「嗚呼俺は男と大人の名に疲れた」「女になりたい」
「現代に蘇る『三太郎の日記』である」
井坂康志先生から、そんな推薦文をいただいた。新刊『人は幽霊を信じられるか、信じられないかで決まる』への一文に。
三太郎の日記とはどういった本なのか。少し調べてみる。
西田幾多郎の『善の研究』と同じ時代、同じくらい熱心に読まれた本だという。第二次大戦までの30年間、教養ある若者の必読書だった。
30代前半だった哲学者阿部次郎が、苦しみながら記した告白の書。「最も直接な記録」。
記述は極めて生々しい。
「嗚呼俺は男と大人の名に疲れた。女になりたい」
男尊女卑の時代、ここまでの倒錯を晒すことにある種の美しさが垣間見える。
私の本はと言うと、そんな告白をしているわけではないけれど、人生を諦めてもらうために書いた本ではある。
大庭純一様に教えていただいた言葉を核にしている。
「あなたの墓標にはどんな言葉が刻まれるのだろうか」
「あなたの弔辞にはどんな言葉が贈られるのだろうか」
死を問うと天命に通じることがある。生を諦めることには価値がある。
2019年に井坂先生とお会いした時から、考え続けたことがあった。
初めて出会った先生は我らにこう仰った。
「どうしたら人は正気に戻ることができるか」
「それが時代をつくる鍵となる」
人はいつ正気に戻るのだろうか。
我らが一番優しくなれるときは、別れのときだと思う。
卒業
転校
死別
死と共にいるとき。
そのとき人は正気に立ち帰る。
原点は、狂気に導かれる。
正気から最も遠いものに。
新刊『逆転人生』を10月8日、4名の素晴らしい方々と一緒に出させていただきました。
内容を5名分、下のリンクより少しづつ公開させていただきます。
是非お読みくださいませ(^○^)
お読みいただきまして、誠にありがとうございましたm(_ _)m
サポートありがとうございます!とっても嬉しいです(^▽^)/