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週末はいつもカレー

私が吹奏楽団の合奏練習に行くから、我が家の週末の夕飯は必ずカレーと決まっている。
練習開始時間は大抵18:00くらいからなので、丁度夕飯の時間帯と被る。なので、作っておいて出ていかざるを得ないのである。

結婚当初は、いくらなんでも毎週末がカレーばかりなんて、なんてサボりの酷い嫁なんだろう、イヤイヤそんな事絶対出来ない、と自分をギリギリと荒縄でぐるぐる巻に縛っていた。
が、準備も大変だし、夏場は傷みやすいメニューは出来ないなど色々悩ましい問題が多く、主婦のお楽しみには面倒な事がセットになっているものなんだなあ、と勝手に決めてため息をついていた。

我が家の週末の夕飯をカレーにする事を提案したのは、私ではなく夫である。
聞けば小さい頃からカレー大好き人間だったそうで、後に姑に聞いた所によると小学校6年間は日曜日の夕飯は必ずカレーにするよう、子供時代の夫から要求されて従っていた、との事だった。
夫は結婚当初私が殆どカレーを作らないので、コイツはカレー嫌いなのかな、と思って我慢していたらしい。
もっと回数食べたくてウズウズしていたそうである。
お互い妙な遠慮をしていたものだ。今なら考えられない。

それ以来、私が練習に行く際は必ずカレーを夕飯にする事になった。
私も楽だし、夫も喜ぶ。子供がいた時もずっとカレーだったが、子供も喜んでいた。
小学生の時、友達にウチ毎週末カレーやねんと言ったら、物凄く羨ましがられたと言っていた。
子供って妙な事を自慢したり羨ましがったりするものだ、とおかしかったが同時にホッとした。

今は私が仕事に行く時、前日の残りのカレーも大活躍している。翌日の夫の昼食になるからである。
「残り物でごめんね」と言うと、「俺はこれが食いたいねん」とご機嫌である。私に気を遣って言っている訳ではない。夫は心から本気なのだ。
とても助かるし、有り難い。

カレーが『主婦のサボりの象徴』のように思い込んで、作っちゃ駄目だ、と思い込んでいたのは家族中で私だけだったということになる。夫も子供もそのメニューを望んでいたのだから。
いや、家族が望んでいたのはひょっとしたらカレーだけではなく、心置きなく楽しそうに出かけていき、晴れ晴れとした顔で帰ってくる、私の心からの笑顔だったのかも知れない。

これを書いている土曜日の夕飯も勿論カレーである。
明日の私の出勤後、夫はこれを温めて昼食に食べてくれる。
明日の夕飯は何にしようかな。メニューを考えるのが面倒だという気持ちが、いつの間にかなくなっている事に気付く。
カレー、万歳!