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精油「サイプレス」からゴッホに辿り着く


香り好きが高じて
目下、学びの場を得ていること、
その中の
精油「サイプレス」の項で
何気に、ゴッホ作品の
「糸杉」にたどり着いたことを
以前につぶやきました。


今日はこちらで
その続きを広げてみようと
思います。

その前に
私は、絵画の世界も美術史も
全くの素人です。
が、美術館という空間で
作品を観る時間が好きで
観たいものは都合をつけて
方々、足を運んでいます。

その時々に
知り得た背景、
それに触れた時の印象を
大事にしたいと考えています。

手元に
専門書があるわけでもなく
専門家の知り合いもいません。
あくまでも
見たもの聞いたものを自分なりに
総括した忘備録(拙文)ですので、
間違いなどありましたら
どうぞご容赦くださいませ。


たまたま、
香り好き高じ、
現在、学んでいる精油学から
「サイプレス」
に出会ったことが
この起点となります。


サイプレス
別名、糸杉(イトスギ)
葉や果実から
水蒸気蒸留法で精油成分を
抽出します。


そうなんです!
サイプレスとはあの糸杉なんです!

糸杉は南仏で
防風林として植えられたりするほか、
同時に、
「天高く昇る聖木」
「死の悲しみや恐れを乗り越える強さを
与える神聖な木」
として古くから寺院や墓地に
多く植えられた木でもあったようです。
この木はキリストの十字架に
使われた木とも言われています。

精油の特徴としては
その芳香成分から
クリアで染み通るような
まるで森林浴を思わせるような香り。
「呼吸を深くさせ
感情を落ち着かせる、
冷静さを取り戻し、自然な流れに沿うことを
助けてくれる」
とあります。
(効能を示すわけではありません)


ゴッホの晩年の作品は
「向日葵」から、この「糸杉」に
置き換わります。
しかも
初めは背景として描かれていた
この木が、のちにメインに置き換わり
「糸杉シリーズ」として
作品が続きます。


あの
「向日葵」が
「夢」や
「希望」の象徴とするならば
この「糸杉」は、、、、



ゴッホは
さまざまな経緯で
絶望にも似た気持ちを抱え、
この地に
たどり着くわけですが、


自身の挫折や傷や病を内側に
はらみつつも、
描き続けます。
その中で、
「糸杉」に見出したものは、
自分自身にある
「生きる」という力と
「それでも生きるのだ」という
強い気持ちや願いを
象徴するものだったと
うねる独特の描写と合わせて
解釈する時、
私も腑に落ちました。


「向日葵」が
「夢や希望の象徴」だとすると
「糸杉」は
「生きることの象徴」だったのでは
ないでしょうか。



どなたかの感想に、
「間近で観ると
分厚く重ねられた絵の具
(厚塗りはゴッホの特徴らしいです)
に、照明の光が反射すると
独特の存在感と異様さが現れ、
その迫力に引き込まれる」
とありました。

幾重にも
塗り重ねられた油絵の具が
照明の光が当たる時
そこには影が生まれる。

その陰影が、
間近では
まるで生物のようにリアルで
描写された糸杉が「生」という
強い力を放つ、、、
そんな様子が浮かびます。


冒頭のあたりで
私は絵を観る時間が好きだ
と言いましたが

正しくは
絵を観ることを通して
実は奥深い自分を、
いろいろに観る時間
が好きなんだと
今回、思いつきました。

好きな絵とそうではない絵
という線引きは
私にとって
自分の内側に
すっと中に入っていけるか
どうかの違いにあるのかもしれない
とも思います。



ふと、
山田五郎さんの
「大人の教養講座」なるチャンネルを
youtubeで見つけました。
わかりやすい解説で
入門としてもとても面白く、
スタッフさんの手作り感溢れる
温かみも伝わり、
おかげで新しく知ることを
楽しく思っています。



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