彼、カレー 《妄想小説》

https://news.yahoo.co.jp/articles/3209c971c30adf9ad5c71f2a205105a543a3bd0f (「ココイチ」インドに1号店オープン 日本の味でカレー発祥の地に里帰り)

最近、CoCo壱番屋、通称「ココイチ」がインドに1号店をオープンするとニュースになっていた。このニュースを聞いた時、とても不思議だと感じた。

カレーの本場はインド。そして、インドのココイチでは、カレーのルーが日本からわざわざ輸送される。カレーの本場はインドなのに。笑

それからインドにココイチができるキッカケはあるインド人が訪日した際に食べたココイチに感激したから、らしい。日本のカレーすごっ!

まとめると、カレーが、インド→日本→インド、と結局インドに帰っていった。けどインドで食べるカレーは日本のもの。笑

インドのカレーもたまったもんじゃありません。だって日本に頑張ってインドカレーの良さを伝えてくる!と脇にナンを抱え飛び立ったインドカレー。日本でカレーの美味しさを伝えることができたものの、ときが経ってインドへ帰ってきたと思ったら、日本のカレーに様変わりしてるではありませんか。着物を着て腰にはスプーンを差している。さぞ旧友のインドカレーたちは驚いていることでしょう。懐かしのインドで遊んでいたときの面影はなく、日本かぶれのカレーになってしまっているから。一方、日本へ行った元インドカレーからすると、別に日本にかぶれたくてしているわけではなかった。彼自身も日本でインドカレーとしてすぐに売れると思っていた。しかし、現実はそんなに甘くなく、むしろ世知辛かった。本場の味を日本人に伝えたかったけど、日本人にはインドカレーはあまりにも辛すぎた。その事実を知った彼は辛くて毎晩ナンに顔をうずめて泣いた。日本でインドカレーを流行らすことはできなかった。彼はインドへ帰ろうかと考えた。しかし、まだ何も成し遂げていない。成功するまでインドには帰らないと旧友に誓った。だからまだインドに帰るわけにはいかない。ナンとしてでも日本で一旗揚げなければならない。そこで彼は自分自身のイメチェンを図った。今までインドの辛さより甘くすることで日本人に合う味に変えた。それからインドのカレーはナンに合うよう濃く作られていたが、日本の主食ごはんに合うようイメチェンした。すると、日本カレーとしてイメチェンした彼は徐々に売れ始めた。最初は一部のカレーマニアでしか食べられていなかったが、口コミにつぐ口コミで一気に流行った。それからは順風満帆。彼は国民的カレーとなった。このような経緯を経て彼はインドへ帰ってきた。その彼の姿を旧友は見て驚いたに違いない。けど今、彼がしてきたことは決して間違ったことではない。最初の夢とは違かったかもしれないけど、彼は悔やんだりしていない。むしろこうやってインドに胸を張って帰ることができたことを誇りに思っている。再会を果たした、彼と旧友。時間はかかったかもしれない。彼は変わってしまったかもしれない。けど彼らの友情は何も変わっていなかった。昔のようにナンをちぎり合う仲であることは間違いない。

彼らがいる空港にはターメリックの香りが漂っていた。


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