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【感想】脳天×ワープ×キス (江ノ島だいすけ)読切。ジャンプらしさって何だ

「人造人間100」の江ノ島だいすけ先生の読切が公開されました!!!

感想

すごく面白かった!!!

題材は有名な思考実験の "スワンプマン(沼男)" や "水槽の中の脳" ですね。
"スワンプマン(沼男)" は、完全に同じ物質・状態の自分がいたら自分と言えるのか?みたいな思考実験。
"水槽の中の脳" は、現実はすべて水槽の中の脳が感じている刺激に過ぎないのではないか?みたいな思考実験。

この2つが頭によぎったので、主人公をハラハラしながら追っていました。
でも、思考実験を知らなくてもハラハラしていたと思います。
だって「電脳化の被験者になりませんか?」って聞かれて「なります!」って答えますか?

案の定、主人公はひどい目にあってしまうのですが、むしろヒロインが主人公の無茶苦茶さを肯定するのがこの作品の要だと思います!
主人公を愚かだと思っていた読者は、主人公と組まなかった周りの生徒と同じなんですよ。でもみんなが保守的な思考だと電脳の技術や法整備だって進まないわけです。
このヒロインが居てこそ主人公の無茶苦茶さが強みになるし、そこに惚れるヒロインがかっこいいんです!

ジャンプらしさって、キャラとキャラの信念のぶつかり合いだと思っています。この作品では、発想と思い切りがあるけど考えなしの主人公と、冷静で万全な行動をするヒロイン、この二人の強みが重なる部分がクライマックスとなっています。だから月で脳と宇宙飛行士が寄り添っている姿が美しいんだと思います。

この作品の粗の部分(月に脳がポツンとおいてある状況の不自然さとか)が気になった方もいるかもしれませんが、私は気になりませんでした。なんせもとのスワンプマンの方がよっぽど無茶苦茶なんで。

余談

「人造人間100」は打ち切りになってしまいましたが、作品の完成度は高く、骨子のしっかりした漫画でした。"完璧な人間になること"を本能とする人造人間と人間の差は何なのか、人間とは?というような話で、今回の読切とも、思考実験っぽさが共通している気がします。

今回の読切は、エンタメ性(ジャンプらしさといってもいいかもしれません)にさらに磨きがかかっていると感じました。常に読者の興味を引く構成や、思考実験的な部分よりもキャラの信念にフォーカスしている部分などからです。
人造人間100でしっかりとしたお話を読ませてくれた江ノ島だいすけ先生が、より強いエンタメ性を手に入れたことで最強になりました!連載作品も楽しみにしています。

ちなみにジャンプらしさとは、
・キャラクターの信念のぶつかり合い
・強い引き
・勝利
だと思っています。あくまで”らしさ”です。ルリドラゴンなんて当てはまらないけど面白いし人気だし。

以上。

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