文庫本を何冊か購入して、週末はそれらを読むということが習慣になっていた。
 高校生だった僕にとって、大槻ケンヂさんの『グミ・チョコレート・パイン』はバイブルだった。その主人公である大橋賢三は、親から毎日400円を昼メシ代として貰っているが、昼メシを食べずに浮いた金で名画座に通う高校生、というキャラクターだ。多大な影響を受けていた僕は賢三と同じ様に、昼メシを食べずに浮いた金で文庫本を購入していたのだ。
 当時はオーケンさん、村上春樹さん、江戸川乱歩、夢野久作、そして寺山修司の作品が好きだった(アメリカの小説家ではスコット・フィッツジェラルドが好きだった)。今でも僕の本棚には、宮脇書店のブック・カバーが掛かっている文庫本が大量に並んでいる。
 ところが先日、Google マップで笠岡市をぼうっと眺めていたら、新笠岡店があった場所は、現在はソフトバンクショップになっていることに気がついた。調べてみると新笠岡店は2016年に閉店したらしく、けっこうショックを受けた。

 荒地出版社の『サリンジャー選集 第四巻 九つの物語/大工たちよ、屋根の梁を高く上げよ』を眠たくなるまで読む。
 スピッツの『惑星のかけら』を聴きながら寝転がる。「アパート」を聴いて「あの宮脇書店は今はもうないんじゃなあ」と思う。高校生だった頃、あの宮脇書店で文庫本を購入して、スピッツの楽曲を聴きながら家まで帰る時間が好きだった(「8823」を聴きながら坂道を自転車で駆け下りていた)。伽乃くんみたいに聖地巡礼というわけではないけれど、いつか僕も宮脇書店新笠岡店の跡地を訪れたい。