ダンスにおけるステークホルダーとは何か?
大学時代、「ストリートダンスの評価基準」についての論文を書きました。
個人的なことですが、その論文が優秀賞のようなものに選出されてからというもの、僕はダンスにおける「評価基準」がどこにあるのか、ずっと気になったままでいます。
今回は、そんなダンスの評価について考えていく中で気になった、「ダンスのステークホルダーってどうなるんだろう?」という疑問を、一人でに解決していきたいと思います。
はじめに…
企業においてその関係性や影響力を可視化するために用いられる「ステークホルダー」という考え方。
一般的にステークホルダーは、企業の「利害関係者」を指します。
しかし、この概念をそのままストリートダンスに持ち込むと、何か違うような気がしませんか?
なので一旦、ステークホルダーの意味について考え直しましょう。
ステークホルダーとは
ステークホルダーは最近になって主にビジネスの中で使用される言葉で、エドワード・フリーマンが著書「Strategic Management: A Stakeholder Approach」の中で使用したのがビジネス用語として浸透するきっかけになったと言われています。
先ほども述べましたが、ステークホルダーは企業が経営をするうえで、直接的または間接的に影響を受ける利害関係者のことです。
企業は利益を求めるものですので、企業の利害関係を整理するためにステークホルダーという概念が生まれたのは必然と言えます。
企業の目的は利益追求?
経営・マネジメントの第一人者ピータードラッガー氏は以下のように述べています。
ドラッカーは企業は社会の一部であり、その目的は顧客の創造、つまり顧客に求められるサービスを提供すること。
そして、そのサービス提供を継続するために企業は利益を得ているのだと述べています。
サービスの提供 = 企業の存続のために利益を得る必要がある。
つまり、ステークホルダーはこの利益に関する情報を整理するために、利益に関係する人たち(利害関係者)を可視化しているということになります。
ダンスの目的は何か?
企業の目的が顧客の創造でありそのための利益追求であるならば、ダンスの目的は何か。
それを考えるために、まずはダンスの歴史や起源を見ていきたいのですが、現時点でダンスの起源については定かにはなっていません。
しかし、ダンスは古くから、宗教儀式・お祭り・兵士の士気を高めるための鼓舞・結婚などのお祝い・観客を楽しませるための娯楽などの用途で使われていたようです。
また、ダンスは鳥類などの動物も、求愛のためにダンスを踊っています。
これらに共通するのは、ダンスは「誰かに何かを伝えるためのコミュニケーション」であり、さらに言えば「自分の感情や情熱を表す・伝えるための表現」であるということです。
つまり、「ダンスの目的は表現である」ということがわかります。
ダンスにおけるステークホルダーとは何か?
ここまでの内容をまとめると、
「企業」の「利益追求」のための「利害関係者」が
従来のステークホルダーであるならば、
「ダンス」の「表現」のための「◯◯◯◯」が
ダンスにおけるステークホルダーとなります。
ここで、「利害関係者」という言葉に注目します。
「利害」とは、「利益」と利益の逆の意味を持つ「損害」をあわせた言葉です。
これを「表現」で置き換えるとどうなるか。
この「表現」の逆の意味を持つ言葉は、「印象」や「理解」などが適切でしょう。
つまり、ダンスにおけるステークホルダーとは、「表現・印象関係者」もしくは「表現・理解関係者」と表すことができます。
ダンスにおけるステークホルダーをまとめてみる
最後にダンスにおけるステークホルダーについて、わかりやすく実際に図にしてみたいと思います。
もちろん、「これが正解な定義だ!」というわけではなく僕の解釈に沿った一種の例なので、あくまで参考程度にご覧ください。
ショーケースコンテストの場合の関係図
自分:ダンスをする自分自身
仲間:一緒に舞台で踊る仲間
音楽:踊るときの音楽
演者:他のショーケースを行う演者
観客:自分達のダンスを見る観客
審査員:自分達のダンスを審査する審査員
舞台:ダンスを踊る際の環境
自分がダンスによって「表現」したものを受け取る「印象・理解」の関係にあたるのが、「審査員」「観客」「仲間」「演者」です。
「音楽」「舞台」は無機質なものなので、ダンスによる表現を受け取ることができません。
一方で、自分が「印象・理解」を受け取る立場としての関係にあたるのが「音楽」「舞台」「演者」「仲間」「観客」「審査員」です。
音楽や舞台はもちろん他の演者のパフォーマンスや仲間の空気感、観客や審査員の反応によっても自分自身のダンスは変化します。
ここで出したのはあくまで個人的な例であり、もっと掘り下げようと思えば6個では収まらない数のステークホルダーが出てくるかもしれません。
ステークホルダーを使う意味
今回、僕が伝えたいのは、企業がステークホルダーを見て課題を整理するように、ダンサーもステークホルダーを見て、自分自身の課題が見つかるかもしれないということです。
先ほどの例の場合、それぞれのステークホルダーに対する向き合い方を整理することでショーケースパフォーマンスの質を上げることができます。
以下、ショーケースコンテストの際の活用例です。
自分:メンタル・体調管理は万全か
仲間:仲間とコミュニケーションが取れているか
音楽:踊るときの音楽の繋ぎやボリュームはベストか
演者:他の演者とは違うオリジナリティがあるか
観客:観客にアピールできているか
審査員:審査員にアピールできているか
舞台:舞台の大きさや照明などを活用できているか
最大限のパフォーマンスを発揮するために、チームや環境などによって、どこを重視するのかを変えながら、自分に最適な「表現」「印象・理解」の関わり方を考えると良いでしょう。
終わりに…
今回は、ダンスにおけるステークホルダーとは何かについて論じてみました。
関係者と言いつつ、例では「音楽」や「舞台」など無機質なものまで挙げてしまっていますが、そこはご容赦ください。
こういった関係図が後々のダンスにおける評価基準を決める際の参考になれば嬉しいです。
引き続き、気が向いた時にnote更新していくので、同じく気が向いたらみに来てください。
最後までご覧いただきありがとうございましたm(_ _)m
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