3/9(水)

赤い月

泣き止まない目のような、真っ赤な月が出ていた。
地平線のそばにただ浮かんでいた。

それはじきに白くなるだろう。
頭上で小さくなるだろう。
夜が明けたら消えるだろう。

だから『私』は見ていた。
今しかないそれを、じっと。

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