西洋美術雑感 25:コズメ・ツーラ「ピエタ」
コズメ・ツーラはルネサンス初期の画家の中でもとりわけ奇妙な絵を残した画家である。前回、ミケランジェロの彫刻のピエタを取り上げたが、このツーラの絵も同じくピエタであるが、この感触の違いは、もう果てしない距離があると言えないだろうか。ちなみに、このツーラの作はミケランジェロのピエタのおよそ40年前、ルネサンス盛期と呼ばれる時期の始まり、そしてルネサンス前期の終わりに位置している。
このツーラの絵を見てみよう。まず、十字架から下ろされた死せるキリストは、まるで発育不全のように小