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イタリアでパン作り①

こんにちは、ハヤシヨウヘイです。

体験記の途中ですが、今のお仕事の話を少し。
現在、私が働いているのは昼夜合わせて100‐120名ほどのお客さんが来る中規模のレストランです。
営業ではプリモピアット(パスタやリゾット)を担当するのですが、今回は仕込みの主な仕事”パン作り”についてお話していきます。

イタリアと日本のパンの違い

日本ではパンというと食パンやコッペパン、菓子パンに総菜パン、味のついた、柔らかいパンを想像することが多いと思います。
海外の方が日本にやってきたときにパンが甘くて驚く、というのは有名な言葉ですね。
イタリアでは一般的に甘かったり、味のついているパンが売られていることはほとんどありません。まさに日本人にとっての白ご飯の感覚です。
’Pane Rustico' パネ・ルスティコといい、小麦粉、水、イースト、塩だけのシンプルなパンが食卓にはよく上がります。
とはいえオリーブオイルやバター、ブタ脂等の油脂も使いますし、ハーブや香辛料などもよく使われます。

バールなどでコーヒーと売られているのは総称してブリオッシュといい、朝食に食べられますが、逆にめちゃくちゃ甘いです。
昨年、日本ではやったマリトッツォなんかもブリオッシュの一種と言えるでしょう。

イタリアのパン事情

イタリアのパンは多くの郷土料理と同じく、地域によって大きく異なります。
中部では普通の白い小麦粉が使われるのが多いのに対して、南部ではセモリナ粉を使ったパンが有名です。
北部の寒い地域では、寒さに強いライ麦を使った色の黒いパンがよく食べられています。
形をとっても千差万別、網羅しようとすれば本一冊かけてしまいます。

南部プーリア、アルタムーラのセモリナ粉のパン。


昔ながらのおいしさの再発見

そして私がレストランで働きながらパン作りにはまってしまったのは、最近見られるようになった”再発見”のうごきからでした。
最近、かつて自然に食べられていたのに失われてしまった、多様な古代小麦が再発見されたり、生産性が低くとも味わいのある小麦が使用されるようになりました。
私は仕事柄そういった方向に意識を向けているからでもありますが、あるレストラン、あるシェフが発見しお店で使ったり、SNSなどで発信していくことで広がっていくこともあります。

また、大量生産のために多くの製粉所がシリンダーによる機械的な粉ひきを採用していった中で、伝統的な石うす挽きの粉を作り続けている生産者もいます。
逆に、若い意欲のある生産者がこだわりの品を作ることも少なくありません。

日本にいたころ、ざっくり薄力中力強力粉くらいしか認識していなかった私にとっては、このような多様な種類があるというのは目からうろこでした。ひとつひとつの粉がそれぞれ違う味を持っている。
そこにワクワクし、あえて余計なものを入れないシンプルな”pane rustico”に魅了されてしまいました。

天然酵母・Lievito Madre

また、うちの店では天然酵母しか使っていません。
これを”Lievito Madre” とイタリア語では言いますが、普通のイーストを使うよりも簡単ではありません。
一日一日状態が変わり、天気や気温を見ながら最適な時間や発酵をじぶんで見極めていかなければいけない。
こんなところもパン作りの魅力です。

昔ながらの薪オーブン、圧巻です

次回は、実際にレストランでどんなものを提供しているのか、お話してみようかと思います。


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