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“まだすべてが許されていた季節”

“街”はどうしても私が“壁”をよじ登ることを許さないようだ。ようやく『騎士団長殺し』を再読した私の前にまたも強力な本の精霊が現れた。『ねじまき鳥クロニクル』を読了したのは私が東京を諦め郷里に帰ったり京都や大阪でジタバタする前の、最後から2つ目の東京時代の頃だったか。その頃には一風変わった友人兼恋人がいて、始終知的な会話や街歩きを楽しんだものだ。身体の恋だけではなく魂が濃い料理を満喫するような恋。その頃の思い出がねじまき鳥とオーバーラップしている。真夏の袋小路のようなイメージ。まだ東京から呪われる前の“まだすべてが許されていた季節”へのタイムトンネルが夏の翡翠のような姿で舞い降りてきた。いくつかの霊的再会が呼んでいるのか。“その不確かな壁”のこちら側の袋小路を進んで見るか。喪われたものの呼び声を聞くために。

まだ何もかも許されていた


■画像はヤフー、翡翠画像より。

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