やさしい人2
やさしい人
やさしい人が好きです。素敵だな、と思う人はみんなやさしい。
私が惹かれるやさしさって、なんだろう。
今回は、ついこの間まで好きだった、やさしい人の話。
やさしいあの人
やさしいあの人は、2つ年上の、同じ大学の先輩。
穏やかで、話上手で聞き上手。おまけに見かけ以上によく食べる人。
私は彼のやさしさに甘えて、2人きりでごはんに4回行った。
4回目ごはんが彼の卒業前最後だったので、駅の改札前で告白した。人生初告白。
結果はダメだった。今は誰かとそういう関係になる気がないのだと。
知ってた。そんな答えなど、正直想定内だった。何を思ったか、本人に向かって「知ってます、だろうなと思いました。」と口走ってしまった。
するとなぜかそのまま話が進み、弾み、「卒業後も会えるでしょ、会おうよ」という話になり、延長戦に突入。謎。
やさしい電話
コロナの影響で5回目のごはんを決められることができなかった。
それでもやさしいあの人から時々連絡が来て、ちゃんとお話ししようね、と言われていた。ちゃんと向き合ってくれていることが嬉しかった。
ある日、しばらく会えなそうだから、電話しよう、と言われた。これは、フラれるな、と私の勘が言っていた。
1時間くらい、だらだらしゃべった後、フラれた。やっぱり、と思った。
彼はやさしいから、切り出すまでに、時間がかかった。彼が切り出しても、できるだけ気づいていないような、それまでと同じ声色で話した。
やさしいあの人を傷つけることはしたくない。ずっとやさしい人でいてほしいという我儘。
やさしいあの人が私をフッた理由
やさしいあの人は、私に電話する前日に彼女ができた。だからフラれた。
なんと私が告白した1週間前に、私の知らない人から告白されていたらしい。なんや、急にモテ期じゃんどうしたのよ。
私の知らない人は、2年前のあの人自身にとても似ているらしい。自分を救うように、彼女を救ってあげたいから、彼女と付き合うことにしたのだと、教えてくれた。
やさしい人。助けてあげたいんだって。ちゃんと教えてくれる、やさしいね。
私の第一声は、「あ、そうなんですね、おめでとうございます。」だった。あの人は、おめでとうございますじゃないんだよ…そうじゃないでしょ…と言ってくれた、やさしい。
涙が出ないわけがない。電話で良かった。だらだらの鼻水を垂れ流しにして、変わらないトーンで淡々と話せばいい。やさしいあの人は、電話を切ってから泣くとかしちゃうんじゃないの、大丈夫?って言ってくれた。やさしい、気づいてない。
あの人はやさしいから、私が泣いたら罪悪感で傷つくと思った。
あの人のやさしさ
あの人のやさしさを、私は、弱さだと思う。
私はあの人の弱さが好きだったんだろう。あの弱さに触れることが、安心感だった。
あの人のやさしさに触れていることで、自分もやさしくなれるような気がした。
あの人も自分の弱さをよくわかっていた。私が、やさしいですね、と言うと、弱いだけですよ、と言う。
弱さって暴力みたい。あの人はあの人を守るための弱さだった。
そんなこんなでまとめると
やさしいってなんだろうな。
「やさしい」は客観的評価で用いられる、相対的なワードだ。外から見て判断されることだから、内側には「やさしい」だけでは言い表せない、正体がある。
フラれた後もしばらく会話が続いて、あの人に、こんな楽しいあなたを選ばなかったことを早速後悔している、と言われた。してやったり、と大げさに喜んだ。ネタのようにした。私なりのやさしさで、けじめをつけたつもりである。
次は、タイミングの話を書く。この話がきっかけで考えたこと。
では。
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