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【感想】NHK大河ドラマ『光る君へ』第10回「月夜の陰謀」

2024年3月10日(日)20時『光る君へ』第10回「月夜の陰謀」を視聴しました。

<始まる前に>
花山天皇への謀略事件、寛和の変ですね。
どう描いてくれるのか楽しみです。

<NHKのあらすじ>
兼家(段田安則)は道長(柄本佑)たち一族を巻き込んで、秘密裏に花山天皇(本郷奏多)を退位させ、孫の懐仁親王(高木波瑠)を擁立する計画を進め始める。
その頃まひろ(吉高由里子)は、家に帰ってこない為時(岸谷五朗)を案じ、妾の家を訪ねてみる。
そこには身寄りもなく最期を迎えようとしている妾の看病をする為時の姿があった。
帰宅したまひろのもとに道長からの恋文が届く。
まひろは道長への文をしたため始めるが・・・


■プロローグ

●寛和2年(986年)6月
安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)は兼家に、「決行は6月23日。28宿の氐宿を侵す良い日ですが、丑の刻から寅の刻までが右大臣に最も運気が良い時。この日を逃せば謀は成せない。帝は御倉にとどまることになります」と述べました。

●ナレーション 伊東敏恵(NHKアナウンサー)
「兼家はその夜、一同を集め帝を内裏から連れ出し、出家させる企みの全貌を明かした」

道兼(玉置玲央)には、丑の刻までに帝を内裏から連れ出せ、清涼殿より玄輝門を抜け朔平門に迎えよ。
女の袿(うちき)を帝に着せろ。
道隆(井浦新)には女車の牛車を用意しろ。
内裏のすべての門を閉じ、土御門大路を東に向かい、元慶寺を目指せ。
剣璽を典侍(ないしのすけ)が夜の御殿から運び出すので、梅壺の東宮の下へ運べ。
道綱(上地雄輔)にも命がけで果たせ、剣璽を見た者はあとで始末せよ、と指示を出します。
始末せよ、という言葉に、道綱は狼狽えます。
道長には、譲位の連絡役を命じます。
頓挫すれば我が一族は滅びる、兄弟力を合わせて成し遂げよ。

●ナレーション 伊東敏恵(NHKアナウンサー)
「わずか2時間で帝を出家させ、神器である剣璽を手に入れる、途方もない陰謀であった」


(感想)
陰謀の全貌が解説されました。
さて、どうやって描くのかな。
剣璽は、三種の神器の天叢雲剣、草薙剣ですね。

---音楽---
冬野ユミ

---テーマピアノ演奏---
反田恭平

■花山天皇

花山天皇は、忯子の霊を慰めるために出家すると言います。
藤原義懐(高橋光臣)は、新しい女性を用意するから、天皇にとどまってもらいたいと懇願します。
しかし、天皇は忯子の霊にこだわり藤原義懐等を排除します。
その場に残った道兼は、帝とともに出家すると、一人だけ信頼を得ようと取り入ります。
道兼は、23日が最良の日だと提案しました。

●月の夜
道長に兼家が関白に知らせに走るだけでは物足りないかと問います。
失敗したら一切知らなかったことにしろ、家を守れ、という意味でした。
お前だけは生き残れるという保険をかけました。
成功すれば手柄は道隆のものになるとも。
道長は、まひろの母親をやめたのが道兼だということを思い出してます。


(感想)
道兼、見事な演技です。
なんだか、当時の現場にいるように、リアルです。

●為時の隠し事
まひろにいと(信川清順)は父が髙倉に行って戻らないようだと尋ねます。
生きてることは悲しいことばかり、いとはこの家にずっと置いてくださいと懇願します。
乙丸(矢部太郎)とともにまひろがやって来たのは、髙倉にある為時の妾の家でした。
そこでは、病に臥せった妾・なつめ(藤倉みのり)に、為時が看病している姿がありました。
間もなく命が尽きる、一人で死なせるのは忍びない、見送ってやりたい、と頭を下げます。
百舌彦(本多力)が道長からの文を届けにやって来ました。
古今和歌集の歌でした。

■歌のやり取り

●「思ふには 忍ぶることぞ 負けにける 色には出でじと 思ひしものを」
そなたを恋しいと思う気持ちを隠そうとしたが、俺には出来ない。
直秀の最期を思い出し、返歌を書きます。
道長は、陶淵明の「帰去来辞」だとすぐに理解します。

●帰去来兮。田園将蕪、胡不帰。
既自以心爲形役、奚惆悵而独悲。
これまで心を体の下僕にしていたのだから、どうして一人くよくよ嘆き悲しむことがあろうか。

●「死ぬる命 生きもやすると こころみに 玉の緒ばかり 逢はむと言はなむ」
そなたが恋しくて死にそうな俺の命、そなたが少しでも会おうと言ってくれたら生き返るかもしれない。

●悟已往之不諌、知来者之可追。
過ぎ去ったことは悔やんでも仕方がないけれど、これから先のことはいかようにもなる。

●「命やは なにぞは露の あだものを 逢ふにしかへば 惜しからなくに」
命とははかない露のようなものだ。そなたに会うことができるなら、命なんて少しも惜しくはない。

●実迷途其未遠、覺今是而昨非。
道に迷っていたとしても、それほど遠くまで来てはいない。今が正しくて昨日までの自分が間違っていたと、気付いたのだから。

●行成と
女性に歌を送ったら漢詩が返ってきたことに、藤原行成(渡辺大知)は和歌は人の心を見るもの聞くものに託して表している、と説明します。
「漢詩は志を表す、贈り手は詩に志を託しているのではないでしょうか」
さすが行成、道長は納得したようです。

●源明子
来訪者について詮子(吉田羊)は、源高明の子、明子(瀧内公美)だと説明します。
もう一つの後ろ盾、源雅信は宇太帝の孫、源高明は醍醐帝の御子、2つの源氏を掴んでおけば安心です。
明子と倫子の両方を嫁にすれば云うことはないと。
人払いし、詮子は道長と話します。
23日は内裏から出ないよう父からの伝言を述べました。


(感想)
藤の木のように、一度絡まった枝葉は離れないという藤原氏の血の結束を説明していました。
この思想、どこからくるものなんでしょうかね。

■満月の夜

道長からの返歌「我亦欲君相見」を見たまひろは、道長と会うことにしました。
接吻する二人。
一緒に都を出ようと海の見える遠くの国へ行こう、藤原を捨てる、右大臣の息子、東宮の叔父も。
うれしいと抱き合いますが、どうして良いのかわからない。
まひろは、大臣、関白になる道をを本当に捨てるのか、無惨な死に方をするものがいなくならない。
二人で都を出ても世の中は変わらないことに気づき、道長は偉い人になってより良き政をする使命がある。
この国を変えるため、高貴なところに生まれてきた、道長の使命は人を助けるためにあるのだと、話します。
そして、二人は結ばれました。


(感想)
女性の方が現実的で冷静だというのは、今も昔も変わらない。
男は変なところでロマンを幻想し欲情する。
駆け落ちに走りやすいのは男の方だよなあ。

■6月23日当日

道兼は、今夜のことは義懐には言わない方が良いと必死にアドバイスし、天皇は簡単に納得します。
兼家一家が神妙な表情で集まっています。

●花山天皇
花山天皇は扮装して道兼とともに内裏を出ます。
牛車に乗り込み、出発していきます。

●丑の一刻
兼家はすべての門を閉めました。
夜明けまでに剃髪しなければ忯子は救われない。
道綱は剣璽を運びますが、怯えています。
道長は関白藤原頼忠(橋爪淳)に伝えるために出発していきました。
「只今、帝がご退位され、剣璽は梅壺に移り、東宮が践祚あそばされました」
安倍晴明は須麻流(DAIKI)から、牛車が通り過ぎていったという報告を聞きます。

●剃髪
花山天皇は剃髪し、出家しました。
次の番は道兼だと云われると、道兼はその場を退出していきました。
「お側にお仕えできてたのしゅうございました」(道兼)
宴会中の藤原義懐に内裏より知らせが入り、元慶寺で出家したという知らせを受けました。
兼家は、大笑い、詮子はうかない表情、道長は一点を見つめています。

●翌日朝
藤原実資(秋山竜次)、為時も出仕している場で、兼家が昨夜帝がご退位、東宮が践祚、全ての任を解き、藤原道兼が蔵人頭に任命されたと宣言しました。
実資は、何が会ったのか説明がないと筋が通らないと憤りました。

----終わり----

次回は 第11回「まどう心」3月17日放送です。

■感想

今日は恋愛と策謀という2つの人間の欲求が、相反するが同じ人間が行う出来事として描かれたと感じました。
まさに陰陽の世界。
この世や人は、善と悪とか光と闇で成り立つというヤツですね。
木・火・土・金・水の五行から成るというのもありますね。
日本には中国から伝わったとされていますが、大元はどこなんでしょうか。
インドとかやっぱりカナンの地にたどり着くのでしょう。
そして、恋愛の方では、歌のやり取りが繰り広げられました。
男が和歌を返し、女が漢詩を返すのは逆なので面白かった。
陶淵明の「帰去来辞」と古今和歌集が取り上げられました。
「帰去来辞」は、すべての官職を辞めて地方で生きる決意を語った詩とされています。
道長はそれを分かっていて、駆け落ちを言い出したということなのかな。
まひろが「帰去来辞」を返歌したのは、駆け落ちしたいんだろうと。
そうならまひろの方がしたたかですよね。
さて、寛和の変が簡潔に分かりやすく描かれました。
花山天皇については、悪いことばかり面白おかしく書かれているというのが印象です。
おそらく、藤原氏が噂を流したのでしょう。
とはいえ、それに乗ったのは民衆ですから、皇統を残せなかったのが悪影響を及ぼしたのでしょう。
今日は猫の小麻呂と和歌サロンが登場しなかったので、次回に期待。


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