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かんながらと日本人の道〜『大國民讀本』を読む〜(13)

そして、全体の幸福を考え、平和を建設するための第一の要素(ようそ)は、無私(むし)の心です。すなわち、私心(ししん、自分中心の心)を入れないことです。

神の心には、常に私(わたくし)がありません。  ただひたすら、日本国全体、世界全体の平和を深く念願しています。

日本人の、生活と一体になった信仰(しんこう)が神道(しんとう)です。

神道を「かんながらの道」とも言います。

かんながらの道は、他に比べるものがないほどの正義と、最高の仁愛(まごころと愛情)と、私のない神心(かみごころ)に帰るための道です。

我が国が肇まった頃は、この神々(こうごう)しき気分が国中(くにじゅう)に満ちていました。

ところが、今は、道義(どうぎ、人が進むべき正義の道)がすたれ、神道が失われています。でも、神道は日本人の本性(ほんせい、本来の性質)ですから、何かのときに現れてきます。

かんながらの道の伝統は、流れとして、まだ枯れてはいないのです。

それどころか、今日(こんにち)でも国民精神の根本は至誠(しせい、最高の誠)であり、無私の心で一切(いっさい)を献(ささ)げる神意(神の意志)にあります。

神の分霊(ぶんれい、わけみたま)は、今もなお脈々として国民の心血(しんけつ)に流れているのです。そこに、日本が神国である理由があり、平和主義の証拠(しょうこ)があります。

【林英臣の補足】
実質(ミ)がしっかり結合している状態をクミといい、それを表から見て誉(ほ)め称(たた)えた言葉がカミです。山も、森も、立派に組み組まれていれば神です。

カミのカは、輝(かがや)く、隠(かく)れる、陰(かげ)、霞(かす)む、風(かぜ)、空(から)などのカで、奥深くてはっきりしないようすを表します。

本当は存在しているのに目に見えにくいもの、表から見ただけでははっきりと分からない尊いものがカミなのです。

日本で一番古い本とされている古事記(こじき)に、たくさんの神々が登場します。それは古代の人たちが、あらゆるものに尊さを認めたから
です。

また、働きや作用(さよう)も神と呼びました。中心の働き、積極的な陽(よう)の働き、受動的な陰(いん)の働きなども神です。そして、神は上(かみ)でもあります。尊くて上位(じょうい、上の位置)にあるものは、みなカミというわけです。

その【神の尊さのまま、とても清らかでしっかりしているあり方】を「かんながらの道」と言います。「かん」は神、「ながら」は流れるで、「かんながら」は、「神の尊さそのままに」という意味です。それが日本人の道でした。(続く)


上記は、昭和2年(1927年)1月25日に出版された、文部省認定・林平馬著『大國民讀本』の内容を、林英臣が、こども向けに“翻訳”したものです。

「戦前は立派だった」いや「戦前はひどかった」、「戦後、日本は良くなった」いや「戦後、日本はダメになった」などと、大東亜戦争(第二次世界大戦)で歴史を前後に区切ることが一般的です。

ところが、『大國民讀本』を読むと、日本は明治から既におかしくなっていたことが分かります。90年以上前の本とは思えない内容が本書に記されているのです。これから取り戻すべき日本の原点が、余すところなく示されていることに読者は気付くはずです。

戦前の日本の実態をよく知り、これから祖国再生を進める上で、心得とすべきことが沢山出てまいります。

昭和に入ってから出版された本ですが、90年以上前の内容ですから古典の意訳に近い作業が必要でした。そこで、子供から大人まで世代を超えて読んでいただけるよう、できる限り分かりやすく書きました。

親子一緒に学んでいただいていただいても、楽しい本になったと自負しています。また、明治以降の日本史を正しく学べる本として、読者のご研究の参考になれば幸いです。

意訳者 林英臣

『大國民読本』を読む〜はじめに〜より(一部追記)

昭和2年に出版された著書ながら、今読んでも新しく、胸に突き刺さる指摘ばかりです。新しいがゆえに、我が国の抱える病巣や問題の根が深いことが良くわかります。

戦前の日本が良くわかる本『大國民讀本』

林英臣の元氣メール(メルマガ)」で、こども向けに優しく噛み砕いて連載していた内容を、〜『大國民讀本』を読む〜として刊行しています。

noteで、逐次紹介して参りますが、下記からお求めいただき、共に「日本の原点」を取り戻すべく、ご家族ご友人と学んでくだされば幸いです。
https://hayashi-hideomi.com/books





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