魂の焼跡交響詩 “灰”
(久石譲の作業用BGM、Summer1を聞きながら)
物語の力から離れてしまっている
10年を費やした今
流れが干上がって
はるか下流に
緑を湛える別の川面が見える
どのような冒険譚も革命理論も
軽く吹き飛ばされる
黒い宇宙竜巻が
人間の心も社会も文明も
なぎ倒し巻き上げる
大荒廃が全大陸を覆い
謎の火球が毎夜降りてくる
大量死の夜に
小さな灯りのもとで
どのような詩を書こう
絶滅収容所の中で壁に刻む詩集
いやまだ音楽がある
私達の血液を芳醇なブランデーに熟成させる
走りながら
歩きながら
もう一度
物語を書こう
魂の焼跡からの灰の交響詩