2/2(水)

ネコ団子

とても寒い日だった。
『私』がコートの襟を立てて歩いていると、縁側でお茶をすすっているおばあちゃんがいた。
絵に描いたように頭をお団子にまとめて、姿勢良く正座をして、昼下がりの縁側に座っていた。
それは見ているだけでどこか幸せになる光景だった。

そんな幸せをまとったおばあちゃんの元に、一匹の野良猫が飛び込んできた。
こげ茶色の少し太った猫だった。
寒いのか、猫はおばあちゃんにすり寄って、それからひざの上に乗って、丸まって心地良さそうにしていた。
風に流れた雲が日差しを遮った時、おばあちゃんはおもむろに野良猫を両手でくるっと丸めた。
猫はダンゴムシのように綺麗な球状に丸まった。
おばあちゃんは球になった猫を自分の横に置いて、またお茶をすすった。
『私』はおばあちゃんのすばやい手つきに、思わず感動した。

その後、おばあちゃんはやってくる野良猫を次々と同じように丸めていった。
とら縞、白黒のぶち模様、さび柄、三毛猫、さまざまな柄の毛玉が縁側に並んでいった。
野良猫の襲来が落ち着くと、おばあちゃんは家の中へ声をかけた。
「タマや、おいで」
家の奥から、白い毛玉がコロコロと転がって出てきた。
鈴の音をちりちりと鳴らしながら。

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