雷管発砲事件

このタイトルを見て、陸部男子は何のことだがピンと来たことだろう。改めてこの事件の詳細について書いていく。

それは、いつもの部活が始まる前の部室で起こった。

男子の部室には、陸上のスタート時に鳴らされるピストル(雷管)が置いてあった。もちろん玉は入っていない。ただ、昔からずっと置いてあるようだったので、もしかしたら壊れているのかなという感じだった。

聡汰がこの雷管を手にして、玉をセットした。
そして人がいないのを確認し、部室の窓から青空に向かって発砲した。

すると、「パァーーーンッッ」という雷管の音が学校中に響き渡った。煙が広がり、雷管特有の火薬のような匂いもした。想像以上の音に俺たちはもちろん、聡汰が一番焦ったと思う。

ハンパない音だったのて、隣の野球部やサッカー部、他の部活の部員が一斉に陸上部の部室に群がってきた。紘太くんは、部室の窓をキョロキョロし、「何の音だ?」という演技をしたが、効果はなかった。

この音を聞きつけた、サッカー部の顧問の栗原先生が陸上部の部室にやってきた。
※ちなみに聡汰の担任である

栗原先生は、聡汰を見るなり
「お前がやったのか?」と言った。
おそらく担任の勘も働いたんだと思う。

すると聡汰は、ヤバいと思ったのかとんでもない言い訳を始めた。

「せ、先生何言ってんすか!これですよ、これ。これを窓からパチンって鳴らしただけっすよ!」

聡汰が咄嗟に手にしたのは、自分のベルトだった。ベルトであんな音が鳴らせるはずはない(笑)
すると栗原先生はさらに聡汰を追い詰めた。

「じゃあそれでもう一回鳴らしてみろ!」

すると聡汰は仕方なくベルトで音を鳴らした。

「ぺちっ。」

小鳥のさえずりにも負けるようなベルトの音が鳴った。俺たちは笑いをこらえるので必死だ。しかし聡汰はそれでも粘り続ける。

「あ、これじゃないベルトでした!えっと...」

と言って、絶対に存在することがない「雷管の音がするベルト」を探し始めた。俺たちも聡汰を裏切ることはできず、一緒に探し続けた。今振り返ってみると謎の光景だ(笑)

(雷管のような爆音を出し、雷管特有の匂いを発して、煙も出す...もうそれは雷管やないかい!)

とみんな心の中で思ったはずだ(笑)

30秒くらい探した(正確には探す演技をした)後、栗原先生がトドメを刺すように聡汰に言った。

「お前がやったんだろ!」

「…やりました」

このセリフだけを見ると、まるで刑事ドラマのようだ。栗原先生が立ち去ると、笑いを我慢していた俺たちは大爆笑。今でもこの出来事はみんな覚えている。

この出来事から学んだことは、やはり自分が悪いことをしたときは言い訳せずにまずは非を認めることが大事だということだ。

そしてこの事件は、聡汰だけが悪いのではなく俺たちも共犯者である。何の罪もない「ベルト」に全てをなすりつけて隠蔽を試みたのだから(笑)

(聡汰が何故「ベルト」にこだわったのかは未だに謎だが...)

言い訳をしたくなる気持ちはすごく分かるし、誰だって一度はしたことがあると思う。でも、無駄に言い訳をしてしまうと、問題の本質ではないところでまた怒られてしまい、本人にとっても損だし、叱ってくれる人にとっても無駄な時間とパワーを使うことになってしまう。

「ミスをごまかす」とか、「ミスをしないようにする」ということを考えるのではなく、「ミスした後どうするか」

サッカーでも、「ミスしないように...」と考えてしまうと消極的なプレーばかりになってしまう。そうではなく、「1本シュート外しても、次のチャンスでは絶対に決められるようにしよう」と考えた方が気持ちが楽になるし、積極的なプレーができる。

誰にでもミスはあるので、もしそのミスを指摘されたときは、言い訳せずに認めて反省して、秒でそのミスを取り返す!これを意識して、過ごしていきたいと思った隼人でした!


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