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能力値が高いと成功するって? そんなのは神話に過ぎないんだよ。

かけがわTVの岡村さんのオフィスにはいろんな人が出入りしてる。この間は占い師の方たちが四柱推命について学び合ってたし、ドローンとかV-tuberみたいなのを見せてもらったりもできる。静岡駅前で靴磨きをして月に20万円稼ぐ大学生がいたり、美しい女性起業家もいるもんだから本当に飽きない。

この日はたまたま、いつもお世話になっている佐上先輩が勉強に来てた。先輩は日本拳法の達人で、東洋哲学からお笑いまでありとあらゆる知識に通じている。だけど恐ろしいほど不器用なもんだから、異常なほど人生に苦労しているのだ。

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これだけお世話になってきて言うのもなんだけど、先輩って硬苦しいから上手く打ち解けられないのだ。この日もパソコンを睨みつけて、色々と教わらないといけないのに(先輩の方が教わるのだ)、怖くて誰も話しかけられなかった。

あくる日、京都から占いを勉強している女の子が来ていた。彼女は佐上先輩とは正反対。皆にかわいらしく話しかけるものだから、占いのコツみたいな難しい部分をどんどん教えてもらっていた。

「あぁ、、先輩にこの可愛らしさがあったら・・・」

俺は頭を抱えた。

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正直、この2人を動画で撮って、本気で社員研修用のコンテンツを作ろうと思ったほどだ。佐上先輩の方が偏差値が高そうなのは、もう見た目だけで分かる。だけど、会社の中でも起業家としても上手く立ちまわるのは、京都の女の子の方なのだ。

なんというか、偏差値とか能力の高さだけでイキれるのは学校だけなのだ。俺もそれで超苦労したから分かる。

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去年、天皇陛下が地元袋井市に来られた時に訪問された特別な場所がある。祖国で虐げられて日本に学びに来たベトナムの革命家を助けた「浅羽佐喜太郎」氏の記念碑のところだ。そして実に佐喜太郎氏の子孫が立命館の先輩、渡部英明(わたなべ ひであき)先生である。

少し前、渡部先輩から一冊の本をお借りした。

「松井君以外の静岡県に住んでいる立命館の校友で、本を出している人が、、、私が知る限りで2人いるんだ。一人は富士の国地球環境ミュージアムの館長、安田喜憲(よしのり)さん。彼はNHKの経営委員会の委員だった時、『若者を鍛え直すために徴兵制を復活させるべきだ』、『番組見なければ就職させないようにしよう』って発言をして問題になったけどな」

「その他にも色々と問題発言が多い方なんだ」

「、、、流石は我が先輩ですね・・・」

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「そしてもう一人は静岡聖光学園のラグビー部を花園の常連にした、星野明宏さん。星野さんは問題発言をしない人だから、星野さんの本を読んでみるといいよ」

「なるほど、勉強になります」

柔和な表情で私のいつもの問題発言について怒られたような気もしたが、そいつはスルーさせて頂いた。星野先輩は地元のテレビによく出ているから雰囲気は知っている。しかし、正直なところ体育会系だから本の内容の方にはそこまでの期待はしていなかったのである。

『凡人でもエリートに勝てる人生の戦い方。』

これがお借りした本のタイトルだ。「モーニング娘。」のように、書名なのに最後に読点「。」が付いている珍しい本だった。

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しかし数ページくくるだけで俺はその本の興味深さに目を剥かされる。是非僕の本と一緒に購入して読んで頂きたいのだけれど、その内容を一言で表すとすれば、

「能力を高める時代は終わる。これからはキャラを磨く時代だ」

そんな内容になる。

後から述べさせて頂くけれども、星野先輩の本は歴史的に最も先端にあるとされる、「正統的周辺参加」の学習理論を極めて身近な形で提示してくれる稀有な名著だったのだ。

この本を読みながら俺は、「流石は我が先輩が渡してくれた本だ。どう料理しても伝えられそうもなかった正統的周辺参加の理論だったのに! うちの先輩が実践されているじゃないか!」と、目から鱗を落としながら二度見三度見させられ、さらには腰を抜かしながら海老反りで驚かされるほどだった。

いや、本当にそのくらいの衝撃だった。

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今では花園常連の静岡聖光学園だけれども、星野先輩が着任された時には、弱小もいいところ。ラグビー未経験者が興味本位で入るような場所だった。書籍のタイトルにもあるように、そこで『凡人でもエリートに勝つための方法』を考えられたわけだけれど、先輩の思考だけではなく、やり方も憎くてお洒落だった。

普通、スポーツでもビジネスでも、人は「能力」を伸ばそうとする。もちろんそれも大切なんだけれど、能力を伸ばそうとするとビジネスの世界でしばし言われるように「有能な2割の人だけが稼ぎ、他の人はただ命令されるだけ」って組織になってしまう。さらには営業成績だけで見られてしまって住み分けが出来ないものだから、ギスギスした働きにくい職場になる。そいつが能力主義の限界なのだ。

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星野先輩のやり方は全く違った。

能力じゃなくって、キャラを磨くのだ。キャラが光ると凡人でも周りに受け入れられて、結果、全員参加型の組織をつくれるのだ。全員で闘えば、凡人集団でも2割しか闘わないエリート集団に勝てる。これが先輩のやり方だった。

洒落てるな!

ちなみに勝つためにはキャラを選ばないのが星野流だ。「俺ってそんなキャラじゃないから」ってのは禁句だ。思ってもみなかったキャラを開花させろという。どんなキャラになろうが仲間に認めさせさえすれば勝ちなのだ。さらに、「キャプテンの役割は皆の適性キャラを見抜くことだ」って言うんだから恐ろしいほどの革新性である。

キャラを磨くことこそ全て。で、これこそが正統的周辺参加理論の実践手法なのだ。今までの経営学では、どんなに頭の切れる理論家でも表現できなかった。そういうことを事もなげに出来てしまう人っていうのは、やっぱりいるものなのだ。

・・・スゲェ・・・

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日本企業が迷走しているのも能力至上主義のせいだって言っていい。遠州プレゼントライの仲間、大石美紀子さんの持ってる夢にそいつが出てきた。

大石さんの夢は、かつてのような日本企業に、話の分かる奴らが沢山いる職場に、日本を戻すことだ。能力能力って能力者にばかり憧れて、悪魔の身に自分たちを堕してしまったせいでおかしくなった世界を、元に戻すのだ。

例えば、である。。。

大石さんが入社したての頃、ガチガチに緊張しながら自分の机の電話の前に座っていたのだけれど、不幸なことに電話が鳴ってしまった。そして、まさに何の落ち度もないように、注意に注意を重ねて、恐る恐る、マニュアル通りに電話に出てみると

「ハハハ! お前、超緊張してるだろ?」

と後ろの先輩にからかわれたのだ。

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そんな、なんかいい”話せるキャラ”が沢山いたって話を、いっぱいしてくれた。

大企業の部長くらいの地位の人でも、

「よう、大石。最近何してんだよ?」

とか、近所の不良みたく話しかけてくれた。真面目な奴らもいた一方で、そんなキャラが立った方たちも沢山いた。大石さん自身は「3か月でこの会社を辞める」って公言していたそうだけど、結局、結婚まで勤めあげた。その後、こうした経験を元に大学のキャリア教育の先生にまでなった。

今は独立して、僕らと一緒に旋風を巻き起こすつもりでいてくれる。

だから、能力能力って世知辛くなって、すぐに社員を辞めさせてしまったり、それでいて人材不足だって嘆いてみたり、そのせいで本来の力を失って、この先どうすればいいのか分からなくなってしまっている日本の会社は、大石さんの話に耳を傾けてみればいいのだ。

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そうなのだ。
キャラがないと話しも出来ないのである。

これまで僕らは、いかに効率的に学ぶかってことに躍起になっていた。

           図1  

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    図2

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これまでは図1みたいに、直で目的に至ろうとか、目標を掴もうとしてきた。最短距離で結果を出そうとしてきた。だけどそうすると佐上先輩みたいに、わりかし硬っ苦しい人間になってしまう(すんません)。周りを見れないから大切なことを教えてもらいにくいし、可愛げがない(すんません)。

一人でできるお勉強ならいい。だけどそうだとしても、能力主義は成績ばかり気にするから人間関係がギスギスしちゃうし、偏差値とか上下関係がめっちゃ気になって、肝心の自分に与えられた社会での重要な役割の方が覆い隠されてしまう。

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A.アドラーは、優越コンプレックスと劣等コンプレックスで全ての精神の病を説明した。つまり優劣とか差を意識することこそが、全ての病の原因だと言っているのだ。今、EUの全人口5億人の内、3億人が鬱で投薬を受けているわけだけど、こんな風にめちゃくちゃ生きにくい世の中になってしまっているのも、能力至上主義が必ず優劣を生むからであろう。

正統的周辺参加は図2のように説明できる。こっちは人と人がぶつかったり、学び合ったり、遊んだりして、巡り巡って目標に至る道だ。なんだか効率が悪そうに見えるかもしれないけど、病まないし、居場所があるし、全員参加できて、実践的でもある。

    図2

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これを可能にするのが、能力じゃなくって、キャラを磨き立たせる星野先輩のやり方だった。

キャラがなければ、真面目も冗談も興味深さもない。学問から何もかもの面白味が消し去られてしまう。人が、管理とか暗記とか成績にしか興味を示さない機械人間になってしまう。

まさに今の学問がそうなっているように、だ。

感情を殺した学びは人を殺す。学びに感情を取り戻させねば。

能力値が高いと成功するって? そんなのは神話に過ぎない。

お前のキャラを磨き、光らせろ。

そして、

少年よ、神話になれ。


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お読みくださいまして、誠にありがとうございます!
めっちゃ嬉しいです😃

起業家研究所・学習塾omiiko 代表 松井勇人(まつい はやと)

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