#10「何を考える人」
その人は何も考えていないという―。
次から次へと新しい何かを発見していく人間は、古いものを捨てている。それは蛇の脱皮と同じ現象なのかもしれない。
古いものに愛着を持っている人間は、新しい価値を創造しようとしている。それは書に型が存在することに似ているのかもしれない。
男と女はお互いにお互いを知ることで、男を深めて女を極めているのかもしれない。
その先に待っているのは、考える必要のない世界なのかもしれない。
その人はその世界に。
あの男も、何も考えていないという―。
(了)
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