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【感想】NHK 歴史探偵「江戸マジックショー!」を視聴しました

2024年2月21日(水)22:00~22:45 歴史探偵「江戸マジックショー!」を視聴しました。

<始まる前に>
なかなかマイナーな話題ですが、楽しそうです。

<NHKのあらすじ>
江戸時代の日本は世界最先端のマジック大国だった!
世界初の水中脱出マジックも!なぜ手品がブームに?
Mr.マリックさんの超魔術のルーツも江戸マジックにあった!?

■江戸マジックショー!

●スタジオで
佐藤所長「売れない三流マジシャンの役をやったことがあります」
現代のイメージは明治以降に西洋からもたらされたものですが、日本は江戸時代から手品大国でした。
手品の歴史はあまり研究されてきませんでした。

■世界の手品史を覆す驚きの大発見とは!?

・河合優さん(日本奇術協会)
東洋文庫へ
『名陽見聞図会』天保8年(1837年)尾張藩士が地元の風俗について記したもの
描かれているのは、手品をやっている場面で、「水がらくり桶ぬけ」
水をたっぷりためた桶に演者が飛び込み、中からカギをかけると何故か演者が抜け出していたというもの。
水中脱出マジックは世界最高難度とされ、一握りのマジシャンしかできませんでした。
河合さん「実は、これが世界で最初の水中脱出だということがわかったのです」
アメリカのハリー・フーディーニーが、ミルク缶から脱出し、脱出王になりました。
水がらくりはこれの70年以上前、手品史を塗り替える大発見です。
さらに、江戸時代の手品の資料は200種類以上も。
『手妻秘伝図巻』
女性の手品師が演じているのは、ハト出しマジックです。
「蝋燭渡り」日本オリジナルで、人体浮遊のマジックの応用だと考えられています。
馬を丸ごと呑み込む「呑馬術」

■意外な歴史に迫る

外交史料館へ
日本で最初に発行されたパスポートの記録です。
幕末の慶応2年(1866年)、見た目と特徴が文字で記されています。
浪五郎というこの方、実は手品師だったんです。
黒船来航で開港されてから7年後幕府は海外渡航を開放します。
311人中140人以上が芸能関係者でした。
浪五郎が向かったのはサンフランシスコ、ワシントンDC、ニューヨークなどで手品を披露し絶賛されます。
欧米の奇術師でも彼らには到底及ばない、200年先を行っている。
さらには、ヨーロッパへ渡り世界の人々を魅了したのです。
絶大な人気を誇ったのが「バタフライ」日本オリジナルの手品で最高峰と称されました。
「バタフライ」どんな演技だったのでしょうか?
現代にまで受け継がれています。
「胡蝶の舞」きょうこ
和紙の蝶を扇子で自由に操る姿、やがて蝶はつがいとなり、短い一生を謳歌する。
その生命は千羽の蝶に受け継がれクライマックスへ。
欧米で日本の手品ブームを巻き起こしました。

●スタジオで
Mr.マリックさん登場
佐藤所長「水中脱出マジックが日本で最初に行われた」
Mr.マリック「全く知りませんでした。とてつもない発見です」
「フーディーニに憧れた引田天功さんが脱出マジックをやって、それに憧れたのが私です」
マリックさんの超魔術にも影響を与えています。
Mr.マリック「実は江戸時代のマジックのリメイクなんです」
「スプーン曲げも江戸時代にやってい人がいます。火箸を小指で曲げる術が本に書いてあったのです」
超魔術を実演してもらいましょう。
紙を卵に変えた江戸時代の手品の現代版
バラの花弁をグラスに入れると生卵に変身しました。

■発展のヒミツに迫る

・横山泰子さん(法政大学)
末廣亭へ
長い平和の世が続いた江戸時代、人びとはさかんに娯楽を求めました。
『豊後浜之市細見絵図』豊後国(大分県)で年に一度開催された西日本三大市のひとつ
芝居小屋での出し物で手品が披露されるようになっていきました。
「女夫引き出し」養老瀧之丞 箱から様々なものが現れるもの
「紙うどん」藤山大樹 紙がうどんに変身します
手品の楽しみ方はこれだけではありません。

●手品の解説本
江戸時代の手品の解説本です。
タネ明かしが記されているのです。
タネ明かし本が初めて登場したのが元禄9年(1696年)のこと、手品ブームが到来します。
タネ明かし本が大量に出回ったことが重要な出来事でした。
「タネや仕掛けがあるから安心して見られるのですが、タネが分からないと怖い、恐ろしいことになりかねなかった」
『今昔物語集』(平安時代)
手品は外術、外道の術とあります。
手品を行う者は変化のもの、化け物と記されているのです。
呪術や妖術として考えられ、得体のしれない怪しいものでした。
娯楽へ種明かし本の登場は、革命的な出来事でした。
日本の手品文化を花開かせていったのです。

●スタジオで
佐藤所長「タネがあるということで怖いものから娯楽になっていく」
Mr.マリック「口伝で教えるものだったのが、教える人の専門家ができて、本まで出すようになりました」
種明かし本は150種類以上あり、庶民が宴会として一発芸として披露する手品も載っています。

■宴会手品

「三ツ目妖怪」
顔に貼ったホタル、口には消し炭
「天狗」
やかんを天狗の顔に見立てたもの、バカバカしさは江戸手品の真骨頂といえるかもしれません。

●スタジオで
Mr.マリック「天狗と言い切ったところがいい、笑いとしてはイケます」
「切磋琢磨が新しいマジックを作り出していきます」
「現在は世界中で15秒に1つ生まれています」

■手品と歌舞伎 知られざる関係とは?

問題です。
蒸籠のなかから演者が抜け出す手品、どんな仕掛けを使った?
正解は、歌舞伎の舞台装置、セリです。
人力エレベーター、歌舞伎の代表的仕掛けです。
他にも手品と歌舞伎には共通点を見出すことができます。
「土蜘」蜘蛛の妖怪が登場するクモの糸を吐き出す場面
「クモの糸」
紙うどんで最初に投げていたものとまったく同じものを使います。
「宙乗り」は人体浮遊
ケレンと呼ばれ、さながらマジックショー
でも手品と歌舞伎にこれほどの共通点があるのはなぜか?
・松本幸四郎さん(十代目)
「どれだけお客様に興味を持っていただけるか、どうやって驚かせようか、という時代でした」
江戸時代の歌舞伎一座には様々な専門家が集まっていました。
役者、振付師、軽業師、手品師、新たな歌舞伎を作り上げていました。
「江戸宵闇妖鉤爪」新たな表現を模索、人体切断マジックを応用。

●からくり人形
IMASENからくりミュージアム(愛知県犬山市)
からくり人形です。
茶運び人形、段返り人形、文字書き人形など
実はこのからくり人形も手品と密接なつながりがありました。
『手品秘伝図巻』
不思議な道具の数々、竹田近江はからくり人形師でした。
・鈴木一義さん(国立科学博物館)
「弓曳童子」
からくり人形師・玉屋庄兵衛さんに動かしてもらいます。
矢を取って、的に当てます。
3本目は外れました、まさかの失敗です
4本目は見事成功
「失敗した次の4本目で「アッ」と言わせるのが日本のからくりの特徴です」
日本のからくり人形が目指したのが、江戸っ子を楽しませることでした。
わざと失敗する人形は日本だけ、遊び心は手品の影響だと考えられるのです。
鈴木さん「今でも受け継がれているのではないかと思います」
おもてなし精神があふれる日本の伝統文化、江戸時代の手品の存在がありました。

●スタジオで
佐藤所長「わざと失敗して驚かせるというのを見たことがあります」
Mr.マリック「サッカートリックという演出です」
佐藤所長「心に余裕があっていろいろな研究をしてエンタメの奥深くまで行っていた、ワクワクしますね」

ーーーおわりーーー

次回は「大江戸ワンダーランド 大名庭園への招待」2月28日(水)22時放送です。

■感想

歴史という視点で見ると、手品も奥深いものがありそうです。
江戸時代から日本の手品が世界基準だっというのは驚きですし、よく考えてみれば、ありうるなあというのが実感です。
ものづくりと奇術、魔術が関係しているのは、そう言えばそうだなあと思えてきます。
そして興行としても十分なりたっていたというのは驚きです。
出版事業と手品は、来年の大河ドラマ『べらぼう』にも関係していそうですね。
魔術だと平安時代は呪詛とか怨霊とかに繋がり、恐怖の対象ですから、受け入れられるのは難しい。
それが、時代とともに魔術から奇術に変わり、段々と大衆に受け入れられていくのは、人間の進歩の歴史なんでしょうか。
そして、魔術として普及するのも面白い。
技術が進歩した時代、魔術って言ったほうがウケる、ということですね。


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