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時代はまさに大音楽時代

昨日、最近良くしてもらっている『出現する参加型社会』の田原真人さんと、阪大の松波晴人教授の対談があった。

松波先生も面白い人で、こんな話をしてくれた。

「高齢者が欲しがっているサービスを調べたんです」
「一週間くらいずっと老人の方々と一緒に生活させてもらって調べるんです」
「彼らはサービスを欲しがってませんでした。むしろ、お金を払ってでも提供したいと思っていたんです」

社会はどんどんと変わって行っている。

とある参加者の方は、

「伊藤先生という、天皇陛下に講義をされていらっしゃる方の話を聞きました。伊藤先生は、今の時代は平成とか令和とかではなくって、大日本帝国時代の後、日本国憲法時代だって仰っていました」
「先生方は次の時代、如何様になるとお考えでしょうか?」

と質問されていた。

マルクスは「豪華なものに囲まれていることが人の豊かさである」として経済を考えたけれど、その時代は過ぎ去って、「お金を払ってでも、サービスをしたい」時代に突入してしまった。

マルクス理論の大前提ですら過去になる時代。そんな時に、これまでの感覚でビジネスをしてしまったら、明らかに見当違いなことをしてしまう。

『アイソの白本』もしくは『ドラ社』と呼ばれる井坂先生と多田先生の新刊『ドラッカー✖️社会学』には、

「重要なのはテクノロジーの変化以上に、意識の変化である」

というドラッカーの言葉が紹介されている。

続けて井坂先生は、

「知識労働の究極の形は、芸術なのではないかと私は考えています」

と語っている。

井坂先生はメディア学者のマーシャル・マクルーハンの研究者でもいらっしゃる。マクルーハンが言った話を一言で要約するなら、

「メディアは人間の拡張である」

となる。視覚や聴覚、手や足の拡張。マクルーハンにとっては、ブルトーザーや人工衛星などもメディアなのだ。ちなみに彼はドラッカーの友人でもあったという。

マクルーハンはメディアを武器だと捉えている。人をどう説得するか、という武器だ。考える余地なく一瞬で人を説得するメディアを「ホットなメディア」。考える余地が豊富にあるメディアを「クールなメディア」と定義している。かなり有名な議論だ。

だから、映画は新聞に比べてホットなメディアだし、その新聞も学生のレポートに比べるとホットなメディアになるわけだ。ホットかクールかはあくまで比較による。この辺りはどういうわけか、ほとんど理解されていない。

そしてメディアによって人の精神が変容させられると語るのだ。伝説の武器を手にしたアーサー王の精神が変容したり、呪いの武器を手にしたRPGの主人公に影が落ちるように。現実にも、銃を手にした人間や核兵器を開発した国の指導者の精神は変容させられるではないか。

だからドラッカーが、

「重要なのはテクノロジーの変化以上に、意識の変化である」

と言った場合、僕たちは「自分の意識を社会に合わせて変化させねばならない」と考えてしまいがちだけれど、そうではない。

そうでなくって、「テクノロジーによって変化させられた自分たちの意識をどうしっかりと認識するのか」なのだ。

実際、冒頭の松波先生のお話のように、老人たちの意識は明らかに変わってきている。これは老人に限った話ではない。僕自身、思い当たる節があるし、大抵の人は何かしてもらうより参加したり作ったりしたいのだ。

少し前、掛川のジャンカレーで出会った老人にこう断言された。

「お前ね、これからは音楽時代なんだよ」



「マーケティングはパイを奪う強力な手段を教えてきたけれど、パイを作り出す術にはまったくの無力だった」

天才とも言える経営哲学者サラス・サラスバシーはそんな警笛を鳴らす。これまでのマーケティングや戦略論は、マクルーハン的に言えば武器の扱い方を解説したものだ。

その時代が変わってきたわけだ。

すなわち、武器を手に取り人と争うのではなく、誰もが「楽器」を手に取り演奏したがる時代へと変わりつつある。

二宮尊徳の7代目の孫、中桐万里子さんは、

「お金で交換する何か、お金の先にある何か。お金が意味しているその先が見えなければ、その本質を捉えることができない」

と教えてくれた。

我々の価値は今、何かを手に入れることから、何かを表現することに移ってきている。

自らが演奏する場所に喜んでお金を払う。そんな時代。

時代はまさに大音楽時代。

その時代の教育は、
その時代のビジネスは、
その時代の人間関係は、

どう変化するだろうか。

僕は、なにを書いたらいいだろうか?

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お読みくださいまして、誠にありがとうございます!
めっちゃ嬉しいです😃

起業家研究所・学習塾omiiko 代表 松井勇人(まつい はやと)

下のリンクの書籍出させていただきました。
ご感想いただけましたら、この上ない幸いです😃

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