『22世紀の民主主義』(著:成田悠輔)〜本当にAIが政策決定する未来は来るのか?政策判断の基準すらAIに委ねることになっていくのか?〜
2,000を超えるレビューに4.3の評価。
かなりの高評価を得ている本書。
中学生の息子が買ってきたは良いけど全く読もうとしてないのをいいことに私が読むことに笑
内容について考えたところをシェアしていきます。
トランプ前大統領時代の議会襲撃事件とか、ブラジルでも同じようなことが起こってたりとか、アメリカや欧州でのコロナの押さえ込みの失敗とか…
まぁ、たしかに今の民主主義に懸念を抱いている人は多いかと思います。
一方で、中国だってゼロコロナ政策の失敗とか、ロシアのウクライナ侵攻とか、権威主義的、独裁的な国家に対する恐怖や不安も大きい。
民主主義も万能とはいえないなかで、対局にある権威主義に依ることはありえない。
じゃあ、どうすればいいか?
著者が行き着いた答えが、
選挙という古びた仕組みで民意を汲みとることを捨て、民意にまつわるあらゆるデータを抽出してAIによって政策決定していこう
という方向性です。
はやみ的には、本書の内容はめっちゃ説得力があって、漠然とですが、そんな未来のイメージは湧いてきます。
ただ、AIだけで政策決定ができるのかというと、それはむずかしい気もしてくる。
まず、AIが政策決定するためには、民意データを数値化して、どういう数値を重視していくかをあらかじめアルゴリズムとして設定しておかないといけないでしょう。
で、その基準を誰が決めるのかというと、やはりそこは人間が判断するしかないんじゃないか。
じゃないと、何が人間にとって幸福なのかということまでアルゴリズムに委ねることと同じになってしまうので。
そして、この判断の役割を誰に担わせるのか、となったときに、結局、選挙によって我々の代表者を選ぶしかない。
ぐるっと回って結局今と変わらない、なんてことになりそうな気もする。
とはいえ遠い将来に向けては、その判断すらAIに委ねるような未来がやってくるんじゃないか…
それが本書を読んで想像した未来です。
いずれにしても、選挙を前提とした今の民主主義のあり方に疑問を呈して、新しい民主主義の仕組みを提示していく意義は大いにあると思う。
そのための突破口として本書に学ぶことは大きいかと。
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