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日本で名刺にPronoun(代名詞)を入れてみた


今月はプライド月間。 LGBTQ+の権利を推進する活動やイベントが世界中で実施される。 この機会に私(データアナリスト: 田村)が最近感じたことを書き残したい。


Pronoun(プロナウン)とは

4月から名刺にPronoun(プロナウン)を入れた。 Pronounは代名詞のことで、つまりhe、she、theyなどのこと。自分をどの代名詞で呼んでほしいか、つまり自分が男性か女性か、またはそれ以外かを表現する方法として使われている。 英語圏では女性と男性の代名詞が多く使われるので、トランスジェンダーやノンバイナリー(※1)の方がpronounを間違われることが多いため、pronounの議論が起こったと認識している。
ちなみに、ノンバイナリーやXジェンダー(※2)の方はthey/themを使うことが多い。女性でも男性でもない、heもsheもしっくりこないという人がthey/themを使う。 それって複数形でしょ?と思うかもしれないが、someoneのように男性か女性か分からない時等はthey/themを使うので、単数でも使うことができる。

※1 ノンバイナリー:自身の性自認・性表現に「男性」「女性」といった枠組みをあてはめようとしないセクシュアリティ
※2 Xジェンダー:性自認が男性にも女性にもあてはまらない


名刺にPronounを入れてみた


pronounを入れた名刺の例

代名詞を普段使用しない日本で、これを仕事の名刺に入れたらどうなるか気になり、4月から名刺やメールの署名に入れるようになった。
以前、「自分がAlly(アライ※3)だと知ってもらうにはどうしたら良いか」という質問に対して、「レインボーフラッグを身につけること以外に、名刺やメールの署名にpronounを入れると良い」と聞いたことがあった。
今年に入り、メールの署名にpronounを併記している人を見かけ、「そうだ、自分もやってみよう」と思い出し、名刺とメールの署名に入れている。

正直、pronounを併記することには抵抗があった。なぜなら、私は女性でシスジェンダー(※4)であるが、「女性扱い」されることが嫌いだからだ(この感情の根源は、「社会の中での女性の扱われ方や、女性という理由で何かを強いられたり制限されたりすることが嫌い」だということに最近気づいた)。だからpronounを入れると女性であることを主張しているようで、違和感があった。

特別何かがあったわけではない。ただ、メールの署名に入れている人を見て、名刺にも入れてみよう、と思っただけ。pronounを併記することに少し違和感があった、しばらくしてその違和感が続くようであればやめればいいと思い、実行に移してみた。
もちろん、日本では代名詞を使わないし、名刺を交換したときに英語の部分を読む人は少ない。そもそも、pronounを併記するという最近できた(欧米でもまだ一般的ではない)慣習を日本で知っている人は少ないだろう。
でも、分かる人に分かれば、という気持ちだった。

名刺にpronounを入れて1ヶ月ほど経ったとき、偶然にもLGBTQ+の権利に関する社会運動家と名刺交換する機会があった。すると、名刺を交換してすぐ「pronounを入れているんですね!」と気づいてもらえた。その場にいた他の人たちはそれが何のことだかさっぱりという顔をしていたが、私はその方にallyだと分かってもらえたと実感した。 嬉しかった。日本でpronounの話をしたことがなかったし、allyとして自分の無力さにいつも落ち込んでいた。そんなとき、思い切ってpronounを併記しただけなのに、proud allyとして存在を示せた、気がした。

※3 Ally(アライ):LGBTQ+当事者たちに共感し、寄り添いたいと考え、支援する人のこと
※4 シスジェンダー:性自認(自分の性をどのように認識しているか)と生まれたときに割り当てられた性別が一致している人


日本で名刺にPronounを入れたらどうなるか

私がこの経験から分かったことは、「pronounを併記することはマイナスになることはなく、プラスにしかならない」ということだ。
LGBTQ+コミュニティーに対する宗教的な対立がほとんどない日本では非難されることはまずないだろう。分かる人にはallyだと伝わり、分からない人は分からないままか、「これは何だろう」と興味を示すかもしれない。損することはないのだ。
だからといって、「pronounを併記するべき」「pronounを併記しなければallyではない」とは思わない。抵抗を感じる人は入れなくて良い。「ばかばかしい」と感じる人もいるだろう。
ただ、allyだと伝える手段の一つとして機能する実感を得られたという実体験を伝えたい。

最後に

私は今後もpronounを併記することを続けたいと思う。日本に馴染みのない代名詞だが、一人でも多くの人が「pronoun」のことを知り、私がallyであると安心してもらえるために。

本当に最後に、おすすめの音楽をいくつかどうぞ

★Hayley Kiyoko - Girls like girls

レズビアンを公表しているHayley Kiyoko
「女の子だって女の子のことを好きになるんだよ、男の子と同じように」っていう歌

★Rina Sawayama, Elton John - Chosen Family

パンセクシュアルを公表しているRina Sawayamaとゲイを公表しているElton Johnの「セクシュアリティが原因で家族から見放されても、私たちが家族になるよ」という歌


★MACKLEMORE & RYAN LEWIS - SAME LOVE feat. MARY LAMBERT

同性愛嫌悪の社会の中で生きるつらさや、自分の愛もみんなと同じ愛だ、ということを歌っている。

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