職商人

ある方から紹介いただき、金物屋(金物屋という言葉が正しい使い方か、わからない。が、ここでは仮に称す)を訪ねた。
道具との向き合い方、これからの人生について大切なことを教えていただいた。
その学び・気づき、をここに記す。

昔ながらの金物屋さんに、行ったことはありますか。
私は、33年生きてきて(おそらく)初めて行きました。
店内は、刃物を中心に、メンテナンス商品、消耗品などを取り扱っている。
店主曰く、内装はプレカットで建てた木造建築。
イスや装飾品などは、やはり「木」を扱っている。
シェードランプ、丸太を装飾したイス、墨壺など。

60代と思われる店主、からは、大きな時代の流れと道具のちがい、を教えていただく。お客さんの求める目的に応じた、道具を提供する。

私は、「丸のみ36mm」を求めて伺った。
師と仰ぐ、木工作家である方が、定年後丸のみ36mm一本から、木の仕事をはじめた。その後をつぐように、まずはやってみよう、と考えたからだ。

今回の、金物屋さんを訪れたのも、その方からの紹介。
道具は、一生物だと考えると、良いものを揃える。
まずは、そこに行ってごらんと、勧められた。

(店主)なにかご用ですか。
(徳永)丸のみを求めてやってきました。
(店主)なにに使うのですか。
(徳永)これから、趣味で木工をはじめます。
(店主)…。うちは、プロ向けのお店だから。この商品とこの商品だよ。
ー商品の説明、質問・応答ー

反省として、趣味という言葉は、よくなかった。
誤解を招いていしまった。のちに、理解を示していただくことになるのだが。
木工を新たにはじめることも良いが、せっかくだったらこれまで取り組んできたことの延長でものづくりをしたら、どうかと勧められた。
たとえば、チェーンソーを扱うのであれば、チェーンアートなどはどうか。学校のようなところもあるだろう。

単に道具を売るだけでなく、アドバイスや道筋を示していただける。こんなお店はそうそうないだろう。
今回は、買わずに出直すことにした。

ここで、店主からの学びを以下にまとめる。
・道具は、売って終わりでない。ずっと、面倒をみることになる。メンテナンスができることが、お店としてお客さんとの信頼につながる
・職人とも、長年の信頼関係を築いてきた。兵庫、神戸にある職人にお願いしている。
・てづくりの商品は、100本に1本くらい、よくないものがある。その時は、送り返す。お互いの技術、見る目を高める。
・50歳を超えてから、よい物がわかるようになってきた感覚。良い建物、良い木、良い道具、
・削ろう会という全国的な集まりに参加した。売っている道具について、あらためて深く知ることになる。
・三年は見習いである。独り立ちするときに、良い道具を揃えたら良いだろう。
・初心者には、初心者用の道具を準備している。のこぎりなら、
・吉野ヶ里の復元の際に、道具を買いにお客さんが、道具を買いに来てくれた。
・のこぎりは、多くは使い捨てになっている。時代の流れである。機械化がすすみ、ゼットソーが流行った。替刃1本600本、(現在は500円)、目立ては、2,000円である。安いものが選ばれた。
・佐賀市では、ダム建設時に、注文住宅(伝統家屋)が多く新たに建設された。近くを通るときには、いいまちだとみる。
・佐賀市の富士町や唐津は、注文住宅・伝統家屋が多い。特に唐津は海風の影響で、浜玉など、太い柱が必要である。
・竹中大工道具館を2回訪れた。道具の歴史を学ぶことができる。全国の道具館のはしりであった。
・阪神淡路大震災の前年であった。お寺が翌年に崩壊した。
・お客さんは、紹介できていただける。
・今日のお客さんは、福岡市内から来られた彫刻家の方。包丁が好き。
・首里城の修復を依頼された職人が先日、道具を求めて来られた。10年ぶりの訪問。70代であったが、新たな気持ちで仕事にのぞむ。一生ものとして道具を扱う。

道具から、仕事との向き合い方を学んだようだ。自分がどこを目指すのか、どのようなステップを踏んで行きたいか、試されている気がする。
丸のみ、彫刻に手を出すことは、まだ早かった。

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