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我が家の家事分担

「在間さんのおうちは、家事の分担どうなっているんですか?」
先日同僚のSさんに興味津々な様子で聞かれて、答えに詰まった。
「さあ、うちは分担なんかないよ。100パーセント家事は私かな。高いところの物取ったり、電球変えたりは頼むこともあるけど、それ以外は基本全部私がやってる」
と言ったら、同じく同僚のOさんと二人が声を揃えて、
「えー!ありえなーい!」
と憤慨するのが、なんだかかわいくて笑ってしまった。
SさんもOさんもともに20代。旦那様も30代までである。夕飯を交代で作ったり、拭き掃除は旦那様と決めていたり、お二人とも色々細かく分担してやっている、とのことだった。
noteの投稿記事を拝読していても、夫婦で家事分担を上手にやっておられるようにお見受けする記述が多い。今どきの夫婦はちゃんと家事の分担ができていて理想的だなあ、日本も変わったもんだ、と嬉しく思っている。

ウチの夫に家事を任せたらどうなるだろう?
料理は意外とすると思う。現に一人暮らしをしていた頃は少々やっていたらしい。但し、片づけはしない、いやできないだろう。
皿洗いはさせればする。が、夫は妙なこだわりがあり、洗剤を絶対使おうとしない。油物は信じられないような高温のお湯を使って洗う。これだとどんな油汚れも落ちる、というのである。私にもそうしろ、というが、火傷するか手がボロボロに荒れるか、どちらにしてもロクなことはないので遠慮している。
掃除機は上手にかけられない。隅っこなんて絶対にかけない。四角い部屋でも丸く掃く。第一、自分の部屋一つ満足にきれいにできない人に、家の掃除なんて出来るわけがない。
ゴミ出しは頼めばしてくれるが、面倒くさそうである。
宅配便は自分が頼んだものでも受け取りに出ない。
そしてこれが世の中の平均的な夫像であると信じている節がある。

が、実は夫がこれら全てをやってくれた時期がある。
妊娠5か月に入る頃、私は切迫早産になりかけ、入院は必要ないものの3か月半の絶対安静を言い渡されてしまった。初めての妊娠でそんなことになり、実家は遠方で、知り合いもいない土地での突然の予想外の事態に不安でたまらず、病院から帰ってすぐ夫に泣きながら電話した。トイレと風呂と食事以外は寝ているように言われていた為、家事は勿論全くできなかった。
その頃夫の仕事は超多忙で帰宅が深夜になることも多く、日付が変わることも珍しくなかった。夕方には近所のスーパーで値引きシールの貼られた弁当や総菜を買って帰り、私と一緒に食べる。時にはそれからもう一度会社に出向くこともあった。
帰ってくると朝昼の食事の後片付けをし、風呂を洗い、自分の布団を敷いて寝る。洗濯機のスイッチを入れるのは私だが、伸び上がる姿勢がいけないということで干すのは夫。掃除機は休みの日にまとめてかけてくれた。出勤前にはゴミを出し、宅配は日中出られない私に代わって休日を指定し、受け取ってくれた。
当時私はお腹の子供が心配でたまらず毎日メソメソ泣いてばかりいて、お恥ずかしい話、夫の大変さを思いやる余裕は殆どなかった。妻としての務めを何一つ果たせていない自分が惨めで、情けなく、ずっと自分を責めていた。
でも夫が私を責めることはなく、肉じゃがはどこのスーパーの方がおいしいなあだとか、ゴミを出しに行ったら大家さんに会って「奥さん大丈夫?」と聞かれたとか、そんなのんびりした他愛のない話を笑いながらしてくれた。それが夫にとっての「ごく普通の状態」で、たいして気を遣っている風でもなかったので、私は救われるような気がしたものだった。

そんなこんなで今は家事分担はしていないが、私がピンチの時は助けてくれるものだと勝手に思っている。だからか、一人で背負いこんでいる気がしない。それでそんなに家事分担を真剣に考える気がしないのかもしれない。

夫婦の数だけ、分担の在り方がある。
普段はワンオペだけど、お互い相手がピンチの時は自分にできるやり方で助ける心づもりをしている。
今風ではないようだが、これが私達夫婦には合っているようだ。